白い布に埋もれて寝る子猫

猫は「寝る子」から名付けられたと言われるほど、一日の多くの時間を寝て過ごす動物です。 しかし、「寝る」と言っても、環境や猫の性格によって寝姿は異なります。ツンデレな猫だったとしても、寝姿で「暑いのか、寒いのか」「リラックスしているのか」など、体調や気持ちを見て取ることができます。

猫は睡眠時間が長い!

猫は一日に平均16時間も寝る

猫は、一日平均16時間は寝ています。猫がどうして長く寝るのか、その理由はまだ解明されていませんが、子猫のときには、眠っている間だけ成長ホルモンが放出されます。睡眠は、猫の体の機能を正常に保つために必要なものです。

猫がよく寝る理由

なぜ猫はこんなに長い睡眠を必要とするのでしょうか。それは、肉食である猫の食生活に関係しています。 肉は高カロリーなので、一度の食事で一日中眠っても十分なエネルギーを蓄えられます。猫の食事は犬と比較すると少量で高タンパク・高カロリーです。肉の消化には、多くのエネルギーを要するため、猫は寝ている間に消化し、エネルギー消耗を抑えます。さらに、猫は狩猟動物なので、獲物を追うためにエネルギーを蓄える習性があります。

猫の寝方は季節によって変わる?

猫の寝方が季節によって変わるのは、体温の調節に大きく関係しています。
私たち人間も寒いときには背中を丸めたり、無意識に手や身体をさすったりしますよね。暖かい日は、日光浴をしたり、タオルケットを掛けないでお昼寝してしまったりすると思いますが、猫も同じです。

猫の耳や足先には毛細血管が多くあり、暑いときにはこれらが拡張して体内の熱を放出し、寒いときには収縮して熱を逃さないようにしています。
また冬は空気を直接取り込む鼻が冷たくなりやすいので、眠るときには鼻も覆っていることが多いです。

夏の暑い日はのびる

部屋で伸びて寝ている猫

暑い時には身体の中の熱を放出するために、手足を伸ばして寝たり、冷たい場所を選んで、効率よく身体を冷やすためにお腹を下にして寝たりします。

冬の寒い日は丸まる

猫のアンモニャイト

童謡「ゆき」の歌詞で「猫はこたつで丸くなる」とあるように、気温が低く寒い時には身体から熱が逃げないように丸くなって眠る姿がよく見られます。
その姿がアンモナイトの渦巻に似ていることから「アンモニャイト」と呼ばれたりもしています。また、多頭飼いなど複数頭いる場合には、身体をお互いにくっつけて寝る「猫団子」もよく見られます。

体調が悪い時の寝方

猫は体調が悪いことを隠す傾向があります。そのため、普段と違う場所や、飼い主から見えにくい狭い場所や高いところなどで寝ることが多くなります。
とはいえ、猫はもともと狭い場所や高いところが好きなので、寝方だけで体調不良を見極めるのは難しいです。食欲はあるか、下痢や嘔吐はしていないか、撫でようとすると怒るなどいつもと違ったことはないか、さまざまな視点から様子を見ることが大切です。

寝姿から気持ちを読み解く

動物は言葉が話せませんが、その代わりに行動から気持ちを読み取ることができます。
今回は猫の寝姿からわかる気持ちについて、ご紹介します。

顔を前足にうずめる(ごめん寝)

まるで土下座しているかのように見える寝姿からついた「ごめん寝」。うとうとしていてそのまま前に倒れて眠る、眩しさから目を隠すなどさまざまな見解がありますが、猫の狭いところが好きという習性も影響しているのではないでしょうか。床と前足と顔をキュッとうずめるのは、そのほうが安心するからかもしれません。また、寒い日の「ごめん寝」は、冷えやすい足先と鼻を覆って寝ているとも考えられます。

ただし、壁に頭をつけて寝ている(動かない)場合は「ヘッドプレッシング」という病気の可能性があるので、すぐに動物病院へ行って検査してもらいましょう。

香箱座りで寝ている

香箱座りとは、背中を丸め前足を胸の下に折り込んで座る姿のこと。 前足を折って座るとすぐに逃げることができないので、香箱座りが見られるのは猫が安心しリラックスしている時です。香箱座りのまま眠ってしまうというのは、猫が非常に居心地よく感じている証拠です。

