うさぎがスヤスヤ眠っている姿は癒し効果抜群のかわいらしさ。いつまでも見ていたくなりますね。でもうさぎと一緒に暮らしていると、その睡眠をめぐって「いつも寝てばかりで元気がない気がする。」「無防備な寝姿が見られない。もしかして睡眠不足?」など疑問に思うこともあるでしょう。そこで、うさぎの睡眠について知っておきたい知識をまとめました。

うさぎの1日の睡眠時間はどのくらい?

うさぎの1日の睡眠時間は8~12時間程度。平均的には8時間半眠るといわれています。とはいえ、うさぎはまとまって何時間も眠り続けることはありません。1回の睡眠時間は数分~数10分程度。野生下で敵に捕まることがないよう、いつも警戒している必要があるため、睡眠はこま切れにとるようになったのです。

うさぎが寝過ぎだと思うとき、知っておきたいこと

あくびするうさぎ

「うちのうさぎはいつも寝てばかり。こんなに寝ていて大丈夫?」と思うのは、うさぎがこま切れに眠るからかもしれません。睡眠に入る前から横になったり座っていたりするので、その時間も含めると相当長く眠っているように見えます。またそのほかの原因として、次のことが考えられます。

うさぎは昼と夜に眠る「薄明薄暮性」

うさぎは夜行性と思われがちですが、実は「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」。これは昼と夜に眠り、薄暗い明け方と夕方に活動することです。そのため昼も夜もたくさん寝ていますが、明け方~午前中の早い時間や夕方には活発になります。うさぎが昼も夜も寝てばかりいるのは普通のことなのです。

ただ、朝や夕方になっても活発な様子が見られず、1日中寝てばかりというときは、体のどこかに不調があるのかもしれません。もともと活動的ではない大人しいうさぎもいるので一概に病気とはいえませんが、1日の中で活発になる時間帯がないときは体調にも気をつけてあげてください。

リラックスできる環境ではよく眠る

横になって眠るうさぎ

上でうさぎの睡眠時間を紹介しましたが、平均よりもずっと長い時間眠る子もいます。傾向として、高齢のうさぎやおうちの環境になじんでリラックスできているうさぎは長い時間眠るようです。

うさぎが横になって眠るのは、その環境に慣れて安心している証拠。さらに慣れてくるとお腹を見せて仰向け気味になることや、足を伸ばしきって熟睡していることも。いびきをかくこともありますし、夢を見ているのか口をモグモグさせることや、足がピクピク動くこともあります。寝方によっては倒れて硬直しているように見えることもあり、飼い主をヒヤリとさせることも。でもそれは、うさぎが今の環境でリラックスできている証拠です。寝てばかりいるからと、寝ているうさぎに触れて起こすことはやめましょう。

うさぎが睡眠不足だと思うとき、知っておきたいこと

うさぎが横になって寝ている姿や、目を閉じて寝ているところがあまり見られないと「うちのうさぎは睡眠不足かも」と心配になりますね。たしかに病気やストレスの兆候で睡眠不足になる場合もありますが、眠っていないように見えてもしっかり眠っていることもあります。

うさぎは目を開けて眠る

うさぎが眠っている画像

うさぎは目を開けて眠ることも少なくありません。特に「香箱座り」と呼ばれる前足を隠して座っている姿勢で眠るときは、よく目が開いています。耳はたいてい寝かせていますが、立てたまま寝るうさぎもいます。これでは実際は寝ていても、起きているように見えてしまいますね。飼い主が「うさぎがあまり寝ていない」と思う原因の大半は、このようにうさぎが寝ているように見えないからと考えられます。

うさぎの鼻

うさぎが寝ているかどうか見分ける方法は、鼻の動きを見ることです。うさぎの鼻は起きていれば小刻みに動いていますが、寝ているときは動きが緩やかになるか、完全に止まっています。また、寝ている間は耳も動きません。目を閉じて寝ているように見えても、耳を音源の方向に向けることがあればうさぎは起きています。うさぎが目を開けて寝ているときは、視界に異変があるとすぐに反応して起きてしまいます。気づかれないよう、そっと近づくか、遠くから観察してください。

