「うさぎは寂しいと死んでしまう」という話を聞いたことがありますか?そんな話を聞いて一緒に暮らすうさぎは大丈夫なのか、留守中に寂しい思いをしていないか不安になる人もいるでしょう。ここではその噂の真相と、うさぎは寂しくなることがあるのか、その場合どんな反応をするのか、対処法とともに紹介します。

「うさぎが寂しいと死ぬ」は都市伝説

結論からいうと、うさぎは寂しいという理由で死んでしまうことはありません。うさぎは野生では少数の群れで地中のトンネル状の巣穴を共有しています。そのため社交性はありますが、大人のうさぎは寝るときも草を探して食べるときも基本的に単独行動です。うさぎにとって、1羽だけで寝ることもごはんを食べることも自然なこと。それで極端に寂しい思いをすることはまずありません。一般的なうさぎの飼い方をしていれば、寂しいからと死んでしまうことはないのです。大半のうさぎはそれで大きなストレスを抱えることもないでしょう。

寂しいと死ぬと言われる理由は?

抱っこされるうさぎの画像

では、どうしてそんな風に言われるようになったのでしょうか。その理由として次のことが考えられます。

ドラマの台詞やヒット曲の歌詞で広まった

「うさぎが寂しいと死ぬ」という話が広がった要因には、人気ドラマやヒット曲の影響があります。90年代の人気ドラマで「うさぎは寂しいと死ぬ」という内容の台詞があり、ここから広く認知されるようになりました。また同じく90年代のあるヒット曲の歌詞にも、うさぎが「淋しすぎて死んでしまう」という内容があり、さらに広がっていきました。

体調不良を隠す習性からきているという説も

ドラマの台詞になる時点である程度噂にはなっていたと考えられますが、それはうさぎの習性から言われるようになったと考えられています。

野生ではケガや病気で弱っていることを天敵に知られると、たちまちターゲットにされてしまいます。体の不調を隠すことは生き残るための戦略のひとつで、人と暮らすうさぎにもその習性が残っています。そのため飼い主が病気に気づけないまま、症状が悪化して突然死んでしまうこともあります。飼い主が異変に気づけなかった理由として、忙しくてあまりかまっていなかった、こまめに様子を見ていなかったということもあるでしょう。そのようなこともあり、寂しいと死んでしまう、という認識につながった可能性があります。

体の不調を隠す動物は珍しくありませんが、うさぎは特に消化器の一般的なトラブルから死につながることがあります。「胃腸うっ滞」は多くのうさぎが経験するよくある病気です。食事の変化や温度変化などが原因で消化器の動きが悪くなることで引き起こされる食欲不振が主な症状です。多くは治療すれば回復しますが、悪化すると強い痛みでショック死をすることや、1日以上何も食べないことで消化管や肝臓にダメージを受けて死につながることがあるのです。

ストレスが死につながることがあるのは事実

うさぎが大きなストレスをうけると、胃腸うっ滞などの病気になることがあります。その病気が悪化すると、やはり死につながります。うさぎは繊細なので、ストレスの原因はさまざまではっきりとわからないこともあります。実際、孤独であることもうさぎの性格によっては強いストレスになるかもしれません。そのストレスから体調不良になり、飼い主がそれにも気づけないでいると、やがて死んでしまうことになります。仲の良いほかのうさぎや飼い主を突然失ったとき、残されたうさぎが喪失感から一気に体調を崩して死んでしまうこともあります。

このようなうさぎの生態に加えて「うさぎ=か弱い」というイメージから、寂しいと死んでしまうと言われるようになったとも考えられます。

うさぎも寂しくなることがあるの?

横になるうさぎ

死ぬことはないにしても、必要なだけ他者と関わることができなければ、やはりうさぎも寂しくなってしまいます。もともと群れで生活していたので、一緒に暮らす家族や仲間と思える存在は必要です。幸い、飼い主がうさぎの家族になり、コミュニケーションを充分にとることで寂しい気持ちを解消することができます。

うさぎが寂しいときのサイン

うさぎが孤独を感じているとき、次のような様子が見られるといわれています。

・飼い主の気を引く行動をとる

飼い主のところに来て掘る動作をしたり噛みついたりします。また足ダン、ケージをかじる、室内のものをかじるなどして飼い主が注意するために近づいてくることを覚えると、気を引くために繰り返すことがあります。

