うさぎのために爪切りをしたくても、うさぎが嫌がって大暴れしてしまったり、切りすぎて出血するのが怖くて、切ることをためらってしまう飼い主もいるのではないでしょうか。そんなうさぎの爪切りについて、なぜ必要なのか、必要な道具や方法、自宅で成功させるコツを紹介します。

そもそも、うさぎに爪切りって必要なの?

巣穴からでてきたうさぎ

小学校でうさぎを飼っていたけど、爪切りなんて聞かなかった。本当にうさぎに爪切りは必要なの?と思う方もいるでしょう。確かに野生のうさぎは爪切りをしません。それは爪が伸びても、野生下で自然に削れて適切な長さに保たれるからです。屋外で飼われているうさぎも、土の上で野生に近い環境で暮らしていれば、同様に削れていくでしょう。ところが、室内で暮らすうさぎの爪は柔らかい絨毯の上や、プラスチック製のケージで暮らしているために、自然に擦り減る機会が少なく、どんどん伸びてしまいます。どのくらいの頻度かは個体差がありますが、およそ1~2ヶ月に一度は爪切りが必要だといわれています。

爪切りをしないとどうなる?

うさぎの爪が伸びすぎてしまうと、ケージの金網やカーペットなどに爪を引っ掛けやすくなり爪が抜けることがあります。爪が引っ掛かることで、足を骨折してしまう可能性も。また、かかとに負担がかかって「ソアホック」という足裏の皮膚炎の原因となってしまうこともあります。さらに、伸びたまま放置していると爪の中の血管まで伸びてしまい、短く切ることが難しくなってしまうことも。定期的な爪切りはうさぎにとって欠かせないお手入れなのです。

爪切りは自宅?動物病院?うさぎ専門店?

病院で爪を切られるうさぎ

うさぎの爪切りは、自宅で行うほかに、動物病院やうさぎ専門店にお願いするという方法があります。定期的に行うことを考えると自宅で切ることがベストですが、うさぎが暴れて難しい場合もあります。うさぎは骨が華奢なため、抵抗して後足を激しく蹴り上げただけで骨折する危険があります。不安な場合は無理に切ろうとせず、動物病院や専門店でプロにお願いしましょう。

爪切りの費用は500~1,000円くらいが一般的です。専門店ではグルーミングとセット料金になっていることもあります。動物病院では診察料が追加されることがあります。また予約をしていても急患などの都合で待ち時間がかかることもあります。ほかの理由で通院している場合や、かかりつけを探している、または動物病院に慣れさせておきたい場合は、動物病院で行うのもおすすめです。

牧草やペレット、おやつの買い物のついでや、グルーミングも一緒にお願いしたい場合は専門店でお願いするなど、総合的に考えて都合の良い方にするといいでしょう。

自宅で爪切りをする場合は?

爪切りをするためには、うさぎを抱っこする必要があります。まず抱っこができるようになってから爪切りを始めましょう。爪切りで最も大切なことは、保定(うさぎが動かないように安全に押さえていること)です。保定ができるかできないかが、自宅で爪を切れるかどうかの分かれ目といえます。しっかり抱っこして安定させることができれば、あとは血管の位置を見極めて切るだけです。初めて行う場合は無理にひとりでやろうとせず、保定する係と爪を切る係にわかれて2人で行うといいでしょう。

用意するもの

うさぎの爪を切るために使うものを紹介します。うさぎ専用の爪切りは必須ですが、それ以外は必要に応じて用意してください。

・うさぎ専用の爪切り

人用や犬用でも切ることはできますが、うさぎの爪のサイズに合ったうさぎ専用のものが最も使いやすく安全です。さまざまな商品があるので、握りやすさなども考慮して選びましょう。

・小型の懐中電灯

うさぎの爪は、種類やカラーによって黒か白に分かれます。

爪の色が白で血管の位置がわかるうさぎには不要ですが、爪の色が黒いうさぎには、光をあてて血管の位置を確認しながら行います。使いやすい小型の懐中電灯を用意してください。スマホのライトでも代用できます。

・ガーゼ、止血剤

切りすぎて出血したときのために、ガーゼやペット用の止血剤があると安心です。

・やすり

やすりもうさぎ用があるので、きれいに仕上げたいときは用意しておくといいでしょう。

・バスタオル

バスタオルがあると保定や突然のおしっこ対策に役立ちます。抜け毛が服につかないように敷いてもいいですね。バスタオルでうさぎの目を覆ってあげると落ち着くので、スムーズに爪切りができる場合もあります。

うさぎが抵抗して暴れた際にひっかき傷ができたり噛まれたりしないように、長袖・長ズボンを着用することをおすすめします。うさぎの爪が引っ掛かって抜けないように、セーターや編目の粗いニットなど引っ掛けやすい素材の服は避けてください。

