うさぎの呼吸が苦しそうなどの異常を感じたら、肺炎を起こしているかもしれません。

肺炎は、命に関わることもある非常に怖い病気です。

免疫力の低下、ストレス、衛生環境などが引き金となり発症することがあるため、日々の生活で気を付けることが大切です。

今回は、うさぎの肺炎についてお話ししたいと思います。

うさぎの肺炎ってどんな病気?

肺炎とは、気道を通して侵入した細菌や真菌・ウイルスや、食べ物の誤嚥(ごえん)※などによって呼吸器の末端組織である肺胞を中心に炎症が起こる病気のことを言います。

うさぎは鼻呼吸を主にする動物で、胸腔(肋骨で囲まれた、肺や心臓が入っている空間)は狭く、肺活量が少ないため、肺炎により呼吸困難になると、診察や検査でストレスを加えるだけで危険な状態になる可能性があります。

※食べ物が食道ではなく気管に入ってしまうこと。うさぎは自分の力で吐くことができず、そこから炎症が起こって肺炎を引き起こします。

うさぎの肺炎はどんな症状が出る?

呼吸困難が認められます。うさぎは浅く早い呼吸が正常であり、激しく胸が動く呼吸や、ゆっくりで深い呼吸をしている場合には呼吸困難になっているかもしれません。

また、呼吸の異常が出る前に、食欲や元気の低下がみられることもあります。

細菌の感染がある場合には、鼻水やくしゃみ、目やになどが一緒に見られることもあります。

重症化すると口を開けてハーハー呼吸する開口呼吸や、口の粘膜や舌の色が悪くなるチアノーゼが認められ、食欲はなくなり、ぐったりとして虚脱状態になります。

うさぎの肺炎の原因は?

うさぎの画像

うさぎの肺炎は、細菌感染が原因となることが多いです。

細菌の種類としてはパスツレラ菌がよく見られます。これは、うさぎでくしゃみや鼻水などの症状が見られるうさぎのスナッフルの主な原因菌のひとつで、鼻腔や副鼻腔に感染、増殖したパスツレラ菌が気道を通って肺に感染することで起こります。

パスツレラ菌は、健康で特に症状の見られないうさぎでも鼻腔や副鼻腔に60~70%ほど菌を持っていると考えられています。免疫力の低下やストレス、環境的な要因により増殖しやすくなると、スナッフルや肺炎など、さまざまな病気を引き起こします。

その他、クレブシエラ菌、ボルデテラ菌なども原因となることがあります。

強制給餌や経口的な投薬による誤嚥(ごえん)にも注意が必要です。

真菌やウイルスによるものはごくまれと言われています。

うさぎの免疫力と肺炎の関係性

免疫力とは、細菌やウイルスなどから体を守ってくれる力のことを言います。

高齢になると、免疫を主導する白血球という細胞が生み出される数やその活動力が低下し、免疫力が低下します。ストレスも、免疫力を低下させます。

そうすると、細菌やウイルスなどが増殖しやすくなり、それが引き金となって肺炎を起こしやすくなります。

うさぎのストレスと肺炎の関係性

うさぎはストレスに非常に弱い動物です。聴覚や嗅覚が敏感で、刺激や音、環境変化などに対してストレスを感じます。また、野生では捕食される動物であることから、臆病で、恐怖や不安も強いストレスとなります。

ストレスがかかると、自律神経の乱れやホルモンバランスが悪くなることによって免疫力が低下し、肺炎などの感染症を起こしやすくなります。

衛生環境と肺炎の関係性

うさぎがくつろぐ様子

空気の通りが悪く、排泄物の処理が滞っている環境では、アンモニア濃度が上昇します。においに敏感なうさぎにとってアンモニアの刺激臭はストレスになります。床がおしっこや水で濡れていることもストレスです。

また、くしゃみや鼻水に混じって体の外に出た細菌が、湿っぽい環境の中で生存し、再度感染したりほかのうさぎに感染したりする可能性があります。

不衛生な環境下でうさぎが生活を続けると、肺炎だけでなくさまざまな病気の原因となります。うさぎのケージ内は常に清潔にしておきましょう。

うさぎの肺炎に関連する病気はある?

■子宮がんが肺に転移して肺炎を起こす場合

子宮がんは、うさぎでよく発見される腫瘍のひとつで、避妊手術をしていないうさぎでは年齢が若くても注意が必要な病気です。

症状として血尿や陰部からの出血、お腹の張りなどがみられることがありますが、初期だと食欲や元気に変化がないことが多く、気付いたときにはかなり進行している状態のことがあります。子宮がんは進行すると肺に転移を起こすことがありますが、それにより合併症として肺炎を起こしやすくなります。その場合には呼吸の異常を認めます。

■乳腺がんが肺に転移して肺炎を起こす場合

うさぎの乳腺にしこりを見つけた場合、乳腺がんの可能性があります。乳腺がんは極めて転移しやすく、近くのリンパ節のほかに肺やお腹の中の臓器にも転移が見られることがあります。性ホルモンの影響が考えられるため、避妊していないうさぎでは注意が必要な病気です。

肺に転移すると、肺炎を併発することがあります。

うさぎの肺炎はどんな治療をするの?

抗菌剤の投与を行います。

食欲がなくなったり、元気がない様子がみられたり、呼吸困難などを起こしている場合が多く、酸素の吸入、点滴や食事の補助などを同時に行う必要があります。

子宮がんや乳腺がんの転移が原因の場合、肺への転移を手術などで取り除くことは難しいため、治療が困難になります。

うさぎの肺炎の予防法は?

うさぎにとってストレスの少ない環境を作ることがとても大切です。

排泄物はこまめに掃除し、部屋の空気の入れ替えもこまめに行って、環境を清潔に保つようにしましょう。

高温多湿や寒冷、急な温度の変化は発症のきっかけになることがあるため、適切な温度や湿度管理を心がけましょう。温度は18~24℃、湿度は50~60%程度が望ましいといわれています。日光やエアコンなどの風が直接当たらないようにすることも大切です。

刺激臭のする消毒剤や芳香剤の使用は避け、洗濯機など大きな音がする場所の近くにはケージを置かないようにしましょう。

また、避妊手術は子宮がんや乳腺がんの予防につながります。麻酔のリスクが低い、若くて健康なときに手術するのがおすすめです。

また、乳腺にしこりがないか、定期的に体を触って確認しましょう。

まとめ

肺炎は、多くの場合発見されたときにはかなり状態が悪く、命に関わることもある怖い病気です。うさぎが肺炎にならないように、ストレスや衛生環境などには気を付けてあげましょう。

また、うさぎのスナッフルや乳腺のしこりなど、気になる症状がある場合には早めに病院を受診することをおすすめします。

すでに呼吸に異変がある場合には、病院への移動や受診のストレスで危険な状態になってしまうかもしれません。なるべく興奮させないように運搬時にも注意することが大切です。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。