
うさぎにチモシーを買おうと思ったとき、いくつか種類があって迷ってしまったことはないでしょうか。ここではチモシーを中心に牧草の種類や選び方を解説します。
うさぎにとってチモシー(牧草)を食べる役割は?
うさぎがチモシーをたくさん食べるのには理由があります。主に次のような効果があります。
お腹の調子を整える
草食動物のうさぎは、繊維質の多い草から栄養をしっかり吸収するようにできています。そのために、常にお腹に食物を入れて動かし続ける必要があり、ちょっとした食欲不振から命に関わることがあります。なんらかの原因によって、胃腸の動きが悪くなってしまった状態を胃腸うっ滞といいます。
チモシーに多く含まれている粗繊維は、うさぎの腸を刺激してその動きを促進する役割があり、さらにたんぱく質は少なめでたくさん食べても太ることはないので、うさぎのお腹を整えるのに理想的な牧草です。
歯を削って伸び過ぎを防ぐ
うさぎの歯は一生伸び続けます。歯が伸び過ぎると不正咬合と呼ばれる噛み合わせが異常な状態になり、二次的な病気(※)にかかることや、食事が摂れなくなることがあります
※歯根膿瘍など
チモシーのようなイネ科の植物は、土からケイ素を吸収し、葉や茎の表面にシリカ(二酸化ケイ素)として沈着させています。こうして葉や茎が丈夫になり、虫に食べられる被害を減らしています。その丈夫さによって噛み応えができ、うさぎの歯を削る効果があります。一般的にケイ素はどの植物にも含まれていますが、イネ科ではその含有量が特に高いことがわかっています。さらに繊維が多いので、よく噛まないと食べることができません。ケイ素が多く含まれるチモシーをしっかり噛んで食べることでうさぎの歯はすり減り、適切な長さに保たれます。
うさぎ以外にも歯が伸びる動物である、チンチラやプレーリードッグ、モルモットなども同じようにケイ素が多く含まれたチモシー(牧草)を食べる必要があります。
チモシーと牧草はなにが違うの?
牧草は、家畜の飼料として栽培される草のこと。イネ科とマメ科にわかれ、特にイネ科にはさまざまな種類があります。刈り取ったままの生牧草、天日干しで水分を減らした乾草、乳酸発酵させたサイレージと、加工方法によって3つにわけられます。うさぎが食べるのは生牧草か乾草です。
チモシーはイネ科の牧草の1品種を指します。世界中で牧草としてメジャーな草で、チモシーの乾草は広く流通しています(日本にはおもにアメリカやカナダから輸入されているほか、国内では北海道で生産されています)。そのため、牧草=チモシー乾草という意味でいわれることもよくあります。
チモシー(牧草)にはどんな種類がある?
うさぎの食事として販売されているチモシーにはさまざまなタイプがあります。うさぎの牧草として見かける機会の多いアルファルファと合わせて説明します。
・チモシー1番刈り
チモシーは牧草地で種から栽培され、ある程度の草丈に育ったところで茎を残して刈り取られます。最初の刈り取り時期である春から初夏にかけて収穫されたのが1番刈りです。若い茎なので硬さがあり繊維質も豊富で、土の中から吸収したミネラルも豊富に含まれています。
・チモシー2番刈り
1番刈りを収穫したあと、夏から秋にかけて残った茎が再度伸びて成長したところを収穫したのが2番刈りです。さらに、2番刈りを刈ったあとに成長した分を刈り取ったものが3番刈りとなります。収穫のタイミングが後になるほど、草や葉は細く柔らかくなり、嗜好性は高くなります。一方で粗たんぱく質や粗繊維などは減っていきます。
・アルファルファ
マメ科の代表的な牧草で、ルーサンとも呼ばれます。チモシーのようなイネ科の牧草が低たんぱくで高繊維なのに対して、アルファルファは高たんぱくで低繊維です。うさぎは好んで食べますが、カルシウムも多く含むので与え過ぎに注意してください。栄養価が高いので、充分に成長したうさぎに与えると肥満になりやすいです。
シングルプレスとダブルプレスのちがい

