お月見のモチーフには、満月だけでなくうさぎもよく登場します。なぜお月見といえばうさぎ、というイメージがあるのでしょうか。うさぎとお月見の関係やお月見にやること、楽しみたいことを紹介します。

うさぎとお月見はどんな関係がある?

お月見の季節になると、うさぎがお月見をしているイラストをよく見かけます。お月見のタイミングでうさぎの形のお菓子を食べることもあれば、うさぎのインテリアを飾る人もいます。これは、古くから伝わる「月にうさぎが住んでいて、餅つきをしている」という伝承からきているようです。この伝承はインド発祥のもので、日本では今昔物語集や各地の民話で伝えられてきました。うさぎと月の関係について、詳しくは次の記事で解説しています。

お月見は何をする?

お月見は月を鑑賞しながら秋の収穫に感謝する日。「中秋の名月」といわれ、1年の中で最高にきれいな月が見られるとされる十五夜に行われます。発祥は中国で、平安時代に日本に伝わり、貴族の間で観月が行われました。江戸時代になると一般の人に広がり、お供え物をして月を鑑賞するようになりました。
日本では十五夜のほかに、十三夜、十日夜(とおかんや)にも月見をする独自の風習があります。十五夜だけお月見をするのは「片月見」といって縁起が悪いとされたこともあったようです。また、この3日間がすべて晴れてお月見ができると縁起が良いともいわれてきました。

十五夜…旧暦8月15日。「中秋の名月」「芋名月」とも呼ばれる。

十三夜…旧暦9月13日。「栗名月」、「豆名月」と呼ばれる。

十日夜…旧暦10月10日。収穫祭が行われることが多い。

いずれも旧暦に基づいているため、その年によってお月見の日付は異なります。月の周期も暦とずれがあるため、十五夜や十三夜が満月とは限りません。2025年の場合、十五夜は10月6日、十三夜は11月2日になります。2025年10月6日はちょうど満月です。

お月見のお供え物は?

お月見のお供えは、月見だんごと農作物、すすきです。月見だんごは月に見立てた丸いお団子ですが、ボールのような球状のものからお餅のように平べったいものなど、形は地域によってさまざまです。供える数は、十五夜は15個、十三夜は13個が一般的ですが、これも地域によって異なります。お団子を台の上に積み上げるのは、少しでも高くして月へ感謝の気持ちを届けるためといわれています。農作物は、芋名月の十五夜は里芋やサツマイモなどの芋類、栗名月・豆名月の十三夜は栗や豆類を供えます。すすきは稲穂の代わりで、稲が実る前にお月見を迎えるので代用したものです。供えたすすきを軒先につるすと災いを遠ざけるといわれています。

世界のお月見はこんなことも

海外にもお月見の習慣があります。中国では、満月と同じ丸い形の月餅(げっぺい)という焼き菓子を食べる習慣があります。お月見の時期に家族で均等に切り分けて食べられています。ベトナムでは月餅を食べるほか、獅子舞をする慣習が。韓国ではお月見のタイミングで日本のお盆のように帰省をして、家族や親戚で集まりお墓参りをします。習わしはそれぞれの国で異なりますが、ほかの国でも同様に秋の美しい月を見上げているようです。

うさぎ好きにおすすめ!お月見の楽しみ方

さまざまな国でお月見をしますが、うさぎとお月見を関連させているのは日本独自のものです。せっかくなら、うさぎに焦点をあててお月見を楽しみたいですね。
お月見の季節になると、お月見をテーマに期間限定のうさぎのお菓子が販売されます。代表的なものは和菓子。うさぎの形のお饅頭のほか、落雁やおせんべいも。洋菓子でも、チョコレートやプリンなど、毎年のようにうさぎのモチーフで販売するメーカーもあります。この時期だけのうさぎがモチーフのパッケージもあるので、お気に入りを見つけたいですね。食べ物だけでなく、月とうさぎにちなんだ雑貨も多く見られます。壁掛けや置物のほか、食器にも月とうさぎの姿を見ることがあります。集めてお月見の時期に飾ったり使ったりすることも楽しめそうです。

うさぎとの過ごし方

お月見は収穫に感謝する日ですが、うさぎの胃腸は繊細なため、イベントのために食べ慣れないものを与えることはおすすめできません。月に見立てた丸いおもちゃを用意して遊ぶ、記念に写真を撮るとなどの楽しみ方がいいでしょう。食べ残したチモシーなどで丸い形のおもちゃを手作りしても。本物の満月と写真を撮ることは難しくても、お月見の飾りを用意して毎年一緒に撮影すると良い記念になるでしょう。

まとめ

お月見の風習やうさぎとの関わり、楽しみたいことを紹介しました。お月見は今の日本では大きなイベントではありませんが、楽しみ方はさまざまです。月や収穫に感謝し、月と関係があるといわれるうさぎにも感謝する日として、少しだけ特別なことができるといいですね。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。