コードにじゃれる子猫

家の中で生活している猫は安全!と思われる方も多いかもしれませんが、実は、家の中でも猫が身の危険にさらされることは度々あります。その中に、「感電事故」があります。感電は、電気を多用する屋内でこそ起こりやすい事故です。しかし、事前に飼い主が注意して対策をとっておけば防げるものでもあります。この機会に、猫が安全に過ごせるよう、家の中を見直してみましょう。

猫が感電するのって、どんな状況?

キョトンとした顔でこちらを見る猫

「感電」は身体に電流が流れ、刺激を受けることをいいます。電流の強さによって、刺激の程度は異なります。冬にドアノブを触った時に感じる静電気も、実は感電の一つです。強い電流が流れれば、最悪死に至る危険性があるので注意が必要です。感電が起こるタイミングは、電気機器に電流が走っている時、つまり機器の使用中に起こります。では、家の中で猫が感電しやすい状況はどのような時でしょうか。

電気コードでじゃれてるうちに…

黒いコードに嚙みつく猫

猫は小動物を狩るという本能行動から、動くものやニョロニョロした紐状のものが大好きです。じゃれついているうちに、ついついヒートアップすると噛みついたりします。猫における室内での感電事故で最も多いのが、電気コードを噛みちぎったことによる感電です。電気コードは元々電流が電化製品に向かう導線と、コンセントに戻る導線がコード内に束になって入っていて、その周りは電気を通さないようにするプラスチックやゴム性の絶縁体で包まれています。

このコードが猫にとって最高の遊び道具になってしまうのです。最初は手で触って遊んでいますが、興奮すると噛みつく場合があります。特にゴム性のコードやコタツなどに使用されている布状のコードカバーは噛みごたえがあり、歯の生え替わり時期で歯がむず痒い幼猫や、好奇心旺盛な1~2歳の猫には魅力的に感じやすいため、注意が必要です。コードを噛み続け、中の電線がむき出しになってしまい、露出した使用中のコードに猫が接触してしまうと感電が起こります。

コンセントも時に感電する

コンセントは基本的に、コンセント口の中に接触しなければ感電するリスクは低いです。しかし、コンセント内には強い電流が蓄えられています。汗をかいた手(肉球)や身体が濡れた状態でコンセントを触ると、乾いた状態と比べ大量の電流が身体に流れ込む危険性があります。また人の子供では、コンセントにピンや鍵などの金属物を指し込んで感電する事故が多いとされます。ご家庭にお子さんがいる場合は、猫も一緒に遊んで感電してしまう危険性があるので注意して下さい。

水周りの漏電

電化製品が水に濡れると、電化製品から漏れた電気が水を伝って漏電し、その水や電化製品を触ってしまうと感電する恐れがあります。例えば、お風呂場や洗面所の近くで、電源の入ったドライヤーを猫が誤って水場に落としてしまって感電する可能性や、充電している状態の携帯を濡らしてしまい、それを誤って触る危険性があります。

屋外での感電リスク

外に出る猫は、飼い主が気をつけようとしても感電を完全に防ぐことは困難です。屋外では命に関わる感電事故のリスクがより高まります。避雷針、送電線、畑などの近くに住んでいる場合は電気柵に近寄って感電する危険性があります。高圧電線のある鉄塔なども非常に危険です。

感電するとどんな症状になる?

