
かわいいデザインも多く、目移りしてしまうほどたくさんの種類があるうさぎのリードとハーネス。どんなときに役立つのか、また選び方や嫌がるとき・慣れてほしいときの対処法について解説します。
リードとハーネスのメリット&デメリット

うさぎにリードとハーネスが必要かどうかは、飼い主がメリットとデメリットを知って判断することが重要です。
一番のメリットは、手軽にうさんぽができること。うさんぽはうさぎを屋外に連れ出して散歩をさせることの通称。好奇心旺盛で活発なうさぎにはいい刺激になりますが、うさぎが急に走り出すことはもちろん、ほかのペットや野鳥など、うさぎに危険が迫ることもあります。そのような場合に飼い主の側から離れないようにするために、リードとハーネスが必要になります。
また、災害時に万が一の脱走を防ぐというメリットもあります。災害で避難するときは基本的にキャリーに入れますが、キャリーを開けて掃除をすることや、外に出してお世話をすることもあります。うさぎは本能的に怖いと思うと、すぐに逃げる行動を取ります。いつもと状況が異なる災害時では、なおさら敏感になっているでしょう。傘を開いたとき、テントを開いたときなど人にとって何でもないことでも、うさぎはびっくりして急に走り出すことがあります。避難先でキャリーから出すときにもリードとハーネスは役立ちます。
このようなメリットがある一方で、デメリットも。
まずハーネスをつけること自体がうさぎのストレスになる場合があります。抱っこが嫌いなことでも知られるように、うさぎは捕まって拘束されている状態にストレスを感じます。自分の体がハーネスに包まれているのを我慢できないうさぎもいます。そして嫌がって暴れることで骨折をすることも。
どうしても慣れないうさぎに強制するとストレスやケガの原因となるため、あきらめるしかない場合もあります。ただ災害時のこともあるので、自分のうさぎがどんなタイプか知るためにも、一度は試してみてもいいでしょう。
うさぎのためのハーネスの選び方
ほかのどうぶつ用のハーネスは使用せず、必ずうさぎ専用のものから選んでください。いうまでもありませんが、うさぎに首輪はつけられません。うさぎの首は繊細なので、引っ張って力がかかると首の骨が折れてしまう危険があります。また、首と頭の細さがあまり変わらないので、付けたとしても抜けてしまいます。
うさぎ用のハーネスもいろいろなものが販売されています。デザインも豊富ですが、選ぶときはうさぎにとって安全かどうかに重点をおきましょう。おすすめは洋服のように見えるベストタイプ。リードを引いた際に圧力が分散するので、体に負担がかかりにくくなっています。丈夫で軽い素材や、通気性のいいメッシュ素材のものを選びましょう。着脱がしやすいかどうかも大切なポイントですが、着脱しやすいがゆえに、ハズレてしまうようなデザインは避けましょう。
紐だけのストラップタイプなどもあります。着脱が簡単でサイズ調整がしやすいというメリットがありますが、使用中は、本来うさぎの胸を横切る部分がずれて首の位置にきていないか注意してください。また、手足が抜けてしまわないか注意して使用する必要があります。
リードとハーネスの慣らし方