①うさぎを抱っこして座る

はじめにうさぎを抱っこして、椅子か床に座ります。床に座る場合は、脚を伸ばすか膝を曲げて三角座りのような姿勢になります。

初めての場合は、大暴れしても問題ないように床で爪切りをすることをおすすめします。慣れてきたら椅子でもできるようになるでしょう。

②うさぎを仰向けにする

仰向けになっているうさぎ

爪を切りやすいのはうさぎを仰向けにする方法です。仰向けになったうさぎと向かい合わせになるように、うさぎの身体を両足のももで挟みます。2人で行う場合は、うさぎの身体が爪を切る人と向かい合うようにして、抱っこをする人のももの間に挟んで手で支えます。慣れていないうさぎは、この体勢にされるだけで蹴りを入れてくる場合もあります。様子をみながら挑戦しましょう。

③血管から2~3mmの場所で爪をカット

足を持たれているうさぎ

利き手に爪切りを持ち、もう一方の手でうさぎの足を持ちます。血管が見えない場合は、光をあてて透かして血管の位置を確認。2~3 mm離れたところに爪切りをあててカットします。カットする瞬間、うさぎが「ビクッ」として驚いて暴れてしまうことがあります。保定がゆるすぎると、暴れた反動で地面の着地に失敗したり、暴れたことによって骨が折れてしまう場合があります。うさぎにとってきつくなりすぎない力で保定をし、万が一「ビクッ」と暴れた場合にも、落ち着いて保定をきつくしたり、急にゆるめるなどしないようにしましょう。暴れて保定から離れた場合にもケガをしないよう、床の上で爪切りをする、まわりにやわらかいマットなどをひくなどして、徐々に爪切りに慣れさせていきましょう。

爪切り直後のうさぎの爪
▲爪切り直後は角がある

④角の尖った箇所をカットして整える

爪切り後に整えられたウサギの爪の画像
角を落としてあげるとこんな感じ。うさぎにとっても、飼い主にとっても安全。

余裕があれば、切り落として尖った角を少しだけカットして爪の形を整えます。うさぎ用のやすりを利用してもよいでしょう。

⑤うさぎをねぎらう

うさぎとの爪切りにおいて、一番重要なのはここ。爪切りが終わったら、大好きなおやつをあげて我慢したうさぎをたくさん褒めてあげましょう。

うさぎの爪は前足に5本、後足に4本、合計18本あります。前足の横の爪は忘れやすいので気をつけて。地面につくことはありませんが、この爪も伸びています。

コツは決して無理をしないこと!

うさぎ

うさぎに負担がかからないように、爪切りはできるだけ素早く終わらせたいもの。それでも慣れるまではどうしても時間がかかってしまうでしょう。そんなときは一気に切ろうとせず、1日に1本ずつ切るなど、自宅で切るメリットを生かして少しずつ切ってもOK。うさぎは爪の血管のすぐそばまで神経が通っているため、血管のギリギリを切ると、出血していなくても痛がります。慣れないうちは血管から3 mmを目標に、もう少し離して切るのもいいでしょう。どうしても嫌がるときは抱っこで切るのではなく、うさぎが床でリラックスしているときにこっそり切るという方法もあります。できれば2人がかりで、ひとりが撫でている間にもうひとりが爪を切っていく方法です。まずはできる範囲でやってみる、と考えて無理をしないことが自宅で爪切りをするコツです。

爪切りに失敗してしまった!

切りすぎて出血した場合には、ガーゼや脱脂綿を爪の断面にあてて、止血しましょう。止血剤があれば出血が少しおさまったところを狙って、爪の断面に少量塗り込みます(血が出ている最中は止血剤の粉が血に流されてしまうのであまり効果がありません。また、止血剤をうさぎが口にしないようにしてください。)。止血剤がなくても、爪からの出血は通常数分で止まります。万が一、出血が止まらない、血がとまったのに痛そうにしているなどの症状があれば、動物病院を受診してください。

爪が引っ掛かり抜けてしまう事故もあります。その場合は、ガーゼかタオルで出血部位を抑え、すぐに動物病院で診てもらいましょう。いずれにしても、爪切りをしたことにより、心配なことがあるときはすぐに動物病院を受診して処置を受けましょう。自宅では清潔な環境を保ち、傷が治るまで化膿していないか注意して見てください。

まとめ

うさぎの健康のために爪切りは大切ですが、うさぎは嫌がって暴れるのでお互いに大変なものです。最初は無理をせず、動物病院やうさぎ専門店を頼りながら、余裕があるときに少しずつチャレンジして、ステップアップを目指しましょう。

かわいいうさぎとの出会いをお探しなら

末永く一緒に暮らせる、大切な家族と幸せな出会いをしたいものですね。そんな出会いをお探しなら、ハローべいびぃを活用してみては?全国のペットショップからかわいいうさぎを探すことができる情報サイトです。エリアや品種などの条件から簡単に検索できるので、ぜひご覧ください!

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。