寝ている猫

電気が身体を通過するときに熱を発生し「やけど」が生じます。受けた電流が強いと、直接接触した皮膚や口の中などだけでなく、身体の内蔵や筋肉が「やけど」を負ってしまいます。感電した電流が強く、接触した時間が長いほど身体へのダメージは大きくなります。猫の身体が濡れている場合は、より強い電流を受ける可能性があります。内蔵や筋肉の変化は見た目ではわからないことが多く、接触した箇所が口の場合、異常がすぐに見えないので、注意深い観察が必要です。

軽度の場合はしびれ程度

人では、1~5mA(※)程の電流を触ると、ピリッと静電気ほどの刺激を感じるレベルで、5~10mAの電流では、痛みを感じるレベルとされます。10mA以下の電流の影響は軽度の可能性がありますが、猫は人よりも身体が小さいので、受ける刺激はもっと強くなると考えられます。しびれ程度でも猫は驚き、飛び跳ねたり走り回ったりして、パニック状態に陥り、接触した部位はやけどを負っている可能性があります。特に猫で注意したいのが、電気コードを噛んで感電した場合の口周りと口の中です。感電直後は赤く腫れ上がったり、時に爛れたりしている場合があります。感電の可能性がある場合は、口の中も異常がないか細かくチェックしてあげましょう。
※1mA=0.001A

重度の場合は意識不明になることも!

受けた電流が強いと、一瞬で致命的な状況になる危険性があります。人では、電流の強さが10mA以上になると我慢できないくらいの痛み、20mA以上では痙攣して動けなくなり、50mA以上で命に関わる非常に危険な状態になります。これが猫の場合、どれほどの衝撃になるか想像すると恐ろしくなります。強い電流を受けると、身体を動かすことができなくなり、放っておくと感電し続ける危険性があります。さらに強い電流の衝撃では、一瞬で全身のケイレンや心臓発作、意識消失が起こり、その場で心臓が止まって即死してしまう可能性があります。

感電直後は、意識があって目に見える範囲では異常がないように見えても、内臓や筋肉にやけどを負っていて、数時間〜数日経って症状が現れる場合があります。神経や筋肉にダメージがあると、足を引きずったり、発作を起こしたりといった様子が見られるかもしれません。また、肺や心臓にダメージがあると肺に水が溜まったり(肺水腫)、心臓発作や不整脈などが遅れて起こったりする可能性があります。感電した直後は、猫の様子が大丈夫そうに見えても、動物病院で診てもらい、数日は変わった様子がないか観察しましょう。

どんな治療をする?

もし家で猫が感電してしまったら、慌てず以下の対処を行い、体調に問題ない様子であっても動物病院を受診しましょう。感電の程度によっては、早急に治療が必要な場合もあります。誤った対処を行うと、飼い主も感電する危険性があるので冷静に対応し、猫の状態を確認しましょう。

家での対処法

猫が電気コードやコンセントの近くで倒れていたり、電気コードを噛んだ様子がある場合、まず電源を遮断します。感電したと思われる電化製品の電源を切るか、コードをコンセントから抜く、もしくは家庭内のブレーカーを落としてこれ以上感電しないようにします。その後、猫を電源から離れた安全な場所へ移動させ、猫の様子を見ます。猫を触ると帯電し、飼い主も感電してしまう恐れがあるので、必ず電気を通さないゴム手袋や、なければ厚めのビニール袋を介して猫を触って下さい。

また、猫は感電のショックでパニック状態になっている可能性があるのでそっと声をかけ、ゆっくり触ってあげましょう。猫の意識がなく、呼吸も弱かったり心臓の拍動が感じられなければ、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。その間、可能であれば、心臓マッサージや人工呼吸を行いながら連れて行きますが、対応に慣れていない飼い主さんの方が多いと思うので、動物病院で早急に対応してもらうのが先決です。

猫の意識があっても、グッタリしている場合は、その直後に意識を失ったり、呼吸が止まる危険性が十分あるので救急で診てもらいましょう。猫が元気そうであっても、口の中や皮膚に異常がないかよく観察し、念のため動物病院で診てもらうことをおすすめします。数時間から数日後に身体に異常が出てくることも念頭において、数日は猫の様子をよく見てあげましょう。

やけどや感電ショックに対する治療

感電によるショックの程度はさまざまですが、生死をさまよう様な危険な状況であれば、早急に動物病院で心肺蘇生などを行う必要があります。意識はあっても血圧が低かったり、蒼白状態で血液循環が悪い場合や、呼吸状態が悪い場合も、ショック状態から脱するまで入院し、点滴や酸素室で様子を見る必要があります。口の中や唇をやけどしている場合は、やけどの治療に数日から、傷が深いと1~2週間必要な場合があります。口の中のやけどは感染が起こりやすく、痛みを伴うので、抗生物質や痛み止めの投与をします。場合によっては食事の補助をしてあげる必要があるかもしれません。

猫が感電しないための予防策は?