慣れるまで時間がかかるうさぎもいる

うさぎがおうちの環境に慣れて、寝そべった姿を見せてくれるまでにかかる時間は千差万別。すぐに慣れる子もいれば、数ヶ月かかる子も、数年かかってしまう子もいます。なかなか横になって寝ている姿が見られなくても、うさぎに快適な環境が整っているなら気長に待ってみましょう。上で紹介したように、うさぎは座ったままでも寝ているので睡眠はとれています。また、人が見ていないところでは寝そべって眠っているかもしれません。

うさぎの性格が影響していることも

うさぎ

うさぎの性格によっては、たとえ慣れていても「絶対に寝姿を見られたくない」と思う子もいるようです。飼い主としては信頼されていないようで寂しいかもしれませんが、それもうさぎの個性。撫でさせてくれるか、うさぎから近づいてくるかなど、ほかのサインを見て懐いているか判断してください。

急に睡眠が変わったときは体調に要注意

いつも寝てばかり、いつもあまり寝ていない、と思っても、うさぎが元気であればほとんど問題はありません。ただ急にたくさん寝るようになった、突然眠らなくなったという場合は要注意。来客など普段とちがうことがあり一時的なストレスで睡眠時間が少なくなることや、換毛で消耗してたくさん眠ることもありますが、体調が悪くなっている場合もあります。

例えば体のどこかに痛みがあって眠れないといったことです。特に腹ばいになるものの、深く眠らず何度も姿勢を変えているときは腹痛が起きている可能性が。そのほかケージの隅で丸まって震えているまたは歯ぎしりをしている、ずっとぐったりして動かないようなときは、急いで動物病院を受診してください。

緊急性はないように見えても、食欲がない、へやんぽの時間にいつも通り遊ばないなど、ほかに症状があれば早めに受診しましょう。

うさぎの安眠のためにできること

うさぎが眠っている画像

うさぎが安心できる環境でたくさん眠るなら、できるだけ安眠できるように何かしてあげたいと思うのが飼い主の親心ですね。うさぎに充分に寝てもらうためにどんなことをすればいいのか紹介します。

  • 昼間は明るく、夜は暗くする

うさぎは光の刺激で体内時計を調節しているので、屋外と同じように日中は明るく、夜は暗くしてあげましょう。うさぎが昼間寝ているからといって、出かけるときにカーテンを閉めて部屋を暗くする必要もありません。自然光が入る程度の明るさでもうさぎはちゃんと眠れています。自ら窓際へ行って日光浴をしながらウトウトしていることもあるほどです。

  • 生活音はいつも通り

うさぎは日中深く眠りますが、人間は起きている時間です。うさぎにはできるだけ静かな環境がいいのですが、生活音を消してまで静かにする必要はありません。お迎えしたばかりで慣れない時期や体調が悪いときは気をつけてあげる必要がありますが、元気であれば毎日の生活音には慣れていきます。ですが、うさぎの性格によって、掃除機の音にも慣れる子もいれば、いつまでも怖がる子もいます。うさぎの様子を見ながら調節してあげるといいでしょう。

  • 1日のスケジュールを決めてお世話をする

ごはんの時間、へやんぽの時間、掃除の時間が決まっている規則正しい生活は、うさぎに安心感を与えます。1日の流れがわかっていることで夜間も暴れることもなく、落ち着いて過ごすようになります。

まとめ

うさぎの1日の平均的な睡眠時間は人と同じくらいですが、睡眠のパターンはまったく異なっています。うさぎの睡眠のとり方を把握したうえで、自分のうさぎの様子を見てみましょう。ここでは一般的なうさぎのリズムを紹介しましたが、うさぎによって異なる部分もあります。なるべくいつもの睡眠パターンを把握しておき、本当に眠り過ぎているとき、睡眠不足になったときにすぐに気づいてあげられるといいですね。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。