「繁殖をするつもりはないから、繁殖について知らなくてもいい」と思っていませんか? ですがうさぎを飼っていると、発情行動や予期せぬ妊娠、避妊手術など、繁殖と関わる問題に直面することもあります。ここではうさぎを飼う前や飼い始めたときから知っておきたい繁殖の基本をまとめました。

うさぎは妊娠率が高く多産

子うさぎの画像

「子孫繁栄」の縁起物にもなっているように、よくうさぎは「繁殖力が高い」といわれます。野生では天敵に狙われる立場なので、効率的に仲間を増やせるように進化したためと考えられています。実際、うさぎが1回の交尾妊娠する確率はなんと99%。去勢・避妊をしていない男の子と女の子を一緒にすると、ほんの少しの間であっても妊娠してしまう可能性があるのです。もし繁殖を予定していない場合には、ラビットランや他のうさぎと接触があるシーンには十分注意しましょう。うさぎは早ければ3ヶ月から性成熟を迎えるので、同時期に生まれた子うさぎも3ヶ月頃から男の子と女の子を分けて飼育します。

うさぎは一度の出産で6~10匹の赤ちゃんを産みます。さらに、妊娠中に次の子供を妊娠する「重複妊娠」をすることもあります。繁殖の時期は決まっておらずほぼ1年中繁殖が可能です。たくさんの子うさぎが生まれるので、繁殖を試みる前に子うさぎの飼育や里親のことなどをよく考えておく必要があります。

男の子の体

うさぎの男の子

生まれてからしばらくは体内に睾丸があり、体の外からは確認できません。ペットショップなどで、女の子だと思ってお迎えしたら、実は男の子だったということもあります。

生殖器は女の子と比べて肛門から離れた位置にあります。生後3ヶ月を過ぎると、生殖器を押したときに円筒状の陰茎があらわれます。その後、性成熟を迎えると睾丸が体外に降りてきて陰嚢を確認できるようになります。個体差はありますがだいたいのうさぎが生後6~10ヶ月ごろに性成熟を迎えます。小型のうさぎほど早い傾向があり、早い子では3ヶ月で性成熟することもあります。

発情の周期は特になく、性成熟すれば発情します。発情するとおしっこを飛ばす、ソワソワと動きまわる、足ダンが多くなる、ささやくような声でブッブッと鳴きながら走り回るといった様子が見られます。

女の子の体

男の子と比べて肛門に近い位置に生殖器があります。生後3ヶ月以降になると、生殖器を押したときに縦に割れ目が入った外陰部を確認できます。女の子は生後4~8ヶ月ごろ(早い子は3ヶ月ごろ)に性成熟を迎えます。乳頭の数は8個がふつうですが10個の子もいます。

発情周期は季節に関わらず、交尾を受け入れる15~16日ほどの時期と1~2日ほどの休止期を繰り返します。交尾の刺激によって排卵するようになっており、生理はありません。

女の子は2~3歳になると子宮の病気にかかりやすくなり、特定の品種では3歳以下で4%、3歳以上で50-80%が子宮の病気を発症するといわれています。繁殖を考えていない場合、女の子は1歳までに避妊手術をすることが推奨されています。1歳を過ぎると脂肪が増えて肥満になることがあり、そうなると手術時間が長くなって体に負担がかかります。女の子を飼うなら早めに繁殖をどうするか決めて、繁殖しない場合は避妊手術を受けるようにしましょう。

交尾に関する行動

女の子が男の子を受け入れる期間にペアにすると交尾をします。一緒にする前にケージを近づけてお見合いをすると、男の子には後ろ足で立ち上がる、しっぽを立てる、動き回る、おしっこをまき散らすなどの行動が見られます。女の子は受け入れる時期であれば動きが活発になり、背中をなでると体を伸ばしてしっぽをあげる仕草をします。

ペアにして交尾が始まると、男の子が後ろから女の子の上に乗ります。男の子がキーッと鳴いて横に倒れたら交尾は終了です。男の子はすぐに立ち上がり、後足で蹴る動作をします。特に鳴いたり倒れたりすることなく終わることもあります。

交尾の時間は約30秒。わずかな時間で妊娠してしまうので、妊娠を考えていない場合、避妊をしていない女の子は男の子に近づけないようにしましょう。うさ友同士で集まるとき、ラビットランを利用するときなどは要注意です。

うさぎの出産

うさぎの妊娠期間は28~36日。交尾から1ヶ月ほどで出産を迎えます。妊娠すると食欲が増し、たくさん食べるようになります。交尾から3週間も経つと、お腹が目立って大きくなります。

