うさぎの飼育数が増える一方で、何らかの事情で保護され、里親を待つうさぎもいます。うさぎの里親になりたいと思ったら、何をすればいいのか、里親になる条件や流れなどとあわせて紹介します。里親に興味を持ったら参考にしてみてください。

里親を募集しているのはどんなうさぎ?

里親を待つうさぎの背景はさまざまです。飼い主が引越しやアレルギー、被災など何らかの事情で手放すしかなくなった子もいれば、予想外の妊娠で産まれた子うさぎもいます。残念なことですが、屋外に捨てられるなど飼育放棄から保護されたうさぎもいます。また多頭飼育による飼育崩壊という、うさぎにとって辛いケースも。

健康な若いうさぎや子うさぎの里親になれる可能性も充分ありますが、それだけではありません。高齢のうさぎ、持病やケガの後遺症があるうさぎ、社会性が育たず人を信頼できないうさぎもいることを覚えておいてください。

うさぎの里親になるにはどんな方法がある?

うさぎの里親になる方法もさまざまで、次のようなケースがあります。

・動物保護団体による里親募集

保護うさぎの里親になるルートとして最も一般的です。保護うさぎの幸せを一番に里親探しが行われるため、審査は厳しい傾向にあります。

・自治体の動物愛護センター

犬や猫の場合は一般的な方法ですが、自治体によっては里親の募集は犬猫のみの場合も。見学や譲渡会などに行く際は、うさぎがいるかあらかじめ確認が必要です。過去に見かけたことがあるか、身近に引き取った方がいたとしても、いつもうさぎがいるとは限らないので都度確認するようにしましょう。

・その他

うさぎ専門店やうさぎカフェで引退したうさぎの里親が募集されていることや、地域密着型の掲示板などでの里親募集、友人や知人のところで生まれた子うさぎを譲り受けるなど、さまざまなパターンがあります。

保護団体でなければ審査は厳しくないかもしれませんが、病気や噛み癖が隠されていたなど、トラブルになるケースもあるので要注意。個人間でやり取りをする場合、信頼できるかどうか、しっかり調べてから譲り受けるようにしてください。

里親になるための条件は?

里親になりたいと思ったら、まず里親の条件を満たすことができているか、確認しておきましょう。

・うさぎを飼育できる家に住んでいる

うさぎは室内で飼育します。賃貸の場合、小動物であるうさぎはグレーゾーンになっていることもあるので事前に確認しておきましょう。

・家族の同意がある

 同居の家族全員にうさぎを飼うこと、里親になることを認めてもらいましょう。

・最後まで責任を持って飼える

どんな生き物を飼うにしても必要な心構えですが、一度手放されたうさぎを受け入れることを自覚し、生涯責任を持つ覚悟が必要です。

以上はどこから譲り受ける場合でも最低条件になることです。

このほか、安定した収入があること、定期的にうさぎの近況を報告することが条件になる場合も。うさぎの飼育経験があることや、なければよく勉強することが条件となることもあります。

先住うさぎがいて多頭飼育になる家庭や、犬や猫などほかのペットがいる場合、小さな子供がいる家庭はハードルが高くなることも。条件の詳細は募集先によって異なるので、早い段階で確認をしておきましょう。

里親になるまでの流れは?

ここでは保護団体の場合の一般的な流れを紹介します。

・事前に準備しておくこと

うさぎを飼ったことがない人はうさぎの飼育についてよく調べておきましょう。

飼育経験者の場合、専門店やペットショップからうさぎをお迎えする場合とは異なることも想定しておいてください。保護うさぎは人間にトラウマを持っていて、心を開いて懐くまで時間がかかるか、ほとんど懐かない可能性もあります。

持病やケガの後遺症があるかもしれないので、より詳しい知識や丁寧なケアが必要となることもあります。

1.里親を募集しているところを探す

まず、近隣の保護団体の情報を調べます。譲渡会が開催されていれば、足を運んでみるのもいいでしょう。もしくはメールなどで里親希望の申し込みをします。ホームページなどで申し込み方法を確認しましょう。

2.希望のうさぎと出会い、交渉する

申し込みのあと、実際に里親を待つうさぎと対面することになります。希望のうさぎがいても、基本的にすぐに連れて帰ることはできません。まずその場で面談をした後、自宅(飼育環境)への訪問などを経て、トライアル(お試し)が決定します。

3.トライアルをして譲渡が決定する

トライアルでは、一定期間おうちで一緒に生活をします。この期間が終了したあと、問題がなければ譲渡が決定します。

譲渡なのでうさぎ自身の費用はかかりませんが、それ以外で費用負担が必要なこともあります。猫や犬のように予防接種の料金負担はありませんが、保護団体で避妊手術をした場合、料金の一部を負担することも。またうさぎは食事を急に変えられないので、最初はそれまで与えていたものと同じフードや牧草を購入することになります。

4.譲渡後はうさぎの様子を報告する

譲渡のあと、定期的にうさぎの様子を報告することになっているケースもあります。うさぎの行く末を心配されているので、忘れずに里親の方から連絡をとりましょう。

大まかな流れを紹介しましたが、申し込み時のアンケートや面談では住所だけでなく家の間取りや家族構成、仕事のことやほかのペットのことなど、さまざまな質問があり、里親にふさわしいか審査されます。

うさぎの場合、引き取ったあと虐待されるのではないかという懸念が犬猫よりも大きくあるため、双方手間になりますが仕方がないことです。保護うさぎを迎え入れる気持ちが固まっているなら、積極的に協力しましょう。

まとめ

うさぎの里親になる方法や条件、大まかな流れを説明しました。里親になるということは、何らかの事情で飼い主のもとを離れたうさぎを受け入れ、傷ついた心を癒すということ。

単にうさぎを飼うこととイコールではなく、軽い気持ちで里親にはなれません。でもさまざまな事情から飼い主を探しているうさぎがいることも事実です。里親に興味を持ったら、条件や保護団体の規約などよく確認したうえで、ぜひ検討してみてください。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。