うさぎの爪は、爪切りの失敗で折れることもあれば、ケージの隙間や室内のものにひっかけて突然折れてしまうことも。ふいに折れた場合、出血で気づくこともあり、飼い主はびっくりしてパニック、うさぎは痛くてパニックになり、慌ててしまいがちです。いざというときに慌てないように、爪が折れたときの対処法と予防法を紹介します。

爪が折れたときの応急処置

うさぎは繊細なので、飼い主が慌てふためいてしまうことで、不安になってしまいます。まずは冷静に対応しましょう。「大丈夫だよ」と落ち着いた声をかけてあげるのも一つです。

放置していると折れたところから細菌に感染して化膿することがあります。また爪が折れたと同時に骨折をしている可能性も。次の手順に沿って確認しましょう。

1 状態の確認

出血している場所を探して、どの爪がどこで折れたのか確認してください。うさぎを仰向けに抱っこして確認します。触られるのを嫌がって暴れることが想定されるので、タオルなどを使ってしっかり抱くか、2人がかりで抱っこする人と爪を確認する人にわかれて行いましょう。

2 止血

折れた爪の断面にガーゼなど清潔な布をあてて、指でつまんで圧迫します。1分間続けたら、出血が止まっているか確認しましょう。たいていは1分ほどの止血で止まります。止血剤は、出血が起きているときに使っても血で流されてしまい効果が期待できません。止血剤が自宅にあれば、出血が少し落ち着いたタイミングで爪の断面に少量を塗ってください。

3 様子を観察

応急処置が終わったら、うさぎをケージの中など安全な場所で放しましょう。うさぎは折れた爪を繰り返しなめますが、それをやめさせる必要はありません。唾液には抗菌作用があるため、自分でなめることは傷口をきれいにして感染を予防することにつながります。その後もうさぎの様子をよく観察して、状況に応じて動物病院を受診しましょう。

動物病院に行くのはどんなとき?

無事に出血が止まり、うさぎが元気であれば、自宅で様子を見ていても傷は治ります。ただし、次のような場合はすぐに動物病院を受診してください。

・出血が止まらないとき

傷が深くても、出血は5~10分以内には止まるのが普通です。なかなか出血が止まらないとき、止まったように見えても出血を繰り返すときは速やかに受診してください。

・うさぎが足を引きずっているとき

爪が折れたあと足を引きずっていたり、歩き方がおかしかったりする場合は、骨折などほかのケガも負っている可能性があります。応急処置のあと数時間は歩き方をよく観察して、気になることがあればできるだけ早く受診を。

・折れた爪が残っているとき

折れた爪が取れずに残っている場合は、早めに動物病院を受診して適切なところでカットする処置を受けましょう。

・根元から折れているとき

根元から爪が抜けてしまったときや、根元に近いところで折れているときは細菌に感染しやすい状態です。うさぎが元気でも、かかりつけで診てもらうと安心です。消毒などの処置は早い方が良いので翌日までには受診するようにしましょう。

これ以外でも、不衛生な環境で爪を折って化膿が心配など、気になることがあれば迷わず受診を。自宅で様子を見る場合、数日は爪が折れたところをよく観察してください。そして指が腫れる、赤くなる、跛行(正常な歩行ができていない状態)している、動きにくそうなど異常があればすぐに動物病院を受診しましょう。

根元で折れた爪はまた生えてくる?

根元から折れたり抜けてしまった爪は、状態によって二度と生えてこないこともあれば、また生えてくることもあります。生えてきたとしても、変形して伸びてくることもあります。生えなくなってしまった爪や、変形した爪を元に戻すことはできません。今後、ほかの爪で同じことが起こらないように予防を徹底してあげましょう。

爪が折れることを予防する方法

できれば爪が折れる、抜けるといった事故は避けたいですよね。うさぎも痛い想いをするので、繰り返さないよう対策することが大切です。

・飼育環境で気をつけること

うさぎのケージにはタオルのような爪をひっかけやすい布製品は入れないようにしましょう。うさぎが歩く部屋のカーペットは、爪がひっかかりにくいものを選びます。特に毛先がループ状になったループパイルで毛足が長いものは避けてください。ループ状にならないカットパイルが適しています。ペット向けのカーペットを利用するのも一案です。室内にはあまり物を置かないようにして、うさぎが動きやすい環境にしてください。特にタオルやブランケットは爪をひっかける可能性があるので片づけておきましょう。

・ケアやふれあいで気をつけること

まずは体に触らせることに慣れるよう日々スキンシップをとりましょう。体の色々な部位に触れながら手足やお腹の通常の状態を観察しておくのがおすすめです。また、爪を引っかけやすいセーターやニットを着てうさぎを抱っこするのは避けましょう。一番の予防は、定期的に爪切りをすることです。爪が伸びているとちょっとしたところにひっかけやすくなり、爪が折れたり抜けたりする原因になります。自宅で切ることが難しい場合は、動物病院やうさぎ専門店で切ってもらうこともできます。1~2ケ月に一度は爪を切ることを習慣にしましょう。

まとめ

うさぎの爪が折れるのはよくあるケガです。想像以上に出血が多い場合もあり、焦ってしまうこともありますが、落ち着いて対処してください。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。