皮膚糸状菌症は、真菌(いわゆるカビ)に感染して起こる皮膚病のことで、人を含むさまざまな動物で見られる病気です。

感染力が強く、特に幼いうさぎや高齢のうさぎ、病気を持っていて免疫力が低下しているうさぎでは発症することが多いため、注意が必要です。

今回は、うさぎの皮膚糸状菌症についてお話ししたいと思います。

うさぎの皮膚糸状菌症ってどんな病気?原因は?

うさぎの画像

皮膚糸状菌症は、皮膚に真菌が感染してさまざまな皮膚症状を出す病気です。

皮膚糸状菌症を起こす真菌は約40種類あり、人にも感染する人獣共通感染症です。

うさぎでは、Trichophyton mentagropytes(毛瘡白癬菌)が原因になることが多く、その他にMicrosporum canis(犬小胞子菌)やMicrosporum gypseum(石膏状小胞子菌)なども原因菌となります。

感染している動物と接触したときや、その動物がいた環境の抜け毛やフケが体に付着したときに感染します。

真菌に感染しても必ず発症するというわけではなく、ストレスや栄養不良、不衛生、病気、幼いうさぎや高齢のうさぎなどで免疫力が低下している場合に症状が現れます。

うさぎの皮膚糸状菌症はどんな症状が出る?

脱毛(円形に脱毛することが多い)、白いフケ、かさぶた、皮膚の赤みなどが主な症状です。痒みは、全くないものから非常にかゆいものまでさまざまです。

全身に症状が出ますが、出やすいのは頭や顔、鼻、耳、四肢です。これは、毛づくろいをすることで顔や四肢に広がるからです。

うさぎの皮膚糸状菌症に関連する病気はある?

膿皮症(皮膚に細菌が感染、増殖し症状を出す病気)や、ツメダニ症(ツメダニが寄生し症状を出す病気)などの皮膚病があると、皮膚糸状菌症が誘発されることがあります。この場合、膿皮症やツメダニ症を治療することで皮膚糸状菌症は自然治癒することがあります。

また、さまざまな内臓の病気によって免疫力が低下することでも発症することがあります。食欲や元気、尿や便の状態などを確認し、異常があれば血液検査やレントゲン検査なども同時に行う必要があります。

うさぎの皮膚糸状菌症はどんな治療をするの?

患部の毛を顕微鏡で観察することで診断します。また、毛を培養検査に出して真菌を検出することもあります。

治療は、抗真菌薬の投与です。内服薬や外用薬があります。内服薬は、基本1~2ヶ月、重症だと長期間投与する必要があります。

うさぎの皮膚糸状菌症の予防法は?

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皮膚糸状菌症は感染力が強く、感染した動物がいる場合には治るまで人を含めて接触をなるべく避けるようにしましょう。お世話をした後はしっかり手や衣類を洗います。

また、環境中の抜け毛やフケなどから感染する可能性があるため、掃除機による清掃や布類の洗濯、10倍に希釈した塩素系漂白剤などを用いた消毒を行う必要があります。消毒の際には、刺激が強いためうさぎを別の場所に移動させ、マスクや手袋を使用して、十分に換気しながら消毒を行い、その後よく洗浄、乾燥するようにしましょう。

また、ストレスや栄養不良が原因で発症する可能性があります。飼育環境や食事には気を付けるようにしましょう。

まとめ

うさぎの毛が抜けて、フケや赤みが出ている場合には、皮膚糸状菌症の可能性があります。

うさぎの皮膚糸状菌症は、うさぎだけでなく人にも感染する人獣共通感染症です。また、環境中から感染することもあるため、治療中は飼育環境の清掃や消毒を行うことも大切です。

気になる症状があれば早めに動物病院で相談するようにしましょう。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。