お腹を見せる(ヘソ天)

「ヘソ天」とも言われるお腹を見せて寝ているのは、かなりリラックスしているときです。動物にとってお腹は急所にあたる部分なので、慣れない環境や緊張感のあるところでは絶対に見せない寝姿です。とはいえ、「お腹を見せているから触ってもいいのかな?」と不意に触るのはNG。とっても気持ちよく寝ているのに、突然急所であるお腹を触られたらびっくりしてしまい、落ち着いて寝られません。猫が驚いた拍子に噛んだり、引っかいたりすることもありますし、それがトラウマになって、以降ヘソ天で寝てくれなくなることも……。

猫の中には、お腹を撫でられることが好きな子もいますが、気持ちよく寝ているときに触るのは信頼関係ができてからにしましょう。

寝る場所からわかる猫の心理

猫は一日の大半を寝て過ごしますが、寝る場所はどこでもいいわけではなく、その時の気温や気分で心地いい場所を探しています。時には「そんなところで?」と驚いてしまうようなところでも、わざわざ好んで寝ていたりもします。

高い場所

猫は冷蔵庫や棚の上など、周りを良く見渡せる高い場所を好みます。遊びや習慣で上ることもありますが、高いところで寝る場合には、「ひとりになりたい」「涼しいor温かい」「安心できる」といった理由で高い場所を選んでいることもあります。

遊び盛りの子猫は、遊び疲れて途中で寝てしまうということもよくあります。不安定な場所で寝ているときには、そっと抱きあげて安全な場所で寝かせてあげるようにしましょう。

狭い場所

鍋の中に入っている猫

これも多くの人が知っていると思いますが、猫は狭い場所が好きです。狭いところの方が安心できるという心理から鍋や段ボール箱など、とにかく入れるところがあればすっぽりと入って寝てしまいます。

そんな姿が注目され2017年「猫は個体かつ液体の両方になれるのか?」という研究がイグノーベル賞を取ったことでも話題になりました。

飼い主さんの近く

パソコンの上に寝てこちらを見る猫

猫はツンデレとよく言われますが、飼い主さんが新聞紙を広げたりパソコンを使って作業していると、新聞紙の上に「でーん」と横たわったり、パソコンのキーボードの上に乗ってくるのは、やはり「かまってもらいたい」という気持ちの現れでしょう。

夜一緒に寝るというのは、飼い主さんのそばが安心するからです。特に寒い季節は布団に入れてと潜りこんでくる子も多いのではないでしょうか。

猫の寝床を用意してあげよう

猫は自分で居心地のいい場所を見つけるのがとても上手です。1日の中で寝る場所を何度も変えて寝ることも珍しくありません。
しかし、猫が見つけた場所が必ずしも安全というわけではありません。例えばカーテンレール。最初の頃は平気でも何度も乗っているうちに突然落ちてしまうということもあります。

猫ベッドで丸まる猫

「猫は高いところから落ちても上手に着地できるから大丈夫」と思いがちですが、床に物が置いてあったら、着地の時にケガをしてしまうこともあります。

そのため、安全な場所で寝てくれるように、いくつかのタイプの寝場所を用意してあげると安心です。隠れられるドーム型のタイプや、窓に取り付けるハンモックタイプ、爪とぎもできるタイプなどさまざまなタイプがあります。また、素材の質感によって温かいものやひんやりするものなどもあるので、猫が自由に選べるようにしてあげると良いでしょう。

まとめ

猫は気持ちや気温、環境によってさまざまな寝方を見せてくれます。「かわいい寝姿」や「面白い寝方」など、見ているとほっこりしたり、思わず笑ってしまったり。でも実は、寝ている場所、寝方から猫の気持ちや体調を見てとることができます。

日常的なシーンでも「なぜあの場所で寝ているんだろう?」「なぜあんな寝方をしているんだろう?」と考えてみると、今よりももっと猫の気持ちがわかるようになるのではないでしょうか。

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ライター

猫百科編集部

猫百科編集部

獣医師を含む猫の飼い主歴10年以上の編集者が集い、毎日、猫の「あるある話」に花を咲かせ、情報交換している。編集部員の面々は、猫との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。