腎臓は、左右に1つずつある、ソラマメ状の臓器です。おしっこを作る臓器として有名ですが、その他にもさまざまな役割があり、腎不全になると体にとっていろいろな影響を及ぼします。今回は、うさぎの腎不全についてわかりやすく説明していきたいと思います。
うさぎの腎不全ってどんな病気?
腎臓は、血液をろ過することによって、体の水分、塩分やカリウムといった電解質を調整したり、老廃物を尿として排泄する働きがあります。また、血液を作るホルモンを産生する臓器でもあります。
「腎不全」とは、腎臓の働きが低下した状態のことをいいます。腎臓の働きが低下すると、血液のろ過がうまくできないために、老廃物が排泄されず体内に蓄積されてしまいます。また、水分や電解質のバランスもとれなくなってしまいます。血液を作るホルモンが産生されず、貧血になることもあります。
腎不全には2種類あり、数時間から数日で急に症状が進行する「急性腎不全」と、長い月日をかけてゆっくりと進行する「慢性腎不全」に分類されます。
うさぎの腎不全の原因は?関連する病気はある?
急性腎不全は、腎前性、腎性、腎後性に分類されます。
腎前性腎不全は、外傷などによる出血や、熱中症、消化器症状などによる脱水、心臓の病気などによって腎臓に届く血液量が低下することで起こります。腎性腎不全は、糸球体腎炎などで腎臓に炎症が起こったり、うさぎにとって毒性のある物質を摂取してしまうことによって発症します。
腎後性腎不全は、尿管や尿道に結石が詰まることなどで起こります。うさぎではカルシウム結石がよく見られます。
慢性腎不全は、パスツレラ菌などの細菌や、エンセファリトゾーンといった寄生虫の感染、結石、薬、腫瘍、老化などが原因で起こります。急性腎不全が治らずに慢性化することで起こることもあります。
うさぎの腎不全はどんな症状が出る?
急性腎不全では、食欲や元気がないといった症状が見られます。
おしっこは、初期は正常に出ていますが、進行すると血尿がでたり、尿の量が減り、最終的には出なくなることもあります。慢性腎不全は、長期間かけて進行するため初期の段階では症状があまりなく、血液検査で発見されるケースも多いです。水を飲む量やおしっこの量が増える、食欲や元気が落ちる、体重が減る、貧血によりフラフラするなどの症状が見られることで、飼い主が気づき、動物病院へ連れていくことで発症が明らかになることも。
うさぎの腎不全はどんな治療をするの?
血液検査によって腎臓や電解質、貧血の数値を、またレントゲンや超音波検査、尿検査によって腎臓の構造や大きさ、結石や細菌感染がないかを確認します。腎臓にとって毒性のある薬を投与している場合には中止し、必要に応じて静脈点滴や皮下補液、抗生剤や駆虫薬、貧血の治療薬投与を行います。カルシウム結石が原因の場合には、食事中のカルシウムを制限をすることもあります。
急性腎不全は、原因を除去し適切な治療を行えば回復することもあります。ただし、腎臓の組織は一度破壊されてしまうと治すことができないため、慢性腎不全になってしまった場合には継続した治療が必要になります。
うさぎの腎不全の予防法は?
カルシウムの多いごはん(アルファルファ牧草やカルシウム含量の多いペレットなど)をたくさん与えるのは避け、チモシー牧草やカルシウム含量の適正なペレットをあげるようにすることも大切です。また、脱水を起こさないように、毎日新鮮なお水を好きなだけ与え、できるだけ水分量の多い野菜を与えるようにしましょう。
特に夏は熱中症にならないように、部屋の温度や湿度を調整しましょう。
早期発見により進行を抑えることができる可能性があります。定期的に血液検査や尿検査などを受けるようにしましょう。
まとめ
うさぎにとって腎臓はさまざまな役割をする大切な臓器です。腎不全が進行すると命に関わることもあるため、食欲や元気、おしっこの量などに異常を感じたら早めに病院を受診するようにしましょう