・攻撃的になる

突然飼い主に噛みつくなど、攻撃的な行動をとることも。

・自分の毛を抜いてしまう

寂しさを紛らわせるために毛づくろいをし過ぎてしまい、毛を抜きすぎて毛が薄くなってしまうことがあります。

・食欲や好奇心がなくなる

食欲が落ちて食べ物に興味を持たなくなることも。また何事にも好奇心を持たなくなり、飼い主がなでても喜ばなくなってしまうこともあります。

このようなサインは、寂しいこと以外の原因でストレスがあるとき、体調不良があるときにも見られることです。ものをかじることもうさぎの本能的な行動で、必ずしも寂しいからしているとは限りません。ほかに原因が見当たらず、うさぎにあまりかまえなくなったタイミングでこのような様子が見られたら、寂しがっている可能性があります。

うさぎに寂しい思いをさせないためにできること

抱っこされるうさぎの画像

うさぎに寂しい思いをさせないために、飼い主にできることを知っておきましょう。 まずは、毎日必ずケージから出して部屋を散歩させ、うさぎとふれ合う時間をとること。できれば同じ時間に規則正しくするのが理想です。毎日飼い主とふれ合う時間があるとわかることで、うさぎは安心できます。 なでたり、グルーミングをしたり、一緒に遊んだりすることは、うさぎの仲間同士で行っていることの代わりになります。こうした時間を積極的にとりましょう。

またうさぎに話しかけることも習慣にしてみましょう。慣れればうさぎも言葉がコミュニケーションになっていることを理解し、話を聞こうとしてくれます。簡単な単語もいくつか覚えることができます。朝起きたとき、出かけるときなど、お世話に関係のないタイミングでも、ケージをのぞいてうさぎが起きていれば声をかけるのもいいでしょう。そして毎日のルーティン通りにできないときは、前もってうさぎに話しておきましょう。

注意したいのは、うさぎがかまってほしくないタイミングでかまい過ぎること。うさぎが眠いときにかまってばかりいると、逆にストレスを与えることになります。うさぎが関わってほしいタイミングでふれ合うことが大切です。生活リズムから考えると、うさぎは夜と昼に眠って朝と夕方に活動する習性があります。なるべく朝と夕方の活発な時間に遊ぶようにしましょう。またうさぎの方から寄ってきたときは、できるだけうさぎに集中して向き合ってあげましょう。

うさぎは多頭飼いをするべき?

チモシーを食べる2羽のうさぎ

うさぎの仲間がいれば寂しい思いをさせないかも、と思う人もいるでしょう。実は、多頭飼いは寂しいことへの対応としておすすめできない点もあります。うさぎは生まれたときから一緒にいる兄弟姉妹や仲間とは仲良く過ごすことができますが、初めて対面した相手とはケンカになることが少なくありません。特に男の子同士は縄張り争いをするので、ケガをするほど激しいケンカになることもあれば、縄張りの中にほかの男の子がいるだけでストレスになることがあります。かといって、男の子と女の子で飼うと予期せぬ妊娠をする可能性が高いので、あらかじめ去勢や避妊手術をしておくことになります。またペアで飼っていると、片方が先に死んでしまったとき、残されたうさぎはひどく寂しい思いをすることになります。

どうしても単独で過ごす時間が長く、仲間が必要だと思う場合は、多頭飼育の注意点をよく確認してから新しいうさぎをお迎えしてください。

まずは個々のうさぎを理解することから

うさぎの性格は個体差が大きいものです。独立心が強くなるべくそっとしておいてほしいというタイプもいれば、飼い主に甘えるのが好きで長い時間一緒にいてほしいと思うタイプもいます。後者のタイプであれば、一般的に言われているよりも多くふれ合う時間をとり、寂しがらないように気をつけてあげなくてはいけません。飼っているうさぎの様子をよく見て判断してください。

まとめ

うさぎは寂しいというだけで死ぬことはありません。うさぎは現在の飼育ブームが始まるずっと前から飼われていますが、残念ながら「水を飲まない」など誤った情報が信じられていたこともあります。今は正しい飼い方が広がったことで、うさぎの寿命は飛躍的に伸びています。1羽だけで長生きしているうさぎもたくさんいます。うさぎがストレスの兆候もなく元気にしていれば、寂しくなっていないか心配することはないでしょう。ただし、うさぎは個性が幅広いことも忘れないでください。大半のうさぎは大丈夫でも、中には寂しがりやのうさぎもいます。それぞれのうさぎに適した距離感で接していくことが何より大切です。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。