うさぎのハエウジ症は、ハエの幼虫であるウジがうさぎの皮膚に住みつくことで起こる病気です。

特に夏場、屋外で飼育しているうさぎで起こりやすい病気のため、注意が必要です。 今回は、うさぎのハエウジ症について紹介します。

うさぎのハエウジ症ってどんな病気?原因は?

ハエの幼虫であるウジがうさぎの皮膚に住みつくことで起こる病気です。
ハエがうさぎの皮膚に卵を産み付け、それが孵化して幼虫であるウジが皮膚に住みつきます。

ウジは皮膚に穴を開けて奥にもぐり込み、傷ついた皮膚や皮下組織を食べ続け、栄養を摂取しながら皮膚の下を移動します。

屋外で飼育されているうさぎで起こりやすく、排泄物で汚れている場所や、脇や首、陰部などしわになって湿っぽくなりがちな場所、外傷や潰瘍などの傷口がある場所に寄生されやすいです。これは、ハエが傷口や尿、便などで汚染された毛皮を好むためです。

全身状態が悪く、グルーミングが上手にできないような病気の末期時に起こるケースもあります。

うさぎのハエウジ症はどんな症状が出る?

じっとしているうさぎ

うさぎの皮膚にウジが多数付着した状態が認められますが、毛で覆われていて気が付かないこともあるため注意が必要です。

また、ウジが皮膚を食い破って侵入することで、皮膚に穴が開き、炎症や細菌感染、皮膚の壊死(組織や細胞が死んでしまうこと)を起こします。
それによって強い痛みや不快感があり、食欲や元気が低下してしまいます。

また、皮膚の下にウジが侵入して多数寄生することで、皮膚が盛り上がった状態になることもあります。

うさぎのハエウジ症に関連する病気はある?

ハエウジ症が起こりやすい病気のひとつに、湿性皮膚炎があります。
湿性皮膚炎は、皮膚が継続して湿った状態になることで細菌が増殖して皮膚炎を起こし、皮膚の赤み、脱毛、ただれ、ジュクジュクした分泌物が出るといった症状が出る病気です。

また、乳腺腫瘍や皮膚腫瘍など、体の表面に腫瘍ができ、それが破裂してしまった場所にもウジが寄生しやすくなります。

うさぎのハエウジ症はどんな治療をするの?

診察中のうさぎ

卵とウジをできる限り除去する必要があります。ウジをつぶしてしまうと体液でアレルギー反応を起こし、うさぎがショック状態になる可能性があるため、見つけた場合は無理にとろうとせず、動物病院を受診しましょう。

病院では、まず、患部と周囲の毛を注意深く毛刈りします。ハエの卵がついている場合にはそれも刈り取り、ウジの寄生範囲と、異常が見られる皮膚の範囲を確認します。

次に、皮膚に寄生しているウジをピンセットなどでつまみ出します。100匹以上寄生していることもあるため、治療には時間がかかる場合があります。

壊死している皮膚があれば取り除きます。ウジが皮膚の下に寄生していることもあるため、その場合には皮膚を切開してウジを除去します。痛みを伴う処置のため、全身麻酔が必要になります。
その後、消毒や洗浄を行い、抗菌薬や痛み止めの投与を行います。

体内にもぐり込んでしまったウジに対して、駆虫剤の投与を行うこともありますが、虫が内部で死滅することでうさぎがアレルギー反応によるショックを起こす恐れがあるため、ステロイド剤を併用することもあります。

うさぎのハエウジ症の予防法は?

太ったうさぎ

ハエは傷口や糞、尿で汚れた被毛を好むため、下痢をしている、外傷や潰瘍、湿性皮膚炎がある、後足の運動障害や排尿障害があり尿で汚れやすいなどの症状があるうさぎは、ハエのくる可能性がある場所で飼育しないようにしましょう。

室内飼いの場合にも、飼育環境を清潔で乾燥した状態に保つことが重要です。
病気の末期や高齢でグルーミングがうまくできないうさぎも発症しやすいため要注意です。

太っていると皮膚にしわができやすく、ハエウジ症のリスクが高くなるため、体重管理を行うことも予防につながります。

まとめ

うさぎのハエウジ症は、うさぎの皮膚や内部にウジがわく衝撃的な病気です。
強い痛みや不快感を伴い、衰弱してしまうと命に関わるケースもあります。

そのため、日ごろから清潔な環境で飼育することが非常に大切です。 また、皮膚を定期的にチェックし早期発見できるようにしましょう。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。