お腹を見せて寝ている猫

言葉を話せない動物たちにとって、しぐさが持つ意味はとても大きいです。人間とともに暮らす猫は、その表現方法やバリエーションが豊富で、上手にコミュニケーションをとっています。今回は、そんな猫のしぐさの中からお腹を見せる行動に焦点をあて、撫でるときの注意点などにも触れながら解説していきます。

猫がお腹を見せるのはなぜ?

お腹を見せる子猫
猫がお腹を見せる理由はいろいろ考えられますが、なかでもよく知られているのは、相手に降参しているという説があります。これは、猫にとってお腹が急所だからです。お腹の部分には骨がなく、内臓が守られていません。自分の弱い部分を見せることで、これ以上攻撃しないという意思を表しているのです。
猫は、普段はお腹を守るような体勢になっていることがほとんどです。

おやつがほしいときや撫でてほしいときに期待を込めてお腹を見せることがあります。このようなシチュエーションでお腹を見せてもらえるということは、猫から信頼されていることの証です。子猫によく見られるしぐさでもあります。

それ以外に、叱られるとすぐにお腹を見せる猫と一緒に暮らしている方もいるかもしれません。この場合は、過去に叱られた際、お腹を見せたら許してくれたという成功体験を学習している可能性もあります。可愛くてついつい許してしまう人間の気持ちを上手に利用していますね。

猫がお腹を見せてくれたら、撫でてもよいサイン?

飼い猫が家の中でお腹を見せることは珍しいことではありません。お腹を見せてくれたとき、撫で方によっては喜んでくれることもあります。とはいえ、お腹は猫にとって「急所」でもあります。タイミングや気分によっては撫でられて嫌がる場合も多々あるので、撫でるときはよく様子を窺うようにしましょう。

寝ているときは触らないで

中には仰向けになって寝る猫もいますが、寝ているときにお腹を触ると、無防備な状態で寝ている猫を驚かしてしまい、いきなり嚙みつかれるなど思わぬトラブルにつながることもあります。しばらくは、トラウマとなって、お腹を見せてくれなくなってしまうかもしれません。
また、仰向けで寝ているときは安心感や甘えたいといった感覚よりも、暑さが原因となっている可能性があります。真夏などは一度部屋の温度を確認してみてください。

猫のお腹のよい撫で方は?

お腹を撫でられている猫
猫のお腹は、とても柔らかく繊細な部位です。猫の呼吸に合わせて優しく撫でましょう。おへそから胸に向かって、こぶしより少し小さいくらいの円を描くようにゆっくりと手を動かすと、気持ちよさそうにする猫が多いです。猫によっては嫌がる子もいるので、猫それぞれに合わせた気持ちのよいポイントを見つけてあげましょう。

前提として、お腹を見せていないときに無理やりに撫でないことと、急所なので基本は触られるのが嫌であることを念頭に置いておきましょう。

猫のお腹のたるみは何?

お腹にたるみがある猫
猫が横向きに寝たとき、脚の付け根に見られるタプタプしたお腹のたるみが気になる方もいるのではないでしょうか。あれは肥満ではなく、いくつかの役割を果たす目的でタプタプしているのです。正式にはルーズスキンと呼ばれ、その名の通り皮膚であって脂肪でありません。
このタプタプには、大きくふたつの役割があります。

ひとつめは、内臓の保護です。骨がなく柔らかい部位であるお腹を、外敵からの攻撃や刺激から守る役割を果たしています。

ふたつめは、柔軟な身体の動きに合わせるためです。高い場所からジャンプしたり、前足と後足を大きく動かして走ることもある猫の身体は、伸縮性が高い必要があります。皮膚に余裕がないと突っ張ってしまい身体をフレキシブルに使うことができないため、皮膚の面積を余分にとってあるのです。

とはいえ、身体全体が丸みを帯びていたりくびれがなかったりする場合は肥満の可能性も考えられます。触ってみて、皮膚というより分厚い脂肪を感じられるケースは注意してください。見た目だけで丸い体型がわかるほどの肥満は、獣医さんに診てもらって食事療法を取り入れるなど対処する必要が出てきます。そうなる前に、定期検診などで測定してもらい適正体重を把握することで、きちんとコントロールするようにしましょう。

まとめ

猫がお腹を見せて仰向けになる様子を「へそ天」と呼ぶ人もいます。その言葉の通り、全身で天を仰ぐような猫の姿はとても可愛くて、もふもふしたい衝動に駆られます。とはいえ、必ずしも毎回同じ理由でお腹を見せているわけではないことを覚えておくと、そのシチュエーションや表情から猫の気持ちがより読み取りやすくなるかもしれません。

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ライター

猫百科編集部

猫百科編集部

獣医師を含む猫の飼い主歴10年以上の編集者が集い、毎日、猫の「あるある話」に花を咲かせ、情報交換している。編集部員の面々は、猫との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。