コンセントから抜けたプラグに前足を置く猫

猫の本能をくすぐる電気コードは、猫にいくら「触らないで!」としつけをしても、辞めさせるのは至難のわざです。猫にとって電気コードやコンセントが遊びの対象とならないよう、事前に対策をすることが重要です。

使用していない時はコンセントからコードを抜く

電化製品を使用していない時は、できるだけ電気コードをコンセントから抜いておきましょう。抜いておけば電流が流れることはなく、安全です。

電気コードが猫の目につかないよう工夫する

コンセントから繋がれたコードが床にあるだけで、猫は飛びかかって遊ぼうとします。さらに、上からブラーンと垂れ下がっているようなコードは遊んでくれと言っているようなものです。なるべく猫の目に付かないよう、床にあるコードは敷物などの下に隠したり、垂れ下がっているコードは壁に沿わせて固定したりして、予防しましょう。

電気コードカバーを使用する

電気コードを覆うコードカバーをすることで、猫が直接噛まないようにできるため、感電防止策になります。また、パソコンデスクやテレビ、ビデオデッキの裏などは、配線が密集する場所なので要注意です。ひとまとめに束にして、箱に収納するような工夫をしましょう。

コンセントにはコンセントカバーを

コンセントの差し込み口も、使用していない場所はなるべく接触しないようカバーをしておくと安心です。子供のいたずら防止で売られているコンセントカバーを利用すると良いでしょう。

飼い主の目の届かない時はケージで過ごさせる

飼い主が外出している間や就寝中は、猫が自由に家の中を散策して、隠してあるコードや危険なものをオモチャにして遊ぶ危険性があります。飼い主の目の届かない時は、猫のためにもケージで過ごしてもらうと安心です。

他に魅力的なオモチャで遊んであげる

電気コードなどに興味を示す猫は、遊ぶことが大好きです。そのためコードを隠したりすることで遊ぶ対象がなくなり、大きなストレスを抱えて別の問題行動に移る可能性があります。できるだけ猫が喜ぶオモチャで遊んであげることで、欲求が満たされるようスキンシップを取るようにしましょう。

電化製品の劣化や破損がないかチェックする

長年の電化製品の使用は、気付かない間にコードがねじれたりして負荷がかかり、中の導線がむき出しになっている場合があります。その部分から漏電して、触ると容易に感電する恐れがあります。事故が起こる前にチェックして修理しましょう。

まとめ

感電事故はどれほどの影響を受けるか予測がつきません。飼い主が不在の時間帯に起きた場合は、猫が感電したかどうかも不確かになり、不調の原因がわからず手遅れになるケースもあります。猫が感電事故を起こす前に、できるだけ室内の危険な状況をなくし、予防を徹底しましょう。

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監修獣医師

溝口やよい

溝口やよい

日本獣医生命科学大学を卒業。2007年獣医師免許取得。埼玉県と東京都内の動物病院に勤務しながら大学で腫瘍の勉強をし、日本獣医がん学会腫瘍認定医2種取得。2016年より埼玉のワラビー動物病院に勤務。地域のホームドクターとして一次診療全般に従事。「ねこ医学会」に所属し、猫に優しく、より詳しい知識を育成する認定プログラム「CATvocate」を修了。毎年学会に参加し、猫が幸せに暮らせる勉強を続けている。2018年、長年連れ添った愛猫が闘病の末、天国へ旅立ち、現在猫ロス中。新たな出会いを待っている。