うさぎのトレードマークでもある長い耳。「目は口ほどにものをいう」ということわざがありますが、うさぎの場合は「耳は口ほどにものをいう」かもしれません。うさぎの耳の感情表現について、耳の役割やケアとともにご紹介します。

うさぎの耳の役割は?

まずはうさぎの耳がどんな役割をしているのか知っておきましょう。

①危険がないかを察知するレーダー

うさぎは野生では広い草原で暮らしていたため、天敵が近づく音をすばやく察知して危険に気づけるように、耳はレーダーの役割を果たします。うさぎの大きな耳は音を集めやすい構造をしています。さらに左右の耳を別々の方向に向けることで360度すべての方向から音を聞くことができます。耳はそれぞれ約270度動かすことができ、同時に2つの音を監視することもできます。

②体温を調節する役割

うさぎは汗腺が発達していないので、暑いとき、汗をかいて体を冷やすことができません。かわりに耳に風を当てることで放熱し、体温を調節しています。うさぎの耳は薄く、よく見ると血管が透けて見えます。明るいところで見ると、中央に太い血管(動脈)が1本通っていて、そこから網の目のように毛細血管が広がっている様子もわかるかもしれません。耳に風があたると、この血管を通る血液が冷やされ、体温が上昇するのを防ぎます。うさぎが走っているとき、耳をたてて前に向けているのはこのためです。

室温が高く暑い場合に、あえて耳をたてて走ることや、頭を振って耳を揺らすことがあります。そんな様子が見られたら、熱中症の危険もあるので室温を調節しましょう。耳が熱いのは、そのとき体の熱を放熱していることも考えられますが、赤く見えるのは熱中症のサインかもしれません。急いで涼しいところに移動して濡れタオルで体を冷やしましょう。また、体調が悪いときに体温が低下して耳が冷たくなっていることがあります。元気や食欲がなかったり、おかしいなと思ったらすぐに動物病院に連れていきましょう。

③感情表現

耳が立っているうさぎ

うさぎの耳は約45度後ろに倒れているのが普通で、一番多く見られる状態といえるでしょう。この斜め後ろ45度のときと比べて、耳が立っているとき、倒れているときのうさぎの気持ちについてみていきましょう。

・耳がたっているとき

うさぎが耳をたてて前に向けているときは、前にあるものに興味を持っているときです。何が起こっているのか知るために、耳を前に傾けて一生懸命情報を集めています。

・耳が突然ピンッとたったとき

うさぎの耳が突然ピンッとたつのは、警戒しているとき。後足で立ち上がるのとセットになることもあります。聞き慣れない音がするとき、気になることがあるときに見られます。また、おやつがもらえる、飼い主さんが帰ってきた、といったうれしいシーンでも、耳がピンッとたつことがあります。

・耳が後ろに倒れているとき

うつ伏せになったり、座ったりして目を閉じて耳を後ろに倒しているのは、眠いとき&眠っているとき。耳は完全に倒れて頭にぴたりとついています。とてもリラックスしているので、そっとしておいてあげましょう。

一方で、耳を後ろに倒しているものの、ぴたりとはつかずに少し浮かせ、お尻を上げてしっぽもピンと立てているときは、攻撃的になっているとき。後ずさりをすることや体が震えていることもあります。威嚇のサインでもあり、突然前に飛び出して噛みついてくる可能性もあります。決してうさぎの前に手を出さないようにしてください。

うさぎはどれくらい耳がいい?

大きく耳を開くうさぎ

うさぎは聴力が優れているといいますが、実際どのくらい聞こえているのでしょうか。うさぎはかなり遠くの音まで聞くことができ、およそ3㎞先の音まで聞こえるといわれています。また、人間が聞くことができる周波数の幅が20~20,000ヘルツなのに対して、うさぎは360~42,000ヘルツの音を聞くことができます。低音域は人の方がよく聞こえますが、高音域に関しては、ずっと高い音まで聞くことができるのです。うさぎと一緒に暮らしていると、なにも音がしないのに、「ピクン」と耳が動くことがあります。きっと私たちには聞こえていない音をキャッチしているのでしょうね。

うさぎに耳のケアは必要?

では、うさぎの耳のケアは必要なのでしょうか。まず、たち耳のうさぎであれば、基本的には不要です。なぜなら、うさぎが自分で毛づくろいをして耳をきれいにできるため。ケアが必要になるのは、たれ耳のうさぎや、高齢や病気などの理由で自ら耳のお手入れができないうさぎです。ただし、家庭でのお手入れは耳の内側をイヤークリーナーを浸したコットンなどでやさしく拭く程度にとどめましょう。どうしても耳の穴の中の耳垢が気になるときは、動物病院で耳掃除をしてもらいましょう。うさぎの耳の穴はとても繊細なので、決して家庭で綿棒やイヤークリーナーなどを入れないようにしてください。

急に耳垢が増えてきたり、耳の中がにおうようになったりしたら、外耳炎や耳ダニの寄生など耳の病気の可能性があります。耳で気になることがあったら動物病院で診察を受けましょう。

まとめ

うさぎの耳は、さまざまな役割があると同時に、とても繊細な部分でもあります。うさぎの耳は慎重に扱い、つかんだり引っ張ったりすることは絶対にやめましょう。また、耳の動きや温度はうさぎの気持ちや健康状態を知る手がかりになります。日頃から耳の様子をよく見て、大切なうさぎのことを知るヒントにしてください。

監修獣医師

長岡哲矢

長岡哲矢

2006年日本大学獣医学科卒業。卒業後は千葉県の動物病院で小動物臨床に従事。犬猫以外のエキゾチックアニマルも幅広く診療を行う。 現在は新宿御苑前どうぶつ病院で診療にあたりながら、予防医療の啓蒙とエキゾチックアニマルに関する情報発信にも力を入れている。モットーはどうぶつに寄り添った治療と心のコミュニケーション。