健康なうさぎは基本的にお風呂に入る必要はありません。しかし高齢や病気などの理由で自分のケアができなくなったうさぎは、逆にお風呂できれいにしてあげることが必要になります。うさぎをお風呂に入れる方法やお風呂の代わりに洗う方法を紹介します。

うさぎをお風呂に入れるのはどんなとき?

健康なうさぎにとって、お風呂は必要がないどころかリスクを伴います。うさぎは天敵から逃げるなど緊急の場合をのぞき、水に入る習性がないので、お湯に入ることは少なからずストレスになります。最悪の場合、パニックを起こし、暴れて骨折することやショック状態になる危険があります。無事にお風呂で洗えても、そのあとにしっかりと乾かさなければ低体温や皮膚炎になる可能性があります。
ところが、高齢や肥満、病気、体の機能的な障害でうさぎが自分でお手入れをできなくなった場合は例外です。高齢のうさぎの場合、関節の痛みによって体をうまく曲げられなくなり、お尻を毛づくろいすることも、盲腸糞を直接食べることも難しくなります。するとお尻はうんちやおしっこで汚れてしまいます。常におしっこで濡れていると、皮膚に炎症が起こる尿焼けを起こします。またお尻にうんちがこびりついて固まると、うさぎが不快なだけでなく悪臭の原因にもなります。このように汚れてしまうときは、お風呂が必要になります。

ポイントを抑え、うさぎをよく観察しながらであれば、うさぎへ大きなストレスをかけることなく、お風呂に入れてあげることができます。上述のような背景があれば、お風呂は必要なことなので、怖がらずにチャレンジしてみましょう。

うさぎのお風呂の考え方

うさぎの耳や鼻にお湯が入ると、感染症にかかるリスクがあります。お風呂といっても全身をお湯につけるのではなく、汚れた部分だけをお湯に入れる部分浴にしましょう。うさぎの負担を考えて、一度で完璧にきれいにするのを目指さないこともポイントです。落ちきらなかった汚れも、日をあらためて何度か挑戦するうちにきれいになっていきます。うさぎの様子も見ながら、なるべく短時間で終わらせることを心がけましょう。

うさぎのお風呂の目的は、汚れたところをきれいにして皮膚を健康に保つこと。汚れがほんの一部で、ウエットティッシュや湿らせた綿棒、濡らしたコットンでぬぐうなどで対応できるなら、お風呂にこだわる必要はありません。下で紹介するように、部分的にお湯をかけて洗う方法もあります。うさぎの性格や汚れの状況にあわせて、なるべく負担をかけない方法を選択してあげましょう。すでに皮膚に炎症が起こっていたら、動物病院を受診して相談しながら、お風呂の頻度や方法を決めてください。ノミやダニがいる場合も独断で洗わず、動物病院を受診してください。

うさぎを洗う方法【1】部分浴をする

部分浴するうさぎ1

うさぎのお尻だけをお湯につけて洗う方法です。できれば2人で行い、1人がうさぎを支えて、もう1人がお尻を洗います。1人でやるときは片手でうさぎをしっかり保定してください。時間をかけずに終わらせるために、事前に必要なものをすべて用意してから始めましょう。

【用意するもの】

・お湯を入れる容器2つ(洗面器、洗い桶、洗濯桶など)
・ペット用シャンプー(薬用は避けて低刺激のものやうさぎ・小動物用を使用する。泡で出てくるタイプやお湯に溶かして洗うタイプが便利)
・タオル3枚(お湯の容器の底に敷くタオルはゴムマットなど滑らないもので代用しても)
・ペットシーツ 1~2枚
・ドライヤー
・ゴムブラシやトリミングコーム、ハサミ

【やり方】

1 容器にタオルをしいてお湯を張る
うさぎが足を滑らせて思わぬ事故につながらないように、たたんだタオルを容器の底に敷き、汚れた部分だけが浸る程度に浅くお湯をはります。お湯の温度は熱すぎてはいけませんが、洗っている間に冷めてしまうのもよくないので温かめにします。

2 うさぎを後ろ脚からお尻までお湯につける
うさぎの体をしっかり支えて、お尻をお湯につけます。お湯の中で毛をほぐし、こびりついたうんちをふやかします。この時点でかなり汚れが落ちます。

3 シャンプーで洗う

部分浴するうさぎ2

お湯で落ちる汚れを軽く落としたら、いったんお湯から上げてペット用シャンプーを手に取り、お尻を洗います。

4 すすぐ
再び2のお湯につけてシャンプーを落とします。このとき、こびりついていたうんちをやさしく取り除きます。

5 もう一度シャンプーする
排泄物で汚れていると一度では汚れが落ちきらないので、もう一度3と同じようにシャンプーで洗います。

6 きれいなお湯ですすぐ
もうひとつの容器にタオルを敷いてお湯を入れ、うさぎのお尻を入れてシャンプーをよくすすぎます。

7 タオルで拭く
うさぎをお湯からあげてペットシーツやタオルの上に寝かせ、タオルでしっかり拭きます。濡れた皮膚は傷つきやすいので、あまり擦らず押し当てるか軽くたたくように拭いてください。

