猫は一般的に散歩をしませんが、運動不足やストレスが気になるという人もいると思います。猫の散歩を考えている人のために、散歩のメリットとデメリットについて解説します。
猫に散歩は必要?
結論から言うと猫に散歩は必要ありません。
しかし、中にはSNSで散歩をしている猫の写真を見かけたり、実際に近所で猫を散歩させているシーンに出くわしたという人もいるでしょう。
ペットショップに行くと、猫用の首輪やハーネス、リードが売られているので「もしかして散歩が必要なのかも?」と思ってしまうことがあるかもしれません。
猫に散歩をさせないと運動不足にならない?

運動=散歩と考えている人も多いのですが、猫の場合は少し違います。
猫はそもそも長距離移動はせず、自分のテリトリー内を見回り、パトロールする程度です。
また、身体の構造的にも犬とは違い、たくさんの距離を歩いたり走ったりする持久力はなく、瞬発力に特化しているので、「猫の運動=散歩」とは考えなくていいでしょう。
運動不足を心配するのであれば猫本来の行動に合わせた瞬発的な動きや、3Dの動きができる工夫をしてあげるのがおすすめです。
室内でも運動不足にさせないコツ
猫は、物陰から隠れて獲物にそっと近づいて飛びつく動きや、木の上に登る、降りるといった動きをします。そのため、家の中にキャットタワーやキャットウォークを用意してあげたり、猫じゃらしなどのおもちゃを使って狩りの動きをさせてあげることが運動不足やストレス発散に役立ちます。
猫の散歩をする時の注意点

基本的に猫に散歩は必要ありませんが、病院や旅行など猫と外出することがあると思います。その場合には、猫を外出させるメリットとデメリットも理解した上で、事前の準備をしっかりするようにしましょう。
ワクチン接種は必ず済ませる
猫も犬と同じように、ワクチンで予防できる病気があります。
猫汎白血球減少症(FPV)、猫ウイルス性鼻気管炎(猫カゼ)、猫カリシウイルス感染症(猫カゼ)は3種の混合ワクチンで予防することができる病気です。
さらに5種では、猫白血病ウイルス感染症(Felv)、猫クラミジア感染症も加わります。
ワクチン接種で、猫を感染症から守ることができるので、外出頻度に関わらず推奨されています。
何種のワクチンがいいのかは、生活環境にもよるのでかかりつけの獣医師さんに相談して決めると安心です。
【関連サイト】
猫の混合ワクチンについて|みんなのどうぶつ病気大百科
リード・ハーネスにキャリーバッグもあると安心
猫を散歩させるときは、ハーネスとリードをしっかり着用することがとても大切です。猫は身体がやわらかく首輪は抜けやすいことと、猫用の首輪は強い衝撃が加わるとバックルが自動で外れるようになっているものが多く散歩には不向きです。
ハーネスを選ぶ際も、身体をしっかりホールドしてくれるものを選ぶと抜けにくくなります。
とはいえ、長時間ハーネスとリードを付けて外にいることは猫に負担になることがあるので、猫が安心できるキャリーバッグも一緒に持ち歩き、いつでも落ち着いて休憩ができるようにしてあげましょう。猫によっては、ハーネスとリードを着用すること自体が大きな負担になる場合もあるので、愛猫の様子をよく観察し、苦手な子には無理強いしないことが大切です。
安全な場所でキャリーバッグから出す
交通量の多い道や人が多い場所では、猫が驚いて思わぬ逃走や事故につながる危険があります。公園や人通りが少ない場所など安全の確認と、猫が落ち着いている状態であること、ハーネスとリードがしっかり着用できていることをよく確認してから出すようにしましょう。
猫の散歩のメリット
病院や災害時など猫にストレスがかかりやすい場面で、過度にストレスを感じずに済むよう、日頃から外の刺激に慣らすことを目的に、無理のない範囲で行う散歩はメリットになるでしょう。
外の環境だけでなく、ハーネスやリード、キャリーバッグに入った状態での移動などを練習しておくことで、万が一のときの負担を減らしてあげることが可能です。
猫の散歩のデメリット
散歩をすることで、外の世界で楽しい思いをしてしまうと、お家の中にいても脱走の機会を伺ったり、外に出られないことで逆にストレスになってしまう可能性もあります。
逸走の危険性
初めて外に出る場合は、物音などに驚いてパニックになりやすく、逃げ出してしまう危険性がとても高くなります。
ハーネスとリードを着用していても、身体のやわらかい猫の場合はスルッと抜けてしまう恐れがあるので、最初はキャリーの中に入れた状態で散歩をするなど段階を踏むようにしましょう。
病気やケガのリスク
リードを着けていても高いところへ飛び乗ってしまう猫の場合、リードが絡んでケガをしてしまわないように注意が必要です。
また、外に出ることで病気のリスクも上がるので、しっかりとワクチン接種をするなど対策をしましょう。
ノミ・ダニ
病気をもらってしまうのと同様に、外に出ることでノミやダニを身体につけて持ち帰ってしまう恐れがあります。
ノミやダニに寄生されると皮膚炎を起こしてしまうことがあります。特にマダニは、人に対しても噛みつき感染症を引き起こすので、注意が必要です。
【関連サイト】
ノミ・マダニ予防について <猫>|みんなのどうぶつ病気大百科
猫の健康と安全が第一

猫を飼うというと少し前までは、外猫にエサをやっているうちにいつしか家に出入りするようになっていたり、拾って家猫として迎えるといったことが多かったと思います。
そういった猫の場合は、家で飼われていながら日中は外にパトロールに出て、ごはんの時間になると戻って来るといったとても自由な生活をしていました。
しかし、現在は動物愛護法によって「飼い主の責任」が細かく明記されていて、交通事故や病気、猫の糞尿トラブルなどの観点から猫を守るためにも「室内飼育」が努力義務とされていています。
まとめ
猫にとって散歩はあまり重要ではなく、むしろ散歩をすることで猫を危険に晒してしまうことにもなります。
無理に散歩をするよりも、家の中でどうしたら快適に過ごせるのか工夫をして、安全に運動不足やストレスを解消してあげましょう。
