草原にいるうさぎ

うさぎが出てくることわざ、いくつ知っていますか? 日頃からよく耳にする有名なことわざのほかにも、数多くのうさぎが登場することわざがあります。ここではうさぎ好き必見の、厳選したことわざをお届けします。

日本のうさぎにまつわることわざ10選

うさぎのことわざで有名なものといえば「二兎を追う者は一兎をも得ず」。

欲を出して同時に2つの成果を求めると、どちらも成功しないという意味です。これはもともと西洋のことわざで、それを翻訳して定着したものです。英語では‘If you run after two hares, you will catch neither.’または‘He that hunts two hares loses both. ’といいます(haresは英語で野ウサギのこと)。では、日本ではどんなうさぎにまつわることわざが生まれたのでしょうか。

うさぎの上り坂

物事がよい条件に恵まれ、早く進むこと。「とんとん拍子」と同じ意味です。うさぎは前足よりも後足が長いため、登り坂を走るのが得意なことに由来しています。ちなみにうさぎは坂をのぼるのに比べて下る方は苦手で、警戒しながら下りていくようです。

脱兎の勢い

逃げるうさぎのように素早いこと。とても速いことのたとえです。

うさぎと暮らしていると、テンションが上がったときに猛ダッシュをする様子がよくみられます。一方で、爪切りや抱っこなど、うさぎにとって嫌なことがあると分かると、まさに脱兎の勢いで部屋を駆け回ります。

うさぎのひり放し

仕事の後始末をつけないことのたとえのこと。

うさぎはうんちをしてもそのままで始末をしない、という生態にに由来します。確かにへやんぽ(お部屋でおさんぽをした)のあとには、そこかしこにコロコロとしたうんちが放たれていることがありますね。これは、習性なので仕方がないことです。ただ、盲腸便は食べているので、便の種類によってはちゃんと始末しているといえます。

ほかに「うさぎの糞」というものもあります。こちらはうさぎのうんちがコロコロと切れていることから、長続きしないことのたとえです。うさぎの飼い主にとっては、わが子のうんちはお腹の健康を知るための大切なバロメーター。たくさんしてくれる方がいいのですが、ことわざとしてはちょっと残念な意味になっていますね。

うさぎの耳

うさぎの耳

人の知らない事件やうわさなどをよく聞き出してくること。

またその人自身を指すこともあります。「地獄耳」と同じ意味です。確かにうさぎは耳がいいですね。人には聞こえない音もキャッチして、耳を立てることもあります。おやつの袋をあける音ももれなくキャッチする様子はまさに地獄耳かもしれません。

うさぎの逆立ち

もちろん、うさぎは逆立ちできません。でも、もし逆立ちをしたら…?長い耳が地面にこすれて痛そうですよね。ここから、耳が痛い、弱点をつかれて辛い、嫌味に聞こえて辛いという意味のことわざになりました。

うさぎに祭文(さいもん)

何の反応もなく、意味のないことのたとえ。祭文とは、祭りの際に神に捧げる祝詞(のりと)のこと。それをうさぎに聞かせても当然理解できないことから、「馬の耳に念仏」と同じ意味で使われます。理解はともかく、うさぎに突然聞いたこともない祝詞を聞かせたら、警戒してその場で固まるか、逃げていってしまいそうです。

うさぎの角、亀の毛

かわいいうさぎに角!? と驚いてしまいますが、まさに「ありえないこと」のたとえです。「兎角亀毛(とかくきもう)」「亀毛兎角(きもうとかく)」ともいいます。ほかに「亀毛蛇足(きもうだそく)」「烏白馬角(うはくばかく)」という言い方も。また根拠のないことに基づく無益な議論を「うさぎの角論(つのろん)」ともいいます。

日常的に使われる「とにかく」は漢字で「兎に角」と書きます。これは夏目漱石が当て字として使い始めて広がったものです。

うさぎの毛で突く

うさぎの画像

うさぎの毛は細く柔らかいことから、その毛で突いたほど軽微なこと、微差なことという意味。「兎(う)の毛で突いたほど」「兎の毛の先ほど」「兎の毛の末に置く露ほど」ともいいます。

うさぎの毛の1本1本は些細なものですが、それがまとまって大量に抜ける大換毛の時期には、そうも言っていられなさそうです。

うさぎの昼寝

油断をして思わぬ失敗を招くこと。昼寝ばかりしている人という意味も。うさぎと亀の寓話で、うさぎが昼寝をして負けてしまったことに由来します。うさぎと亀はイソップ寓話ですが、日本には室町時代に伝わったといわれています。

実際、うさぎは朝と夕方に活発に動き、夜と昼間に寝る習性があるので、うさぎにとって昼寝は当たり前のこと。うさぎが昼寝をしていても、起こさないであげましょう。

うさぎ、波を走る

月影が水面に映っている様子をたとえたもの。月の光が当たると波が白く輝き、うさぎが走っているように見えることからきています。うさぎは馬や象のように水に入ることがないことから、仏教で悟りの浅い段階にとどまっている人のたとえでもあります。

ちなみにうさぎは、お水が苦手。海はもちろん、お風呂にもいれないであげてくださいね。

出典:故事・俗信ことわざ大辞典(小学館)

世界のうさぎに関することわざ

世界各国にもうさぎに関することわざがあります。中国の「株を守りてうさぎを待つ(切り株を守りながらそれにうさぎがぶつかって捕まるのを待つように、偶然の幸運をあてにすることのたとえ)」、セネガルの「うさぎは走ることはできるが鞍(くら)を乗せることはできない(人の能力には限界があるという意味)」など、狩りに関するものや、うさぎが速く走ることを捉えたものが多く、うさぎの印象は世界で共通しているようです。

また「不思議の国のアリス」のキャラクター、「3月うさぎ」は‘Mad as a March hare’(3月のうさぎのようにとても興奮している、狂気じみている、気まぐれ、乱暴)ということわざにちなんで名づけられたもの。野生のうさぎは3月ごろに発情期を迎えることからこう言われています。映画などでも、冒頭で登場する時計を持った白うさぎに対して、キャラクターの3月うさぎは茶色で野性味あるうさぎに描かれていますね。

まとめ

うさぎに関することわざの中から、おもに日本に伝わるうさぎの生態に基づいたものを紹介しました。うさぎ好きとして、また飼い主として日常で使えそうなものがあったら、ぜひ使ってみてくださいね。

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ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。