リードとハーネスに慣れてもらうには、段階を踏んで少しずつ進めることが大切です。焦って進めてしまうと、うさぎがすっかり嫌になってつけられなくなってしまう可能性も。もどかしくても「急がば回れ」の精神で、うさぎのペースに合わせながら次の手順で進めてください。
1.リードとハーネスの存在に慣れさせる
リードとハーネスを入手したら、すぐにつけた姿を見たくなりますね。でも焦りは禁物。うさぎは初めて見るものを警戒します。うさぎにとって体を包まれるハーネスは嫌なものであることも忘れてはいけません。突然目の前に出して装着すると、うさぎの恐怖心はマックスに。するとリードとハーネスはとても嫌なもの、という印象になってしまいます。
まずはリードとハーネスをうさぎにしっかり見せて、その存在に慣れてもらいましょう。室内のうさぎのお気に入りスペースの近くなど、必ず目に入る場所に数日置いておきます。始めは興味を持ってにおいを嗅いだり、少しかじってしまったりするかもしれません。うさぎがチェックを終えて反応しなくなり、あるのが当たり前になるくらいまで置いておきましょう。
2.ハーネスから慣れさせる
次に、リードはつけずにハーネスだけをつけることに慣れてもらいます。ハーネスをつける前に商品の説明書で装着方法や使用上の注意をよく確認してください。できれば事前にぬいぐるみに着けてみて、装着の練習をしておくといいでしょう。
実際に装着するときは、うさぎを優しくしっかり抱き、なでながら、声をかけながら着けていきます。うさぎの体とハーネスの間に人指し指1本が入る程度に調整してください。暴れて着けられない場合は無理せず中止して、また日を改めてチャレンジしましょう。可能であれば翌日の同じ時間帯にするといいでしょう。
うまくいけば数回で慣れてくれますが、どのくらいで慣れるかはうさぎによって異なります。意外に嫌がることなくすぐに装着できることもありますが、多くの場合、うさぎは我慢しています。すべてのうさぎがわかりやすい拒否反応をするわけではありません。嫌がる様子が見られなくても、初めてつけたときは短時間で終わらせて、少しずつつけている時間を長くしていきましょう。
装着している間に好きなおやつをあげる、飼い主が一緒に遊ぶ、うさぎが喜ぶところをなでるなどして、「いいこと」と関連づけると慣れやすくなります。
3.リードをつけて屋内で練習する
ハーネスに慣れたら、いよいよリードをつけて歩く練習です。リードがついている状態に慣れるまで、数日は屋内を歩きます。うさぎが普段入らない部屋でも試して、知らない場所でどんな行動をとるか把握しておきましょう。
4.外に出る練習をする

最後はリードとハーネスをつけて外を歩く練習です。まずは庭や家の前から始めましょう。しばらくは近所への外出に留めて、徐々に外出の時間を長くします。うさぎが慣れて散策を楽しむようになれば、うさんぽデビューができます。
リードとハーネスを使うときの注意点
本来はうさぎの安全を守るためのリードとハーネスも、使い方を誤るとかえって危険なものになってしまいます。次のことに気をつけて使用してください。
・リードをつけたらうさぎから目を離さない
足や首にリードが絡まると骨折をするおそれも。リードをつけている間はうさぎから目を離さないようにしましょう。リードをどこかにつないだまま離れるのは絶対にNGです。
・子どもにリードを持たせない
リードはうさぎが一番慣れている飼い主が持ちましょう。小さな子どもに持たせると、お互いに予想外の動きをしてうさぎがケガをする危険があります。大人が見守っていても持たせないようにしてください。
・うさぎにあわせて動く
うさぎにとってリードとハーネスは飼い主から離れてしまうことを防ぐもので、しつけのための道具ではありません。うさんぽをするときは、うさぎに寄り添ってうさぎが動きたいように動くのが基本です。安全である限り、うさぎが行きたい場所に一緒に移動して、うさぎが走りたがったら一緒に走りましょう。逆にその場からいつまでも動かないようなときも、無理に動かすことはせず、一緒にそのまま留まってあげましょう。
・長時間つけたままにしない
慣れることはあっても、ハーネスをつけている状態はうさぎには多少のストレスがあります。必要なシーンで装着するだけにして、長時間つけたままにすることは避けてください。
・無理強いをしない
上でも説明したように、どんなに慣らす努力をしても絶対にハーネスをつけたがらないうさぎもいます。一向に慣れないうさぎに無理強いをするのはやめましょう。個体差が大きく、それによって飼い方が異なってくることもあるのがうさぎの特徴です。せっかく用意したのに……とがっかりするのもわかりますが、うさぎの個性を受け入れましょう。

まとめ
リードとハーネスはうさぎ自身を守るもの。でもそのために骨折したり、ストレスを与えたりしては本末転倒です。うさぎに対する使い方をよく理解して、ゆっくり慣れさせることから始めてください。うさんぽが好きになれば、ハーネス自体は嫌いでも、見せると喜ぶようになることもあるようです。一方で、どうしても装着を嫌がる子もいるものです。防災のためにも慣れてほしいところではありますが、飼い主のやりたいことを重視しすぎず、うさぎ自身の安全と楽しみを一番に考えて使用してください。