出産予定の7日ほど前に巣箱と巣材(ワラや細く削った木屑)をケージに入れます。出産間近になると、お母さんうさぎは自分の胸やお腹の毛を抜いて巣に敷き始めます。出産前はかなり神経質になっているので、巣にさわったりのぞいたりしてはいけません。ケージは布や段ボールなどで覆います。

うさぎはたいてい夜から明け方に出産します。子うさぎは1~5分ごとに生まれ、30分ほどで出産が終わります。基本的に安産なので、出産はうさぎにまかせて飼い主は手を出さないようにします。

ただ妊娠中にストレスが多かった場合や女の子より体が大きい男の子と交配した場合など、難産になる可能性があるケースもあります。あらかじめかかりつけの動物病院などで相談し、万一に備えて準備をしておくといいでしょう。

うさぎの赤ちゃんの成長

出産前と同様に、産後も静かに見守るのが基本です。産後1週間は巣をのぞいたり、赤ちゃんうさぎに触ったりするのはやめて、巣材はそのままにしておきます。

うさぎの授乳は1日に1~2回ほど。お母さんうさぎは産後、授乳のとき以外は巣に近づかなくなります。赤ちゃんうさぎは生まれたときには毛が生えていません。目も耳の穴も閉じていて、歩くこともできない未熟な状態で生まれてきます。生後4日ごろから毛が生えてきて、1週間で耳の穴が開いて音が聞こえるようになります。2週間で目が開き、自分で歩いて食べるようになります。3週間を過ぎると巣箱から出てくるように。生後1ヶ月で離乳して体もしっかりしてきますが、最低でも6週間はお母さんうさぎと過ごします。里親さんなどに譲るのは生後2ヶ月くらいが目安です。子うさぎを譲り受ける里親の立場の人は、かわいい子うさぎのうちから育てたいと思うかもしれませんが、この時期まで待ちましょう。早めに離乳してしまうと、消化機能が整っていないために胃腸のトラブルが起こりやすく、子うさぎが死亡してしまうこともあります。

胃腸の状態を安定させるために、最低でも離乳後2週間は牧草とペレットだけで過ごします。この時期に野菜やおやつの味に慣れてしまうと、牧草やペレットをあまり食べなくなってしまうことがあります。野菜や果物などは生後3~4ヶ月以降に少しずつ与えます。

繁殖をしたいと思ったら

うさぎの繁殖をしたいと思ったら、次のことを確認したうえでよく検討しましょう。

・子うさぎのこと

うさぎは多産なので、生まれてくる子うさぎを飼ってくれる里親をあらかじめ探しておく必要があります。里親が見つかっても、産後しばらくは生まれた場所で過ごすことになります。子うさぎを飼育するスペースも考えておきましょう。

また、無事に子うさぎが生まれても、お母さんうさぎが育児放棄をすることがあります。その場合、飼い主がスポイトや注射器で人工乳を与えて育児をすることになります。生まれたばかりの子うさぎの人工哺育は難しく、哺乳間隔も数時間おきとてがかかります。指導を仰げるかかりつけ病院を見つけておいてください。

・繁殖に適したうさぎの条件

うさぎは性成熟を迎えれば繁殖ができますが、あまりに若いうちは体に負担がかかります。体が充分成長するまで待つ必要があります。うさぎの一般的な繁殖のピークは2~3歳。5歳以上の高齢のうさぎ、病気があるうさぎ、肥満のうさぎは避けます。

・繁殖に適した時期

うさぎは1年中繁殖が可能ですが、赤ちゃんうさぎは気温の影響を受けやすいものです。うさぎは湿度が高い時期も苦手なので、梅雨時と真夏、真冬は避けて、春や秋の過ごしやすい時期に生まれるようにします。

・お母さんうさぎのケア

妊娠中は日頃より多くの栄養を必要とします。産後は授乳のために水を飲む量が多くなります。お母さんうさぎの妊娠前、妊娠中、産後に適した食事内容を調べておきましょう。また、過干渉もストレスとなりますので要注意です。

まとめ

うさぎの繁殖のしくみや交尾、出産について紹介しました。繁殖を考えていない場合、女の子は1歳までを目安に避妊手術をしましょう。また避妊していない女の子と去勢していない男の子は一緒にしないようにしてください。逆に繁殖することを決めたら、事前によく情報収集をして、かかりつけの獣医師など相談できる専門家も見つけておきましょう。

監修獣医師

浅野 康子

浅野 康子

2010年北里大学獣医学科卒業。卒業後は静岡、大阪の動物病院で小動物臨床に従事。 2014年9月よりアニコムに入社し、犬猫以外のエキゾチックアニマルに興味のある社員メンバーでのチームを結成し、 エキゾの保険開始に関与。現在はうさぎチームとして、相談窓口、情報発信に力を入れている。