人では高齢になるとかかりやすく、視界が狭くなる白内障。猫でも起こりやすい病気なのでしょうか。今回は、人や犬とは少し異なる、猫における白内障の症状と治療法についてご紹介します。

「白内障」ってどんな病気?

眼球の断面図
目の奥には、「水晶体」とよばれる部位があります。光やピントを調節するカメラのレンズのような役割をしていて、ほぼ無色透明な構造物です。猫の水晶体は65%の水分と30%以上のタンパク質から構成され、この水晶体が何らかの原因で、一部もしくは全体的に白く濁った状態のことを「白内障」といいます。水晶体が濁ると光が通らなくなり、視力が低下してしまいます。

猫の白内障は人や犬と比べると発生は少なく、アニコムの家庭どうぶつ白書2018 の調べによると、猫の眼の疾患における内訳の中で、0.5%とかなり少ないことがわかります。

「白内障」の原因は?

猫の白内障の原因としては、大きく「先天性」と「後天性」に分けられます。

・先天性白内障
稀ではありますが、猫では遺伝に関連した先天性白内障が知られています。ペルシャ系の猫に多いという報告がされています。この品種で若くして発症した場合は、先天性の可能性が考えられます。

・後天性白内障
猫の白内障の大部分は、何らかの要因が加わって発症した後天性白内障が多くみられます。
後天性の中でも多い原因は、猫同士のケンカによる目の外傷や異物による水晶体の損傷、ぶどう膜炎といった眼内の炎症です。
糖尿病による白内障は犬でよく見られますが、猫は水晶体における糖代謝のメカニズムが犬と異なるので、犬よりなりにくく、進行も遅いとされています。また、人で多く見られる加齢に伴う水晶体の変性による老年性白内障も猫では少ないです。
この他に、子猫の低アルギニン食やナフタリンなどの中毒物摂取、抗がん剤治療における放射線療法の副作用で白内障を発症することがあります。

どんな症状になる?

白内障はレンズの役割を担う水晶体が濁っていく病気で、進行するにつれて白濁の範囲が広がり、視覚に障害が出てきます。人であれば早い段階から自ら異変に気付き、視界が狭くなったなどの自覚症状を感じて病院に行くことができます。猫の場合は、視力以外に聴覚や嗅覚に優れ、弱い部分を隠す動物なので、白内障がかなり進行してほとんど見えなくなっても、飼い主にはわからないことが多いです。

猫に視覚障害がある場合、物にぶつかる(特に暗い場所)、動きが鈍くなり慎重になる、飼い主と目が合わない、物音に敏感になるなどの行動変化が見られるようになります。このような症状が見られる頃には、白内障はかなり進行した状態だと言えます。片目のみに白内障が起こった場合は、もう一方の目を使って生活ができるので、行動の変化が見られず、発見が遅れてしまいます。
早期の段階で変化に気付くには、日頃から猫の目をよく観察することです。

目が白く見える

白内障かどうかを確認するには、瞳孔の奥にある水晶体が白く濁っていないかを見るために、黒眼の部分をよく観察しましょう。
初期の白内障では、白く濁る範囲は一部ですが、進行するにつれて白濁が広がっていきます。全体に広がると視力が失われてしまいます。完全に光を遮るほど濁ると、光の調節もできなくなり、瞳孔が開いたままの状態になります。少しでもでもおかしいなと感じたら、一度動物病院で診てもらいましょう。

また、猫は目の外傷や炎症から白内障になることが多いので、充血や目ヤニといった目の異常がある場合も注意が必要です。

治療法は?治療費は?

目薬をさしている猫
猫の白内障の治療には、内科治療と外科治療がありますが、根本的な治療は外科治療となります。

・内科治療
白内障の初期の段階(視力があり、混濁が一部分)では、点眼薬での治療が行われます。ただ、点眼薬は白内障を治すというよりも、進行を遅らせる予防的な効果を期待する治療になります。白内障は進行する病気で、進行スピードが個々で違うため、定期的な検査で視力を含め、進行状態を観察しながら、点眼治療を行います。
内科治療における治療費は、かかりつけでの検査内容や治療期間によって異なりますが、アニコムの調べでは、猫の白内障の通院一回あたりの平均治療費は7,000円程度です。

・外科治療
水晶体の白濁が広がり、白内障が進行していると判断された場合、もしくはすでに進行した状態の場合は、水晶体の濁りを取る外科手術をします。手術内容としては、目の表面を切開し、水晶体を取り除くか、水晶体の中身を超音波で砕いて吸引した後、必要であれば人工の水晶体レンズを挿入し、視力を回復させます。

白内障の手術を行うには、手術における特殊な機器や技術が必要となるので、眼科専門医への紹介が必要です。すべての猫で手術ができるわけではなく、他の目の病気を併発してないかなど、手術ができる状態かどうか、術前に入念な検査を行います。

術後はエリザベスカラーをつけたり、頻繁に点眼をしたりする必要があるので、それを許容できる猫かどうかや環境づくりも重要です。治療費は、手術費用や入院費用を含めると片眼で20~30万円前後かかると想定されます。かかりつけの先生とよく相談し治療方針を決めていきましょう。

【関連サイト】
白内障 <猫>|みんなのどうぶつ病気大百科

予防方法はある?

白内障を完全に予防することは難しいですが、発生のリスクを減らすことと、早期に見つけることで進行を遅らせることができます。かなり進行が進んでしまった場合は、治療ができなくなり、視力を回復できない場合もあります。

猫は外傷により白内障が起こることがあるので、室内飼いを徹底して、外猫とケンカをしたり、事故に合ったりするのを防ぎましょう。室内でも同居猫がいる場合は、じゃれあっているうちにたまたま爪が目にあたり、目を傷つけることがあるので注意しましょう。
また、日頃からいつもと違うところがないか、猫の目をチェックしましょう。ブドウ膜炎など他の目の疾患から白内障を併発する場合もあるので、瞳孔が濁っている以外にも、充血、目ヤニなど少しでも変わった様子があれば動物病院を受診してください。

定期的な検査が重要

白内障は初期の段階ではなかなか気付きにくいものです。注意深く観察していても、飼い主が異変を感じた時には、すでに白内障がある程度まで進行しているということも少なくありません。
できるだけ早期のうちに白内障を見つけるには、動物病院での定期的な目の検査が重要です。動物病院では、眼科の検査機器を用いて目の断面や中身をより詳細に診ることができるので、早期の診断が可能となります。日常で気になる様子がなくても、半年〜1年に1度の健康診断と一緒に目の検査をしてもらうと安心でしょう。

まとめ

澄んだ目は猫の魅力のひとつです。そんな愛猫の目を見つめる機会は多いのではないでしょうか。ときには目の奥もよく観察して、白内障やその他の目の病気もいち早く見つけられるよう心掛けたいものです。

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監修獣医師

溝口やよい

溝口やよい

日本獣医生命科学大学を卒業。2007年獣医師免許取得。埼玉県と東京都内の動物病院に勤務しながら大学で腫瘍の勉強をし、日本獣医がん学会腫瘍認定医2種取得。2016年より埼玉のワラビー動物病院に勤務。地域のホームドクターとして一次診療全般に従事。「ねこ医学会」に所属し、猫に優しく、より詳しい知識を育成する認定プログラム「CATvocate」を修了。毎年学会に参加し、猫が幸せに暮らせる勉強を続けている。2018年、長年連れ添った愛猫が闘病の末、天国へ旅立ち、現在猫ロス中。新たな出会いを待っている。