街で見かける野良猫や、飼っている猫のしっぽに注目したことはありますか?
長い短いだけでなく、「鍵しっぽ」と呼ばれる形のしっぽを持つ猫がいます。
鍵しっぽの猫は昔から幸福をもたらすといわれていますが、何故なのでしょう。その理由と鍵しっぽの秘密について解説します。
鍵しっぽってどんなしっぽ?
「鍵しっぽ」とは、しっぽがくねっと途中で曲がっているしっぽのことをいいます。
猫種で言うと、「ジャパニーズ・ボブテイル」や「マンクス」が鍵しっぽと呼ばれるしっぽを持つ猫です。
本来、猫のしっぽは真っ直ぐですが、稀に生まれながらにしっぽが曲がっていたり、事故などで曲がってしまったりすることもあります。
尾曲り猫とも呼ばれる
鍵しっぽの猫は、しっぽが曲がっていることから「尾曲り猫」とも呼ばれています。
先天的にしっぽが曲がっている猫というのは珍しいですが、日本では鍵しっぽ(尾曲り)の野良猫に出会いやすいといえます。
特に、長崎県には約8割もの猫でしっぽが曲がっているというデータもあり、全国的に見ても1番多い地域です。
昔から長崎には尾曲り猫が多くいたため、「尾曲がり猫神社」や尾曲猫をモチーフとした「長崎の猫」という雑貨屋さんがあるなど、地域の人からも愛されています。
いろんな鍵しっぽがある

鍵しっぽと言ってもみんな同じ形というわけではありません。しっぽの長さや曲がり具合などに違いがあります。
長い鍵しっぽ
しっぽの途中から折れていたり、先だけクキッと曲がっていたり、長さのある鍵しっぽにもいろいろなバリエーションがあります。曲がり方にもさまざまなパターンがあり、90度近く曲がっていることもあれば、丸まっていることも。しっぽの長い猫に出会ったら、ぜひ観察してみましょう。
丸い鍵しっぽ
一見、しっぽがないように見えて、実は丸まっていて見えない場合があります。たとえばジャパニーズ・ボブテイルやマンクスなど代表的です。厳密には「鍵しっぽ」といえるかどうかは疑問ではありますが「まっすぐではない」という意味で、ご紹介しました。
幸運をもたらすと言われるのはなぜ?

しっぽの曲がった猫は「幸運をもたらす」といわれたり、「鍵しっぽ」といわれるのにはいくつか考えられる理由があります。
ひとつはしっぽの曲がった猫の存在自体が珍しいから。三毛猫の男の子も同じ理由で縁起が良いといわれてきました。
もうひとつは曲がったしっぽの形を鍵に見立て、「幸せの扉を開く」や「幸せを引っ掛けて来る」などともいわれています。
また、日本の歴史とも関係があるようです。
江戸時代の日本では、しっぽの長い猫は長く生きると「猫又」という妖怪になると信じられていました。
そうしたことから、対象的なしっぽの短い猫やしっぽの曲った猫ならば「妖怪にはならない」「安心できる」ということから転じて、幸運の猫と呼ばれるようになったともいわれています。
鍵しっぽになるのはなぜ?

鍵しっぽになるのには先天的な要因と後天的な要因があります。
先天的な要因
生まれながらに鍵しっぽの猫というのは遺伝子が影響していますが、
しっぽが曲がる遺伝子はひとつだけではないことを、中国の北京大学の研究チームが明らかにしました。
曲がったしっぽを持つジャパニーズ・ボブテイルには「HES7」遺伝子の変異が見られました。そして、ジャパニーズ・ボブテイルとよく似たしっぽを持つマンクスを調べてみたところ「HES7」ではなく、「T-box」という遺伝子の変異だったということです。似たような形でありながら、異なる遺伝子によるという点が興味深いところです。
後天的な要因がある
後天的ものとしては、子猫のときに母猫にしっぽを踏まれてしまったり、交通事故などがあります。ドアにしっぽを挟んでしまうといった事故も後天的な原因となります。
飼い主がドアの開閉時に気をつけていても、何かのタイミングでいきなりドアがバンッと勢いよく閉まることがあるので、ドアストッパーを付けるなど対策をしておきましょう。
鍵しっぽは独特の骨から成る
生まれながらにして鍵しっぽの猫は、脊椎が通常の猫と異なります。
通常の脊椎は7個の頸椎、13個の胸椎、7個の腰椎、3個の仙椎からなりますが、鍵しっぽの猫の骨は脊柱の数が通常より少なかったり、1個の長さが半分しかなかったり、癒合していたりすることで「鍵しっぽ」という特徴的な形と成っています。
まとめ
鍵しっぽが幸福をもたらしてくれるかというのは、本当のところはわかりませんが、江戸時代から大切にされてきた猫です。出会えたらラッキーなことがあるかもしれませんね!
ただし、家の中の事故などでしっぽにケガをしてしまったときには、すぐに動物病院に行って適切な処置を受けるようにしましょう。
