うさぎは世界中で身近などうぶつ。うさぎの姿や生息地にちなんで、うさぎの名前がつけられた植物もあります。植物には和名、英名、学名があるほか、地域によって異なる別名や園芸種につけられる通称もあります。それらをすべて合わせると、うさぎの名前がつく花や植物は本当にたくさんあります。その中でも、うさぎに姿が似ていることからうさぎの名前がついた花や植物を紹介します。

バニーカクタス

バニーカクタス

はじめに紹介するのは、長い耳のうさぎの顔の形になることがあるサボテン「バニーカクタス」。別名は「白桃扇」。英名は「bunny ears」といいます。茎が節で区切られ扇形になるウチワサボテンの一種です。ひとつの茎のうえに2つの子株が伸びたところがうさぎの顔そっくりになるので、この名前で呼ばれています。

棘は白色で、黄色になった変種「ゴールデンバニー」(金烏帽子)もあります。初心者でも育てやすく、園芸店やホームセンターなどで広く販売されています。うさぎがいる家庭で育てる場合は、棘があるので念のためうさぎから離れた場所に置きましょう。

月兎耳(つきとじ)

月兎耳

こちらもうさぎの名前がついた多肉植物。ベンケイソウ科のカランコエ属の仲間です。白く細かい毛がついた葉がうさぎの耳に見えることからこの名前がつきました。こちらも初心者でも育てやすく、手に入れやすい身近な多肉植物です。別名「うさぎの耳」で販売されていることも。

変異種が多く、葉先が焦げ茶色の「野うさぎ」や葉が黄色の「ゴールデンラビット」など、うさぎの名前がつくものが多々あります。中には「アンゴラうさぎ」とうさぎの品種名がついたものも。うさぎの名がつくものを集めるのも楽しそうですね。同じカランコエの別種で「福兎耳(ふくとじ)」と呼ばれる種類もあります。見た目もよく似ていますが、福兎耳はより白っぽい葉色をしています。

ウサギゴケ

ウサギゴケ

名前に「コケ」とついていますが、苔の仲間ではなくタヌキモ科の多年草です。南アフリカの固有種で国内でも園芸種として広く販売されています。比較的丈夫で初心者でも育てやすいといわれています。わずか5〜10mmの小さな花の形は、まさにうさぎの姿! とても可憐な花を咲かせますが、実は食虫植物です。

といっても、かわいい花や葉ではなく根で虫を捕らえます。根にたくさんの小さな袋があり、水中の小さな虫を水と一緒に吸い上げて栄養を吸収するのです。花の色は白~淡い藤色。草丈は開花時で3~4㎝ほどです。四季咲きで夏の一時期を除いてほぼ一年中花が見られます。ちなみに花言葉は「夢でもあなたを想う」。こちらはかわいい外見にぴったりですね。

ウサギギク

ウサギギク

北太平洋地域に自生し、日本でも本州(中部以北)と北海道で見られる野草です。高山帯のほか寒冷地では平地に生えることもあります。名前の由来は葉の形。雪解けのころに地表から伸びる葉がうさぎの耳に似ていることから、この名前になりました。

キク科の多年草で、草丈は20~30センチほど。7~8月ごろに5㎝くらいの黄色い花が咲き、別名を「金車」といいます。花言葉は「愛嬌」です。山野草店などで園芸用に販売されていることもありますが、暑さに弱いため栽培はやや難しめです。

ウサギノオ

ウサギノオ

フワフワした穂がまるでうさぎのしっぽ! ドライフラワーやブーケ、生け花で見かけることも多いイネ科の一年草です。園芸種ですが野生にも帰化していて、道端で自生していることもあります。別名「ウサギガヤ」。「ラビットテールグラス」、「バニーテール」ともいいます。属名を「ラグラス」といい、これはギリシア語で「ノウサギの尾」という意味になります。花言葉は「感謝」。

草丈が40~60㎝、穂が5㎝くらいのものと、やや小さめの草丈20~40㎝、穂が3㎝のものがあります。花壇でもコンテナでも育てることができ、初心者でも育てやすいといわれています。春から初夏にかけて丸い花穂が咲き、その後も秋までドライ状態になったかわいい穂が見られます。

ウサギシダ

ウサギシダ

北半球の温帯に広く分布し、日本では本州の中部以北から北海道の山に自生するシダです。葉の長さは15~25㎝ほど。落葉したあとに、葉柄に残った模様がうさぎの口のY字に似ていることからウサギシダと呼ばれています。

日本の野外で見かけることはあまり多くない比較的レアなシダですが、山野草店などで園芸用にも販売されています。特に栽培が難しいことはありませんが、シダ類の育て方をよく知ってからチャレンジするのがおすすめです。

まとめ

うさぎの名前がつく花や植物を紹介しました。中にはガーデニング初心者でも育てやすいものもあります。思わず本物のうさぎと並べて比べたくなるかもしれませんが、誤食には気をつけてください。

一見食べるようには見えない植物でも、好奇心からかじってしまうこともあります。毒性があるわけではありませんが、念のためうさぎから届かない場所に置きつつ、栽培を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。