8 ドライヤーで乾かす
タオルドライのあと、ペットシーツの上に寝かせます。指で毛をほぐしながらドライヤーの風をあててしっかり乾かします。
熱風が皮膚に直接当たると皮膚にダメージを与えるため、ドライヤーを当てる部分に自分の手を添え、熱くないかを常に気にしながら乾かします。嫌がるようであれば無理をせず少しずつ乾かしていってください。

9 ブラシで毛を整える
乾いたらブラシで毛並みを整え、抜けて絡まっていた毛を取り除きます。抜けかけている毛もなるべく取り除きます。フェルトのように固まってしまった毛は皮膚を切らないよう注意しながらハサミでカットしましょう。

うさぎを洗う方法【2】ドレッシングボトルで洗う

洗いたい場所をピンポイントで洗う方法です。シャワーで汚れを落としたいときもあると思いますが、音を怖がることや、水流がうさぎにとって強いことがあるのでおすすめできません。かわりにプラスチック製のドレッシングボトルを利用して洗っていきます。できれば2人で、1人が汚れた場所が見えやすい体勢でうさぎを支え、もう1人がお湯をかけながら洗いましょう。

【用意するもの】

・ドレッシングボトル(プラスチック製で側面を押すことで少量のお湯が出せるもの。汚れを落とすために必要な本数を用意する)
・汚れたお湯をためる容器(洗面器、荒い桶など。ペットシーツの上で行っても)
・ペットシーツ(ペットシーツの上で洗う場合は2枚以上)
・タオル 1枚
・ドライヤー
・ゴムブラシやトリミングコーム、ハサミ

【やり方】

1 ドレッシングボトルにお湯を入れる
熱すぎてはいけませんが、すぐに冷めないように温かめのお湯を入れます。

2 洗う場所でうさぎを保定する
汚れたお湯をためる容器(またはペットシーツ)の上で、うさぎの汚れた場所が見える姿勢でしっかり保定します。

3 汚れた箇所にお湯をかけて洗う
ドレッシングボトルをおして、汚れた箇所にお湯をかけて洗います。汚れがしつこい場合は指でやさしく擦ります。シャンプーを使用して、再びお湯をかけてすすいでも。

4 タオルで水気をよく拭き取る
【1】の7と同様に、タオルを押し当てるか軽くたたくようにして水気を拭きます。

5 ドライヤーで乾かす
【1】の8と同じ要領で、無理をせず少しずつ乾かします。濡れた範囲が少しでも体温の低下や皮膚病を防ぐためにしっかりと乾かしましょう。

6 ブラシで毛並みを整える
【1】の9と同様に、乾いたら毛並みを整えます。

乾燥のポイント

タオルに包まるうさぎ

うさぎは細い毛が密に生えているので、濡れた毛が固まってしまい、完全に乾かすには時間がかかります。洗う時間はうさぎの負担も考えて5分程度になりますが、乾燥には数十分かかります。時間に余裕をもってお風呂に入れましょう。吸水性の高いタオルを用意してしっかりタオルドライをすると乾燥時間を短縮できます。
ドライヤーはもっとも低温に設定し、うさぎが暑くならないように体から離して風をあててください。ドライヤーの音を怖がる場合は、耳にタオルをかけるなどして落ち着かせてあげましょう。お湯で洗ってさっぱりするからか、ドライヤーの間は意外にも快適そうな子もいます。自分で届く範囲で毛づくろいをすることもあれば、飼い主の手を舐めてくれることも。皮膚の状態や全身を観察しつつ、うさぎに声をかけたりマッサージをしたりしながらコミュニケーションをとり、楽しい時間にしていきましょう。

汚れにくい工夫でお風呂の回数を減らす

首を捻るうさぎ

うんちはこまめに掃除をし、お尻についたら拭いて取り除いておくことで、お風呂の回数を減らすことができます。またマイクロファイバーのモールがついたバスマットのうえで生活させるとおしっこが吸収されて尿焼けを防げます。

まとめ

うさぎのお風呂の入れ方を紹介しました。お風呂といっても、全身をお湯につけるのは厳禁。お尻が汚れてどうしても必要な場合に、汚れた部分だけを洗うようにしてください。また飼育環境や日常的なケア、お掃除を見直してなるべく汚れがたまらないようにすることで、お風呂の回数を減らし、うさぎと飼い主の負担を軽減しましょう。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。