収穫して乾燥させたチモシーは、運搬のために圧縮されます。シングルプレスは畑でまとめて圧縮されたもので、茎や穂がほとんど潰れることなく、茎が長く残ります。輸送のコストを抑えるために、シングルプレスをさらに機械で圧縮したものがダブルプレスです。こちらは茎や穂がつぶれてやわらかくなっています。
このほか、うさぎにあげられるイネ科の牧草として、オーツヘイ(エンバク)、イタリアンライグラス、バミューダグラス、オーチャードグラスなどさまざまな種類があります。
うさぎのチモシー(牧草)はどんな風に選んだらいい?
基本の牧草として、まずはチモシー1番刈りのシングルプレスをあげてみましょう。うさぎ用の牧草として広く販売されているので手に入りやすく、主食として最適です。まずこれをあげてみて、あまり食べないようであれば、好みに合わせて柔らかめの2番刈りやダブルプレス、チモシー以外のイネ科の牧草を加えます。牧草の種類は1種類でないといけないことはありません。チモシー1番刈りを食べていても、ほかの牧草も好むなら、数種類を混ぜてOKです。多種類をあげると、うさぎに選んで食べる楽しみも提供できます。
アルファルファはうさぎが好んで食べるものの、栄養価が高く繊維が少ないのでメインの牧草としてあげ続けるのには不向きです。マメ科の牧草なのでイネ科のチモシーの代わりにはなりません。子うさぎや妊娠期のうさぎ、高齢でやせたうさぎなど、高栄養な食事が必要な時期には足してあげてもいいでしょう。
1日にどれくらいチモシー(牧草)をあげたらいい?
とにかくいっぱいあげる!が正しい答えです。

チモシーは一日中いつでもうさぎが食べたいだけ食べられるようにしておきましょう。食べる量はうさぎによって異なりますが、基本的にはケージの中にいつでもチモシーがある状態にしておきます。古くなったチモシーは食べなくなることがあるので、ペレットをあげるタイミングなどで、食べ残しは捨てて交換します。中には、チモシー入れからチモシーを出すだけ出して、下に落ちてしまったものはもう食べないという子も。ケージの中でうさぎが踏んでいたり、うんちやおしっこがついてしまっている場合には、もったいなくても捨てて新しい新鮮なチモシーをあげるようにしましょう。
うさぎがチモシー(牧草)を食べない!そんなときはどうしたらいい?
■もしかしたら、体調不良かも?
今までは食べていたのに急にチモシーを食べなくなったときは、体調を崩していることが考えられます。胃腸うっ滞で食欲が落ちると、まずチモシーから食べなくなることがあるので、その初期症状かもしれません。また歯が伸び過ぎて口の中に痛みがある場合も、牧草を食べなくなります。急に食欲がなくなった、チモシーを食べる量が急激に減った場合には、うさぎに詳しい動物病院で体に異常がないか診てもらいましょう。
■食の好みに敏感なうさぎかも?
食にこだわるうさぎでは、牧草のロット(製造単位)が変わったことや、湿気で香りがとんでしまったことで食べなくなることがあります。牧草の袋が変わるときは、前の袋がなくなる少し前から、新しい袋の牧草を混ぜて慣れてもらうようにしましょう。また牧草は1~2ヶ月以内に食べきれる量を購入し、食品保存用のクリップで開け口を止めておくなど密閉して保存してください。
■そもそもチモシーが好きではないかも?
もともとチモシーを食べないうさぎもいるでしょう。うさぎは食の好みも個体差が大きく、中にはどうしてもチモシーを食べない子もいます。歯や胃腸の不調がなく、健康であることが確認できていれば、刈り取り時期やプレスの種類を変えてみましょう。
それでもチモシーを食べないときは、メインをほかのイネ科牧草に変更しても構いません。乾草ではなく生牧草ならよく食べたり、少しだけ電子レンジで温めて香りを立てると食べたりすることもあります。チモシーをぎゅっとキューブ状にしたものや、牧草をベースに作られたペレットをあげてチモシーの味に慣れてもらうのもいいでしょう。
飼い主さんはうさぎが食べる草探しで大変かもしれませんが、少しの工夫で食べてくれることもあるので、いろいろと試してみましょう。うさぎ専門店などに行くと、さまざまな牧草が販売されていますよ。
まとめ
チモシーのようなイネ科の牧草をたっぷり食べることは、うさぎのお腹と歯の健康のために不可欠です。うさぎの牧草として一般的なチモシー1番刈りをメインに、うさぎの好みに合わせてほかの種類を足すのもいいでしょう。どうしてもチモシーを好まないときは、ほかのイネ科牧草をメインにしても大丈夫。イネ科の牧草の中からうさぎが好むものを見つけて、たくさん食べさせてあげてくださいね。

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