たくましく強い犬というイメージが強いロットワイラー。「怖い」という印象を持たれたり、危険な犬とも思われがちです。しかし、内面は落ち着いていて愛情深く、忠実な犬です。この記事では、そんなロットワイラーについて、性格や特徴を解説します。

ロットワイラーってどんな犬?

大型で筋肉質な体に、精悍な顔立ちのロットワイラー。警察犬や介助犬、災害救助犬、牧畜犬、番犬として活躍する、賢くパワフルな犬です。愛称は「ロッティ」で、世界中で家庭犬としても愛されています。国内で見かけることは少ない方ですが、アメリカでは人気犬種10位圏内に入るほど、人気があります。

毛色はワンパターン

毛色は基本的にブラックで、目の上と頬、口のまわり、胸から足にかけてと、しっぽのつけ根に茶色のマークがあります。毛の長さは中毛で、硬い手触りです。

歴史

最古の犬種ともいわれるロットワイラー。その起源は約2000年前、ローマ帝国の軍隊が連れていたマスチフといわれています。ローマ軍は戦いに向かうとき、生きた家畜を連れて移動することで食料を確保していました。この家畜を連れて歩く際に犬の協力が不可欠でした。このとき活躍していた犬たちがドイツに残され、ロットワイラーの基礎となったのです。

ローマ帝国の滅亡から数世紀後、ドイツの「ロットワイル」という町で、家畜を市場へ運び、帰り道では売上金が盗賊に奪われないよう警護も務める犬がいました。この犬たちは「ロットワイルの肉屋の犬」と呼ばれていました。ロットワイラーの名前はこの地名に由来しているといわれています。

しかし1800年代に鉄道が普及し始めると、その役目も幕を閉じます。

1900年代初頭には、警察犬が導入されて間もないドイツで、警察犬として優れていることが認められ、今度は警察犬や番犬として活躍するようになります。このころ、ドイツではじめて品種としての標準が定められました。その後、災害救助犬や介助犬としての適性も認められ、家庭にも広く受け入れられるようになりました。

性格

飼い主に高い忠誠心を持ち、とても愛情深い犬です。また基本的に落ち着いた性格で気立てが良く、子どものことも大好きです。大きな体にも関わらず、飼い主の膝にのったり、寄りかかったりしてくっつくことを好む甘えん坊でもあります。仕事好きで作業に没頭する一面もあります。素直で従順でありながら、自信にも満ち溢れ、いつも堂々として恐れ知らずです。

一方で警戒心が強く、常に周囲の出来事に目を光らせています。飼い主以外にはあまり心を開かず、知らない人を警戒し、慣れるまで時間がかかることがあります。

ロットワイラーは危険?

ロットワイラーは「危険な犬」だといわれることもあります。アメリカでは人気の犬種ですが、咬傷事故の件数はピットブルに次いで多く、いくつかの州でピットブルと同様に「危険犬種」に指定されています。危険なイメージがある人にとって、上記の性格は意外に思われるかもしれません。

ロットワイラーの性格は飼い主にとっては頼もしいものですが、家族を守ろうという気持ちが強いので、「敵」と認識した相手には容赦がないことがあります。そして咬みつく力が強いので、一度の間違いが重大な咬傷事故につながる可能性があります。飼い主にとっては素晴らしい犬でも、ほかの人にはそうとは限らないことを念頭に、しっかりとしつけと管理をする必要があります。

しつけのポイント

トレーニングに対して意欲的で、物覚えがよいのでしつけはやりやすい方です。ただ記憶力がよい分、いいことも悪いこともすぐに覚えてしまうので、なるべく早いうちからトレーニングを始めることがポイントです。乱暴に接すると、犬の攻撃性を助長することにつながります。飼い主はなるべく冷静になり、一貫性を持ってしつけをしましょう。

しっかりと社会化をすることも重要です。子犬のうちに幅広い年代のたくさんの人や犬に触れさせ、さまざまな環境に慣らしておきます。しっかり社会化ができれば周囲の人や犬ともうまく付き合えますが、男の子は少し攻撃的になる傾向があるので、けんかに発展しないよう注意が必要です。

しつけの面では、ドッグトレーナーなど専門家や詳しい人を積極的に頼り、協力を仰ぎながら進めるようにしましょう。 ロットワイラーはドッグスポーツにも優れています。自分の役割や仕事があることも喜ぶタイプです。こうしたことを楽しみながらトレーニングを重ねていくのもいいでしょう。

サイズ

大型犬に分類されますが、大型犬の中では比較的コンパクトな方です。サイズの目安は次の通りです。

・男の子:体重約50㎏、体高61~68cm

・女の子:体重約42㎏、体高56~63cm

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寿命

アニコム「家庭どうぶつ白書 2021」によると、犬全体の平均寿命は14.1歳、ロットワイラーのような大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。大型犬は犬全体と比べると短い傾向にありますが、近年はさまざまなフードが開発され、医療も進んでいます。飼育環境や運動習慣に気を配り、ストレスの少ない生活を心がけて、どの年代でも健康でいることを目指しましょう。

気をつけたい病気

大型犬に多い股関節形成不全に気をつけましょう。あらかじめ症状を知っておき、気になることがあれば早めに受診をしてください。

また、骨肉腫などのがんや拡張型心筋症、白内障なども気をつけたい病気となっています。

寒い地域の原産なので、暑さに弱い方です。熱中症には充分気をつけてあげましょう。

【参考記事】

食欲旺盛で食べられるだけ食べてしまうところがあるので、万病のもととなる肥満にも注意しましょう。

ロットワイラーを家族の一員として迎える方法

ロットワイラーをぜひ家族の一員に!と思ったら、どこで出会えばいいのでしょうか。主に考えられる方法は3つあります。

ペットショップで探す

ペットショップなら、フードやトイレなど、犬との暮らしに必要なものを一緒に揃えられるため、迎えたその日からきちんと住環境を整えてあげることができそうです。とはいえ、ロットワイラーをペットショップで見かけることは多くないので、事前に取り扱いがあるか確認してから行くとよいでしょう。

また、ペットショップではどんな親犬から生まれた子犬かを把握することは難しいです。性格や気質については親犬の情報を知ることが必要です。

ブリーダーさんから紹介してもらう

ブリーダーさんからお迎えする最大の特徴は、迎えると決めた子の特徴やクセ、これまでの成長の様子や環境などをブリーダーさんに直接聞いたり、質問できたりすることです。また、親犬や兄弟・姉妹たちの姿を見る機会も得られる可能性があるので「将来どんな風に成長していくのか」を想像しやすいこともメリットです。

繁殖のタイミングは年に1回、多くて2回です。迎えたい!と思ったときに子犬がいない場合もあります。予約待ちの人気のブリーダーさんもいるので調べてみると良いでしょう。

里親になる

最近は「せっかく犬を迎えるなら、保護犬の里親になりたい」と考える方が多くなってきたようです。譲渡会の情報もチェックしやすくなってきました。こうした譲渡会や里親募集でロットワイラーと出会える機会もあるかもしれません。

まとめ

ロットワイラーは愛情深い犬で、海外では家庭犬としても人気ですが、大型犬で咬む力が強いため、お迎えする場合は相応のスペースと犬のしつけに関する知識が欠かせません。この犬のことをよく知り、しっかりと検討したうえで、最適な飼育環境としつけの計画を整えてお迎えしましょう。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。