
これまで治療が困難とされていた病気に「慢性腎臓病」があります。しかし、近年、こうした病気を「改善させる」可能性を秘めた選択肢として、動物の幹細胞を用いた「再生医療(細胞治療)」が注目されています。
本記事では、「慢性腎臓病」に対して再生医療(細胞治療)を実施した結果、改善の兆候がみられた症例をご紹介します。
※治療の効果については、その子の状態、対象の病気、投与方法などによって大きく異なります。
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犬の慢性腎臓病とは?
腎臓病は、何らかの原因で腎臓の機能が弱ってしまい、老廃物がうまく排泄できずに身体にたまってしまう病気です。老廃物は体にとっては毒のようなものなので、溜まってしまうことでさまざまな悪影響を及ぼします。
慢性腎臓病は、長い経過の後に腎臓の働きが徐々に低下し、腎不全に至ります。初期は無症状な期間がありますが、その後、水を飲む量が増え、尿の量が増します。また、体重減少や嘔吐、貧血などの症状もみられます。尿毒症まで発展すると元気消失、下痢、痙攣などの症状を引き起こすこともあります。
16歳/トイ・プードルの例
■Before 再生医療(細胞治療)実施前

■After 再生医療(細胞治療)実施後
食欲不振が回復したためか、上から見ると少しふっくらしたようにも感じられます。散歩では足取りが軽く、時折飼い主様を引っ張る元気も見せています。

中村ムートちゃんの飼い主さまのお声
腎機能の低下や、何もないところでよく転ぶようになり、獣医師の先生に勧められて治療を受けました。治療後は食欲が出て、よく睡眠を取るようになりました。歩行の状態はあまり変わりませんが、腎機能数値は改善しました。また期間を置いて治療したいと考えています。
13歳/ヨークシャー・テリアの例
■Before 再生医療(細胞治療)実施前
ハアハアと呼吸が粗い様子です。
■After 再生医療(細胞治療)実施後
勢いよくご飯を食べており、食欲があるのがわかります。
小幡マロンちゃんの飼い主さまのお声
治療後は、食欲の安定はもちろん、尿素窒素最高値が119.4(2022年5月17日)から87.0(同年6月28日)まで回復しました。ただ、その後、気管支の治療のため、全身麻酔、ステロイド投与等で103まで戻ってしまいました。
投与後、特に変化として思ったことは足取りがしっかりしたこと、アンモニア口臭が減ったこと、オシッコの色が黄色っぽくなったかもしれないと感じたのは嬉しい変化でした。
9歳/ミニチュア・ダックスフンドの例
■Before 再生医療(細胞治療)実施前
一般的な治療では効果がみられず、以前は10kg以上あった体重が5.8kgまで落ちてしまいました。

■After 再生医療(細胞治療)実施後
再生医療(細胞治療)実施から2年後の様子です。腸から栄養を吸収できるようになり、5.8kgしかなかった体重も、11.0kgまで増やすことができました。

鈴木メープルちゃんの飼い主さまのお声
獣医師の先生からは再生医療でほとんど副作用はないと言われていましたが、他の犬の幹細胞を使用することで拒絶反応が起こらないかとても心配でした。何事もなく終了したのでホッとしています。
毎朝、500メートル程離れた実家に行っています。治療前、行きは歩くのですが、帰りは歩きたがらず抱っこして戻ることがほとんどでした。治療後は帰りも歩くようになりました。
なんとなくですが、活動的というか元気になったような気がします。
肝心の腎臓の採血データはまだ改善がありませんが、おしっこの回数が少し減ったような気がするようなしないような…といった感じです。今の腎機能をなるべく維持してくれればと思います。
再生医療を受けられる病院はこちら
再生医療は、全国どこの動物病院でもできるという訳ではありませんが、以下の病院で受けていただくことができます。
■アニコムどうぶつ病院グループ病院(一部)
アニコム先進医療研究所株式会社が運営する動物病院の一部では、再生医療の適切な普及・拡大を目的とする「動物再生医療技術研究組合」に加入しているため、再生医療を受けることが可能です。
►アニコムどうぶつ病院グループ一覧はこちら
※アニコム先進医療研究所株式会社のHPに移動します。注射器のマークがある動物病院で再生医療が受けられます。
■動物再生医療技術研究組合の加入病院
「動物再生医療技術研究組合」に加入している他の動物病院でも再生医療を受けることが可能です。
►動物再生医療技術研究組合参加病院一覧はこちら
※アニコム損保が加入している再生医療の研究を行う組合(動物再生医療技術研究組合)のHPに移動します。
なおアニコム損保では、飼い主さまに代わり、かかりつけの動物病院へご連絡することも行っています。ご希望の場合は以下のアニコム損保あんしんサービスセンターへご連絡ください。
► 0800-888-8256
受付時間: 平日 9:30~17:30 / 土日・祝日 9:30 ~15:30
※サービス向上のため、通話内容を録音させていただきます。
【WEBでお問い合わせ】
►お問い合わせはこちら※1,2
【再生医療対応の病院をさがす】
►全国の実施可能病院一覧※1
※1 動物再生医療技術研究組合のHPに移動します。
※2 お問い合わせへの回答は動物再生医療技術研究組合から行います。
「動物再生医療技術研究組合」で行われる再生医療を受けた方に対して協力金のお支払い
アニコム損保では、2021年7月より、「動物再生医療技術研究組合」において対象となる臨床研究を受けた方に、『再生医療協力金』をお支払いしています。臨床研究をさらに進めることで、病気で苦しむ犬や猫を少しでも減らしたいという思いで取り組みをすすめています。ご興味のある方は、ぜひ下記をご確認ください。
協力金の概要や申請方法についてはこちらから▼
