うさぎはそもそも何科に分類されるのでしょうか。うさぎならではの特徴やうさぎに近い仲間など、うさぎのことがもっとよく分かる分類について、知っておきましょう。

うさぎは何科の仲間?

うさぎはウサギ目ウサギ科の仲間になります。以前はネズミと同じげっ歯目に分類されていましたが、歯に違いがあることから独立しました。

ウサギ目は重歯目(じゅうしもく)とも呼ばれ、前歯が二重になっていることが特徴です。うさぎの上の前歯は2本に見えますが、実はその後ろに小さな歯が2本並んでいて、合計4本あるのです。
うさぎといえば長い耳のイメージですが、分類の決め手となっているのは歯でした。また、遺伝子解析の結果からもげっ歯目とは異なる系統であることがわかっています。ウサギ目が独立したことで、げっ歯目は現在「ネズミ目」とも呼ばれています。

ウサギ目は大きく2つに分けられる

ウサギ目はウサギ科とナキウサギ科の2つの科で構成されます。

ナキウサギ科はナキウサギ属の一属のみで、キタナキウサギ、アメリカナキウサギ、チベットナキウサギ、ヒマラヤナキウサギ、イリナキウサギなど30種ほどが属しています。うさぎの仲間ではありますが、耳はネズミのように短く、大きな声で鳴いてコミュニケーションをとることが特徴です。おもに岩場に住み、山岳地帯や寒冷地、ステップと呼ばれる乾いた草原に生息しています。

ウサギ科はさらに2つに分けられる

ウサギ科はさらに、ノウサギ類とアナウサギ類に分けられます。英語ではノウサギはhare、アナウサギはrabbitと呼び分けられています。日本ではこの2つを区別する習慣はありませんが、はっきりとした違いがあります。

アナウサギは穴を掘って地中にトンネルでつながった複雑な巣穴を作り、群れの仲間で共有して暮らします。赤ちゃんは目も耳も開いていない未熟な状態で生まれ、自分で歩けるようになるまで半月ほどかかります。
一方、ノウサギは草むらに簡単な巣を作る程度で、群れを作ることはありません。ノウサギの赤ちゃんは生まれたときから目が開いて全身が毛に包まれていて、生後間もないときから自力で歩くことができます。
体はノウサギの方が大柄で、耳も足も長めです。特に前足はノウサギの方が長く見えます。どちらも後足より前足の方が短いのですが、アナウサギは穴を掘りやすいように特に前足が短めになっているからです。

進化の順ではアナウサギ類の方が先に現れ、地中から陸上での生活に適応していった結果、ノウサギ類が誕生したと考えられています。今から約500万年前以降、気候変動の影響で世界的に草原が増えたと推測され、草原生活に強いうさぎが生存に有利になりました。現在もノウサギ類の仲間は、ウサギ目の中で最も繁栄し世界中に幅広く分布しています。
ノウサギ類は、ノウサギ属のみで構成され、30種ほどが属しています。ユキウサギやカンジキウサギもノウサギの仲間です。
アナウサギ類はさらに複数の属に分かれますが、一属一種から数種のものが多く、生息地はいずれも限定的です。アナウサギのほかに、アマミノクロウサギ、スマトラウサギ、ピグミーウサギ、メキシコウサギ、アカウサギ、ワタオウサギなど10種ほどの仲間が属しています。
アマミノクロウサギとアカウサギ、メキシコウサギはムカシウサギ(およそ4000万年前に現れ、絶滅したうさぎの仲間)と共通する原始的な形態を残しているのが特徴です。とくにアマミノクロウサギは、希少種として日本の特別天然記念物に指定され、生きた化石とも呼ばれています。

わたしたちが一緒に暮らすうさぎの祖先はアナウサギです。アナウサギはもともとスペイン、ポルトガルのイベリア半島を中心にフランスからアフリカ北西部にかけて生息していました。人に飼い慣らされたことで各国に広がり、本来の生息地ではない場所で野生化して外来種として問題になっているケースもあります。うさぎの品種として知られているネザーランドドワーフやホーランドロップ、レッキスなどは、すべてアナウサギを改良したものです。体の大きさも毛の長さも品種によって大きく違いますが、同じ種になります。

うさぎに近い仲間は?

うさぎの近縁の仲間は、以前同じ仲間に分類されていたげっ歯目とされています。近年の研究の結果によると、9200万年前ごろにいた「グレリス」という共通祖先から、うさぎ目とげっ歯目が8500万年前ごろに分かれていったのではないかと考えられています。げっ歯目にはネズミやハムスター、モルモット、リスのほか、ビーバーやヤマアラシなども含まれます。ウサギ目とげっ歯目をあわせてグリレス大目と呼びます。この仲間は生涯伸び続ける歯を持つことが特徴です。
グリレス大目と並ぶ分類に、、真主獣大目(しんしゅじゅうだいもく)があります。真主獣大目には霊長目・登木目・皮翼目の3つが含まれます。霊長目はサル目とも呼ばれ、ヒトもその仲間です。登木目はリスに似たツパイが、皮翼目はヒヨケザルが属しています。
グリレス大目と真主獣大目をあわせたグループは、真主齧上目(しんしゅげつじょうもく)と呼ばれます。このように分類を大きなくくりで見てみると、うさぎや小動物は、人間に比較的近い存在だと感じられますね。
ほ乳類の分類はまだ解明されていないことも多く、現代は分子系統解析も加わり、見直されている最中です。私たちとうさぎ、実はよく似ているのかもしれません。

まとめ

うさぎの分類について紹介しました。知れば知るほどうさぎの世界は奥深いものです。今後変わることもあるかもしれませんが、分類の中でのうさぎの位置づけを知ることで、うさぎへの理解をさらに深めていってくださいね。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。