
りんごは1年中手に入る身近な果物。欧米には「1日1個のりんごで医者いらず」ということわざがあるほど、人の体にとってうれしい栄養成分が含まれています。
では、うさぎの場合はどうなのでしょうか? うさぎはりんごを食べられるのか、与えるときの注意点やよくある疑問とともにまとめました。
うさぎにりんごを与えてもいい
与えても大丈夫です。うさぎはりんごを食べることができます。りんごに含まれる食物繊維、カリウム、抗酸化物質はうさぎの体にもよい働きをします。
ただし、与えられる量はごくわずかで、一部には毒も含まれているので与えるときは注意しなくてはいけません。下で紹介する注意点を必ず確認してから与えましょう。
うさぎはりんごが大好き!

大半のうさぎはりんごが大好きです。目を輝かせてシャクシャク音をさせながらりんごを食べる様子はとても愛らしいですね。うさぎは食べ慣れないものを警戒するので、初めて与えたときはなかなか食べようとしないこともあります。また食べ物の好みは個体差が大きいので、りんごを好まなくても、そのうさぎがおかしいわけではありません。
りんごを与えるときの注意点
りんごを食べられるといっても、与え方に注意しなければ健康に悪影響が出ることもあります。次の注意点を守って与えてください。
- 与える量はほんの少し
うさぎの主食はチモシーなどの牧草。毎日たくさんの牧草を食べることが欠かせません。りんごのような果物はおやつ(嗜好品)という位置づけになります。うさぎの健康のために、りんごは食べ過ぎないようにしなくてはいけません。おやつの食べ過ぎというと、肥満や生活習慣病につながることが浮かぶかもしれません。うさぎの場合はそれだけでなく、りんごのような糖分が多いものを食べ過ぎると腸内細菌のバランスを崩し、軟便や下痢、食欲不振になることも。それが悪化してうっ滞など胃腸の病気になると、すぐに深刻な事態になることもあり得ます。
うさぎに1度に与える果物の量はごくわずかで、体重1㎏のうさぎで5gほど。頻度は1~2週間に1度が目安です。日本で売られているりんごの一般的な重さは1個あたり200~300gほど。およそ300gのりんごを4等分にしたとき、可食部は60g程度になります。ごく薄いスライス1枚分がうさぎに与えられる量です。
- 与えるのは3ヶ月を過ぎてから
離乳したばかりの子うさぎは、少なくとも2週間は牧草をしっかり食べてお腹の調子を安定させる必要があります。生の果物を安心してあげられる目安は、生後3ヶ月以降です。子うさぎの間は大人のうさぎよりも少なめの量を与えます。特に初めて与えるときは小さなひとかけらから始めて、うんちの様子を確認しながら少しずつ量を増やしてください。
- 生のりんごや無添加の乾燥りんごを与える
うさぎに与えられるのは、生のりんごや無添加の乾燥りんごだけです。加工されたりんごのお菓子や、砂糖を加えた乾燥りんごは避けてください。
- 切る前にしっかり洗う
きれいに見えても、りんごには農薬や目に見えない汚れがついています。可能であれば有機栽培や無農薬のりんごを選ぶのもいいでしょう。いずれにしても、切る前に必ずよく洗いましょう。
- 芯の部分(種やヘタ)は必ず取り除く
りんごの種や芯、ヘタには有毒なシアン(青酸)配糖体が含まれています。りんごの種は表面が硬くコーティングされているので食べてしまってもそのまま消化管を通過することが多く、もし噛み砕いても微量であれば体内で無毒化されることがわかっています。そのため、りんごの種を数個誤食しても問題はおきないといわれています。ですが大量に摂り過ぎると、胃の不調、下痢、嘔吐、心拍数の低下、けいれんなどの症状があらわれ、重症になると命にかかわることもあります。毒素の許容量はうさぎによっても異なります。うさぎ自身が避けて食べることはしないので、飼い主が与えないようにする必要があります。種やヘタを含めて、りんごの芯は必ず取り除いてください。
- 体調を崩したら与えるのをやめる
一般的には大丈夫でも、中にはりんごが体質に合わず、適量でもお腹の調子を崩してしまううさぎもいます。初めて与えるときは少量から始めて、りんごが原因で軟便や下痢になるようであれば、与えることはやめてください。うさぎは食の好みだけでなく体質も個体差が大きく、りんごが食べられない子もいることを覚えておいてください。
うさぎは青りんごも食べられる

食用のりんごであればどんな品種でも食べられます。熟しても赤くならない青りんごの品種も与えられます。
赤く熟す前のりんごを青りんごということもあります。その場合も食べることに問題はありませんが、酸味や苦味があるため、食べないうさぎもいます。りんごはうさぎにとって嗜好品なので、おいしく食べられないものは与えなくていいでしょう。
りんごの皮も食べられる
うさぎはりんごの皮も食べられます。りんごの中でも、皮は特に食物繊維や抗酸化物質が豊富で栄養価が高い部分です。皮も与えるときは、丁寧に洗って農薬を除去するようにしましょう。
りんごの葉や枝も食べられる

りんごの葉や枝自体はうさぎにとって安全です。枝をかじることは、歯の伸び過ぎの予防にもなります。ただ木に散布された農薬がついていることも考えられるため、よく洗うか、うさぎ向けに販売されているものなど安全なものを選んで与えましょう。
りんごジュースを与えてもいい
りんごの果汁も問題なく与えられます。特に水分やカリウムを摂ってほしいとき、水に混ぜるとよく飲んでくれることもあります。その場合、2,3倍に薄めてあげましょう。
ただし、市販のりんごジュースは、ほぼ砂糖が添加されています。うさぎにとって、人が飲むためのジュースは糖分が多過ぎです。生のりんごを絞ったジュースを与えてください。またジュースを与えた分も果物としてカウントして、週に1~2回程度、1日分は少量に留め、それ以上果物を与えないようにします。

まとめ
うさぎはりんごを食べられますが、中には体質に合わないうさぎもいます。ここで紹介した注意点を参考に、少しずつ与えて安全に食べられるか確認してください。
りんごが大丈夫であれば、どんな品種のりんごでも食べられますし、りんごの枝をかじって遊ぶこともできます。うさぎの生活を彩るおやつとして、上手に取り入れていきましょう。