うさぎは日中寝てばかりなので、夜行性だと思う人も少なくありません。また何となく夜行性というイメージがあり、飼うなら夜に遊ばせた方がいいのか、夜うるさくなるのか疑問に思う人もいるでしょう。そこで、うさぎは本当に夜行性なのか、うさぎの生活リズムについて解説します。

夜行性の生活パターンはさまざま

夜行性とは、おもに夜間に活動し、昼間に休む性質を指す言葉です。反対に昼間に活動し、夜間に休むことを昼行性といいます。夜行性といっても、昼間はずっと巣などにこもって完全に夜しか動かないものから、日中に食事だけはするタイプ、基本的に夜に活動するものの昼間も活動することがある緩い夜行性など、さまざまパターンがあります。

うさぎは夜、寝ている

寝ているうさぎ②

ではうさぎは夜間、たくさん活動しているのでしょうか。

個体差はありますが、実は昼間と同じでほとんど寝ています。時々起きて牧草を食べる音が響いたり、トイレに行ったり、毛づくろいをしたりしますが、そのあとはまた横になるか、お気に入りの場所に座って寝ています。まれにケージをかじる音や足ダンの音が響くこともありますが、大半は大人しく寝ています。夜行性のイメージとは異なりますね。

うさぎは「薄明薄暮性」

うさぎは夜行性ではなく、薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)と呼ばれる生活パターンです。これは明け方(薄明)と夕方(薄暮)に活動し、夜間や日中に休むことです。

こうなった理由は野生下で天敵に見つかりにくくするため。明け方と夕方はフクロウのような夜行性の天敵には明るく、キツネや鷹のような昼行性の天敵には暗くて狩りに向かない時間帯です。この時間帯に活動することで、敵に捕まる可能性を低くしているのです。

夜行性の野生のうさぎもいる

人と暮らすうさぎも、その祖先のアナウサギも薄明薄暮性ですが、野生のうさぎの中には夜行性の種類もいます。例えば日本で見られるニホンノウサギ、ユキウサギ、アマミノクロウサギは夜行性で、主に夜間に活動します。完全に夜しか行動しないわけではなく、日中に活動することもある緩い夜行性です。

うさぎのお世話は規則正しく

うさぎの基本的なリズムは薄明薄暮性ですが、個々のうさぎの体内時計は光の刺激を受けてリズムが作られていきます。そのため人と暮らすうさぎは、ある程度飼い主の生活リズムに合わせて寝起きするようになります。とはいえ、もともとのリズムがあるのでへやんぽ(ケージの外にでて、お部屋をお散歩すること)や食事の時間はなるべく朝と夕方にしましょう。

そして時間を決めて、毎日そのスケジュールにそって規則正しくお世話をします。いつごはんがもらえるか、どのタイミングでケージから出たりおやつがもらえたりするのかをわかっていることは、うさぎに安心感を与えます。

あくびしているうさぎ

うさぎは耳と鼻がいいので、体内時計だけでなく周囲の音や匂いから、だいたいの時間の察しがつくようです。食事やおやつ、へやんぽの時間が遅れると、ケージをかじったり、飼い主の近くにきたりしてアピールをすることも。せかされているような気持ちになりますが、それは毎日の規則正しいお世話から信頼関係ができている証拠です。

うさぎのお世話を規則正しくするメリットとして、体調の変化がわかりやすいこともあります。いつも喜んでへやんぽをする時間なのに、ケージから出てこない。食事の時間を過ぎてもいつものように催促せず、出された食事をあまり食べようとしない。そんなときは、うさぎの体調に異変がある可能性が高いのです。規則的にお世話をすることで、いつもと様子がちがうことから「元気がない」といった不調のサインに気づきやすくなります。

まとめ

うさぎは夜行性ではなく、薄明薄暮性。昼と夜に休み、明け方と夕方に活発になります。とはいえ、人と暮らすうさぎは飼い主の生活パターンになじみ、お世話のタイミングにあわせて活動するようになっていきます。明け方と夕方にこだわる必要はありませんが、うさぎのストレスを少なくして健康管理に役立てるため、お世話はなるべく規則正しくしましょう。ある程度はうさぎがあわせてくれるので、飼い主のライフスタイルに沿ってお互いに無理のない生活をしてくださいね。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。