仲良く寄り添う2頭の猫

猫に多い病気である「慢性腎臓病(CKD)」は、これまで一般的に「治らない」と言われていました。
しかし近年、こうした病気を「治す」可能性を秘めた選択肢として、動物の幹細胞を用いた「再生医療(細胞治療)」が注目されています。

本記事では、「慢性腎臓病(CKD)」に対して再生医療(細胞治療)を実施した結果、改善の兆候がみられた症例をご紹介します。

※治療の効果については、その子の状態、対象の病気、投与方法などによって大きく異なります。

慢性腎臓病(CKD)(2歳・MIX猫)での再生医療の実例

慢性腎臓病は、「3ヶ月以上持続する、片側または両側の腎臓の構造的・機能的異常」と定義されています。つまり「治らないダメージを受け続け、腎臓の機能が低下してしまった状態」とも言えます。

■Before  再生医療(細胞治療)実施前
元気や食欲がないのか、じっとうずくまってあまり活発には動きません。

■After 再生医療(細胞治療)実施後
ごはんを勢いよく食べてくれています。食欲がしっかりあるのがわかります。

蘆住 ふうたちゃんの飼い主さまのお声
腎臓病は完治が難しいといわれ、この再生医療にチャレンジしました。治療後は心なしか餌も食べ始めているような気がします。
再生医療の研究が進み、少しでも命が助かれば嬉しいです。

慢性腎臓病(CKD)(10歳・MIX猫)での再生医療の実例

こちらも慢性腎臓病の猫の症例です。

■Before 再生医療(細胞治療)実施前

手術前の猫

■After 再生医療(細胞治療)実施後

体調が良い方向に変化したためなのか、治療前と比較すると、表情や目つきが落ち着いていて、やわらかい顔つきになった印象があります。

手術後の猫

小比類巻 へいごろうちゃんの飼い主さまのお声
とても元気になり食欲も出ました。異常な口臭が無くなってとても満足しています。

再生医療は、初期の慢性腎臓病に効果がある?

猫の慢性腎臓病は、重症度によって4つのステージに分類されています。ステージの数が大きくなるほど重症で、腎臓が萎縮・線維化し、ほとんど機能しない状態になっています。

再生医療で用いられる幹細胞は、ステージ4のような病気が進行している状態よりも、ステージ1~3のような初期の段階に投与することで、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。

この機序として、慢性腎臓病で生じる炎症反応を抑制し、酸化ストレスの発生を抑えることで腎臓が破壊されることを防ぐといったことが考えられています。
ただしここはまだ臨床研究を行っている段階なので、今後のより詳しい研究や機序の解明が期待されます。

再生医療を受けられる病院はこちら

再生医療は、全国どこの動物病院でもできるという訳ではありませんが、以下の病院で受けていただくことができます。

■アニコムどうぶつ病院グループ病院(一部)
アニコム先進医療研究所株式会社が運営する動物病院の一部では、再生医療の適切な普及・拡大を目的とする「動物再生医療技術研究組合」に加入しているため、再生医療を受けることが可能です。

アニコムどうぶつ病院グループ一覧はこちら
※アニコム先進医療研究所株式会社のHPに移動します。注射器のマークがある動物病院で再生医療が受けられます。

■動物再生医療技術研究組合の加入病院
「動物再生医療技術研究組合」に加入している他の動物病院でも再生医療を受けることが可能です。

動物再生医療技術研究組合参加病院一覧はこちら
※アニコム損保が加入している再生医療の研究を行う組合(動物再生医療技術研究組合)のHPに移動します。

なおアニコム損保では、飼い主さまに代わり、かかりつけの動物病院へご連絡することも行っています。ご希望の場合は以下のアニコム損保あんしんサービスセンターへご連絡ください。

【あんしんサービスセンター】
► 0800-888-8256
受付時間: 平日 9:30~17:30 / 土日・祝日 9:30 ~15:30
※サービス向上のため、通話内容を録音させていただきます。

【WEBでお問い合わせ】
お問い合わせはこちら※1,2

【再生医療対応の病院をさがす】
全国の実施可能病院一覧※1

※1 動物再生医療技術研究組合のHPに移動します。
※2 お問い合わせへの回答は動物再生医療技術研究組合から行います。

「動物再生医療技術研究組合」で行われる再生医療を受けた方に協力金をお支払い

アニコム損保では、「動物再生医療技術研究組合」において対象となる臨床研究を受けた方に、「再生医療協力金」をお支払いすることになりました。

協力金の概要や申請方法については、以下をご確認ください。


再生医療協力金詳細バナー

監修獣医師

河本光祐

河本光祐

岩手大学農学部獣医学科卒業後、岐阜大学大学院 連合獣医学研究科にて博士号を取得。2011年 アニコム損害保険株式会社に入社、保険金支払や経営企画、 獣医師としての臨床業務など幅広く従事。現在はアニコム先進医療研究所の代表取締役社長を務める他、再生医療の研究を行う動物再生医療技術研究組合の理事長も兼任する。 愛猫は病院保護猫のカキタロウ、ツブスケ。