「愛猫にはいつまでも元気でいてほしい」というのは、飼い主さま共通の願いでしょう。そして万が一ケガや病気をすれば、「治してあげたい」「元気になってほしい」と思うはず。ただし病気によっては、従来の薬や治療法では治らないものもあります。そうした病気への治療法として、近年、動物の幹細胞を用いた「再生医療(細胞治療)」が注目されています。
本記事では、猫の再生医療(細胞治療)についてご紹介します。

そもそも「再生医療(細胞治療)」って?

「再生医療(細胞治療)」は、ケガや病気の治療のために、生きた細胞を体内に投与する治療法です。人の医療分野でも数年前から注目されていましたが、獣医療でも新しい治療法として世界中で研究され、実用化が進んでいます。猫自身が本来持っている自己治癒力や修復機能を利用する治療法であり、考え方が従来の治療法とは根本的に異なります。

従来の治療法(例えば化学的な成分の薬を使うなど)では効果が失われたり、副作用が強く治療を続けられなくなったりすることがあります。そうした場合に、再生医療(細胞治療)なら、新たに治療の効果を期待したり、副作用をおさえて治療を継続したりできる可能性があります。

再生医療(細胞治療)に関する疑問

徐々に注目を集めているとはいえ、再生医療(細胞治療)は新しい最先端の治療法ですし、飼い主さまにとっては分からない点も多いと思います。「どんな病気に効果が期待できるの?」「いつ、どこで、どのように治療を始めればいいの?」など、様々な疑問にお答えします。

Q.再生医療(細胞治療)はどんな場合に行う治療ですか?
A.標準的な既存の治療法で改善されない場合、副作用が出てしまいそれまでの治療法が続けられない場合に、次の一手として行うものです。

Q.再生医療(細胞治療)の利点は?
A.再生医療(細胞治療)は本来身体が持つ修復機能や自己治癒力を利用するため、副作用が少ない点が挙げられます。

Q.再生医療(細胞治療)では、手術が必要ですか?
A.治療する病気の種類にもよりますが、手術・麻酔・鎮静等は行わず、静脈内点滴によって細胞を猫の体内に投与します。

Q.治療は長期間?入院は必要になる?
A.治療する病気や猫の状態、治療する時間帯によって異なりますが、ほとんどは日帰りでの治療が可能です。

Q.どんな病気に効果が期待される?
A.猫で再生医療(細胞治療)が期待される病気として、以下が挙げられます。

・慢性腸症(CE)
・慢性口内炎
・喘息
・膵炎
・胆管肝炎
・慢性腎臓病
・膵炎続発性糖尿病
・非感染性髄膜脳脊髄炎
・変形性関節症
・免疫介在性多発性関節炎
・免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
・猫伝染性腹膜炎
・急性腎障害
・外傷性脊髄損傷
・天疱瘡(尋常性・落葉状)

※治療効果は、猫の状態・病気の種類・細胞の投与方法などによって異なります。

再生医療を受けられる病院はこちら

再生医療は、全国どこの動物病院でもできるという訳ではありませんが、以下の病院で受けていただくことができます。

■アニコムどうぶつ病院グループ病院(一部)
アニコム先進医療研究所株式会社が運営する動物病院の一部では、再生医療の適切な普及・拡大を目的とする「動物再生医療技術研究組合」に加入しているため、再生医療を受けることが可能です。

アニコムどうぶつ病院グループ一覧はこちら
※アニコム先進医療研究所株式会社のHPに移動します。注射器のマークがある動物病院で再生医療が受けられます。

■動物再生医療技術研究組合の加入病院
「動物再生医療技術研究組合」に加入している他の動物病院でも再生医療を受けることが可能です。

動物再生医療技術研究組合参加病院一覧はこちら
※アニコム損保が加入している再生医療の研究を行う組合(動物再生医療技術研究組合)のHPに移動します。

なおアニコム損保では、飼い主さまに代わり、かかりつけの動物病院へご連絡することも行っています。ご希望の場合は以下のアニコム損保あんしんサービスセンターへご連絡ください。

【あんしんサービスセンター】
► 0800-888-8256
受付時間: 平日 9:30~17:30 / 土日・祝日 9:30 ~15:30
※サービス向上のため、通話内容を録音させていただきます。

【WEBでお問い合わせ】
お問い合わせはこちら※1,2

【再生医療対応の病院をさがす】
全国の実施可能病院一覧※1

※1 動物再生医療技術研究組合のHPに移動します。
※2 お問い合わせへの回答は動物再生医療技術研究組合から行います。

再生医療を受けた猫の実例をご紹介

■猫喘息の症例

動物のなかでも珍しく、猫はヒトと似た病態で喘息を起こす動物です。呼吸時の空気の通り道である気道が何らかの物質(アレルゲン)に過敏に反応することで、気道の内腔が狭くなったり気道粘膜が炎症を起こしたりして、呼吸困難が起きると言われています。

・Before  再生医療(細胞治療)実施前

何度も繰り返し咳込み、苦しそうな様子が見てとれます。

・After 再生医療(細胞治療)実施後

咳込む様子もなく、おもちゃで飼い主さまと元気に遊んでいます。

福田 エヴァンちゃんの飼い主さまのお声

咳こむ回数が減り、治療後1ヶ月後検診で撮ったレントゲンでも目に見えて炎症が減っていました。また、関節炎の症状も緩和している様子で、数ヶ月ぶりにキャットタワーの最上段まで登ったりしています。

愛するわが子のために新たな治療法の選択肢を

再生医療(細胞治療)は、さまざまな病気に対する効果が期待でき、新たな治療法として選択される飼い主さまも増えてきています。これまで「治らない」と諦めざるを得なかった病気が、「治せる」かもしれないのです。

アニコム損保では、病気に苦しむ猫を少しでも減らしたいと考え、再生医療(細胞治療)の普及に協力しています。再生医療(細胞治療)を受けたい、もっと詳しく知りたいという方は、些細なことでも構いませんのでお気軽にお問合せください。

【あんしんサービスセンター】
► 0800-888-8256
受付時間: 平日 9:30~17:30 / 土日・祝日 9:30 ~15:30
※サービス向上のため、通話内容を録音させていただきます。

【WEBでお問い合わせ】
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※1 動物再生医療技術研究組合のHPに移動します。
※2 お問合せへの回答は動物再生医療技術研究組合から行います。

「動物再生医療技術研究組合」で行われる再生医療を受けた方に協力金をお支払い

アニコム損保では、「動物再生医療技術研究組合」において対象となる臨床研究を受けた方に、「再生医療協力金」をお支払いすることになりました。

協力金の概要や申請方法については、以下をご確認ください。


再生医療協力金詳細バナー

監修獣医師

河本光祐

河本光祐

岩手大学農学部獣医学科卒業後、岐阜大学大学院 連合獣医学研究科にて博士号を取得。2011年 アニコム損害保険株式会社に入社、保険金支払や経営企画、 獣医師としての臨床業務など幅広く従事。現在はアニコム先進医療研究所の代表取締役社長を務める他、再生医療の研究を行う動物再生医療技術研究組合の理事長も兼任する。 愛猫は病院保護猫のカキタロウ、ツブスケ。