
ヒマラヤンはうさぎの品種のひとつ。国内では珍しい品種ですが、どんなうさぎなのでしょうか。その特徴や飼い方について紹介します。
ヒマラヤンはどんなうさぎ?
ヒマラヤンは古くから存在するうさぎの品種で、ネコの一品種・ヒマラヤンの種名の由来になったといわれています。このうさぎがなぜ「ヒマラヤン」と呼ばれるのかは不明で、ヒマラヤ山脈原産という説もありますが、明確な関連は明らかになっていません。
ヒマラヤンの特徴は?
まるでシャムネコのように、白い体にピンポイントで鼻、耳、足先、しっぽに黒や茶などの色が入っているのが特徴です。目は赤です。うさぎの中では珍しい円筒形の体型も特徴で、頭からお尻までがひとつの細長い筒のように見えます。ラビットショーでは、耳を伏せ、お腹を下にぴったりつけて体を伸ばす独特のショーポーズをとります。その姿は愛好家の間で「新幹線」と呼ばれることも。小型のうさぎで体重は1.5~2㎏ほどになります。
ヒマラヤンのカラーバリエーションは?
ARBA(アメリカうさぎ協会)ではポイントの色が4色公認されています。もとはブラックのみでしたが、1900年代にイギリスやアメリカで交配が進められ、チョコレート、ブルー、ライラックが誕生しました。
ヒマラヤンの性格は?
性格は優しく穏やかで、愛情深いうさぎです。飼い主のことも大好きで、なでられることや一緒に遊ぶことを喜んでくれます。抱っこもあまり嫌がりません。ほかのうさぎと比較して活発なタイプではありませんが、ケージから出て散策して遊ぶことや家族のそばにいることが好きなので、毎日のへやんぽと広い遊び場が必須になります。
ヒマラヤンはオスとメスで性格が違う?
うさぎは一般に、男の子の方が穏やかで懐きやすく、女の子は気が強い傾向があります。一方で、男の子は縄張り意識の強さからトイレ以外の場所でおしっこ(マーキング)をすることも。女の子は妊娠するとさらに気性が荒くなる傾向があります。ただし、性格や行動は個体差が大きく、マーキングをしない男の子もいれば、穏やかで懐っこい女の子もいるのが実情です。
ヒマラヤンの歴史は?

ヒマラヤンは世界の広い範囲で古くから存在する品種で、正確な起源はわかっていません。名前もヒマラヤンのほかにブラック・ノーズ、チャイニーズ・ラビット、ロシアン・ラビット、エジプシャン・ラビットなど20種類以上の呼び方が確認されています。最も古い記述は1857年にヨーロッパで出版された本にあります。また19世紀末に中国からイギリスの動物園に導入されたことがわかっています。
アメリカには1800年代の終わりから1900年代初頭にかけて、イギリスから持ち込まれました。当初は毛皮のために飼育されていましたが、やがて各地のショーに登場するようになり、ショーラビットとしての人気が高まりました。その後ARBAが発足し、最初に登録された品種のひとつとなっています。現在ではペットとしても人気を集めています。
ヒマラヤンの寿命は?
ペットのうさぎの寿命は、以前は約7~8年といわれていました。それが近年伸びている傾向にあり、10歳を超える子も珍しくありません。ちなみにギネス記録に認定された最も長生きしたうさぎの記録は、18歳10ヶ月とのこと。家族としてお迎えしたら、食事内容や環境に気を配り、定期的に健康診断を受けて長寿を目指しましょう。
ヒマラヤンとの暮らし方

ヒマラヤンと暮らすにあたって知っておきたい飼い方のポイントや、注意したい病気を解説します。
ヒマラヤンの食事はなにをあげればいい?
うさぎの食事は牧草(チモシー)とペレットが基本。主食となる牧草はお腹や歯のケアにも大切で、充分な量をケージに入れて無制限に与えます。ペレットは成長段階と体重に応じて内容や量を変更します。大人のうさぎの場合、決まった量を1日2回、朝と夕方に与えます。野菜や果物などは必須ではありません。与える場合はおやつとして少量にしましょう。
ヒマラヤンにしつけはできる?
うさぎはトイレや名前を覚えます。トイレは場所を決めて、その中におしっこを染み込ませたティッシュやうんちを入れることを繰り返して覚えてもらいましょう。うさぎは一般に抱っこが嫌いな子が多いですが、ヒマラヤンはあまり嫌がらない子が多いようなので、練習をすれば慣れてくれるでしょう。
一方で、何でもかじる、後足で大きな音を鳴らす、マーキングをするといった行動は、うさぎの本能的な行動なのでしつけでやめさせることはできません。かじってほしくないものや汚されたくないものは保護する、うさぎの不満を解消するなどして対応しましょう。
ヒマラヤンに必要な飼育環境や適温は?
温度管理ができる室内で飼育します。おもにうさぎの家となるラビットケージの中で過ごし、1日に1度はケージから出して室内を散歩できるようにします。ケージは家族が集まるリビングで、うさぎが落ち着ける壁際に置いてください。人懐っこく家族と過ごすことが好きなので、ケージの外にも家族の側でくつろげる場所があるといいでしょう。
うさぎの飼育に最適な温度は18~24度、湿度は40~60%といわれています。真夏でもエアコンを使って室温が28度を越えないようにしましょう。温度の急変で体調を崩すこともあるので、急に気温が上下する季節の変わり目にも体調の変化に気を配り、室温を調節してください。
ヒマラヤンはどんな病気に気を付けたらいい?
ヒマラヤンには遺伝的にかかりやすい独自の病気はありません。次のようなうさぎが一般にかかりやすい病気に注意してください。
胃腸うっ滞
うさぎに多い胃腸トラブルです。不適切な食事やストレスが原因となって胃腸の動きが低下することで起こります。症状は食欲不振、うんちが少なくなる(小さくなる)、お腹が張る、腹痛で体を丸めて震える・歯ぎしりをするなど。軽症であればお腹のマッサージや体を温めることで回復するケースもありますが、急激に症状が悪化することや、24時間以上何も食べないでいることで命に関わる場合もあります。人間と同じ感覚で単なる胃腸の不調と考えず、食欲がなくなったら早めに動物病院を受診してください。
不正咬合
歯の噛み合わせがおかしくなり、歯が過剰に伸びてしまった状態です。うさぎの歯は生涯伸び続けますが、通常は草を食べることで歯が摩耗し、適切な長さが保たれます。これが不適切な食事や硬いもののかじり過ぎ、外傷、遺伝的な要素などによってバランスが崩れると、過剰に伸びる歯が現れます。
不正咬合になると、食べたがるのに食べられない、よだれを流すなどの症状がみられます。歯の根もとが伸びて涙が流れる管を圧迫し涙があふれたり、歯の根もとに膿瘍ができたりすることも。悪化すると二次的な病気を起こして命に関わるケースもあります。
繊維質の多い牧草をたくさん食べさせることが予防になるほか、動物病院で定期的に歯のチェックを受けておくと、早い段階で発見して悪化する前に治療を受けることができます。
まとめ
日本では珍しいヒマラヤンですが、世界的に見ると古くから広い範囲に生息し、長く愛されてきたうさぎです。シャムネコのような気品のある毛並みやうさぎには珍しい円筒形の体型など、独自の魅力が詰まった品種でもあります。また、一番の魅力は優しく愛情深い性格ともいえます。大切に飼うことで、飼い主と家族が大好きなかけがえのないパートナーになってくれるでしょう。
