世界にはさまざまな犬種がいて、普段、目にする機会が少ない犬も存在します。今回紹介するのはバセンジー。高貴で神秘的な印象の犬で、吠えない犬として注目されることもあります。そんなバセンジーについて、性格や寿命、飼育のポイントなどを紹介します。

バセンジーの特徴は?

「バセンジー」はアフリカのピグミー族の言葉で「茂みのもの」「野生の犬」「跳ねる犬」などと訳されます。その姿はガゼルのように気品があるといわれ、すらりと長い脚に引き締まった体型をしています。おでこにシワがよりやすく、どことなく困っているように見えるお顔も魅力のひとつ。耳は立ち耳でしっぽは巻いています。
ほかの犬種と比べて原始的な犬の特徴を持つことでも知られています。ほとんどの犬種は年に2度発情がありますが、バセンジーは野生のイヌ科の仲間と同様に年に1度だけです。

最古の犬種候補のひとつ

非常に古くから存在していた犬種で、現時点で考えられている最古の犬種候補のひとつでもあります。石器時代のアフリカの洞窟壁画やエジプトのピラミッドの壁画にもよく似た犬が描かれています 。古代エジプトでは小動物の狩りをする猟犬として飼われていました。やがてエジプト文明の滅亡に伴い、各地へ散ってしまいます。そして1895年に中央アフリカでイギリスの探検隊に発見されました。当時はコンゴで村人みんなから愛される「村の犬」として自由に暮らし、狩りに協力していたことから、別名コンゴ・ドッグとも呼ばれています。
1930年代以降にイギリス、アメリカで繁殖に成功し、家庭犬として世界中に広がりました。 日本はもとより、イギリスやアメリカでも頭数は少なめでレアな犬種です。

鳴き声が独特

「吠えない犬」として知られているバセンジー。実際、ほかの犬のように「ワンワン」と吠えることはありませんが、だからといって完全に静かな犬というわけではありません。心が動くことがあると、独特な声で鳴いて気持ちを伝えます。その声は「高い笑い声」や「ヨーデルのよう」などと表現されます。

控えめながら好奇心旺盛で活発な性格

性格は賢くて独立心が高いタイプです。慎重で控えめなところもあります。知らない人や犬は警戒してなかなか心を開きません。飼い主がしっかりとしつけと社会化をして、慣れない人や犬、ほかのペットと対面する際はよく見守る必要があります。飼い主や家族にはよく懐いて愛情深く接してくれます。
また「潔癖」と言われるほどきれい好きで、猫のように毛づくろいをするほどです。「吠えない」「控えめ」「きれい好き」といわれると大人しい犬と思うかもしれませんが、体は小さくても活発で運動量は大変多い方です。ジャンプ力があって登ることも得意で、木に登れる子もいます。 好奇心も旺盛で動くものにはよく反応します。

サイズ

中型犬に分類され、柴犬に近い大きさです。ジャパンケネルクラブ(JKC)が定める理想体高は男の子が43㎝、女の子が40cm。理想体重は男の子が11㎏、女の子が9.5㎏となっています。

被毛について

短毛で抜け毛は少なめです。ピュア・ブラック&ホワイト、レッド&ホワイトなどさまざまなカラーパターンがあります。しっぽの先は白くなっています。

飼育のポイント

元はアフリカの大草原を走り回っていた狩猟犬なので、とてもアクティブ。一緒にたくさん動きたい人に向いています。好奇心が強い分、飽きっぽいところもあるので、なるべくたくさんの刺激を与えてあげることが大切になります。ただし、水に入ることは好みません。
またお留守番で単独で過ごす時間が長くなると、寂しくていたずらをすることも。できるだけ長い時間一緒にいてあげることが理想です。

寿命はどのくらい?

バセンジーの平均寿命は一般に12~16歳ほどといわれています。アニコムの「家庭どうぶつ白書2025」によると、犬全体の平均寿命は14.1歳です。健康に気をつけて飼えば、長く寄り添ってくれる家族になります。最後まで責任をもって飼えるかどうか、飼い主にもしものことがあったら誰に託すか、お迎えの前によく検討しておきましょう。

気を付けたい病気

遺伝性の病気として、股関節形成不全や進行性網膜萎縮症、 溶血性貧血など のほか、次のような病気があります。

ファンコーニ症候群

腎臓の機能障害により、本来は再吸収されるはずの物質が尿中に流れてしまう病気です。体に必要な水分や栄養が排出されてしまうため、多飲・多尿や体重減少といった症状が現れます。水を飲む量やおしっこの量で気になることがあったら、早めに受診をしましょう。

免疫増殖性腸炎

免疫の異常で腸に慢性的な炎症が起こる「炎症性腸疾患」のひとつ。炎症性腸疾患は一般に原因不明ですが、バセンジーの免疫増殖性腸炎は遺伝で起こることがわかっています。症状は嘔吐や下痢、食欲不振、体重減少など。嘔吐や下痢が続くときは受診をしましょう。

まとめ

バセンジーは滅多に吠えない、ユニークな声で鳴く、きれい好きなど、ほかの犬にはない特徴があり、独特の犬ともいわれています。警戒心が強くマイペースな面もありますが、家族に愛情深い点はどの犬にも劣りません。性格や特徴をよく理解したうえでお迎えすれば、かけがえのない家族の一員となってくれるでしょう。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。