ダニ、スギ花粉、食品など特定のものに免疫が過剰反応して起こるアレルギー。アレルギーを発症する人は増加傾向にあり、今や2人に1人がかかる国民病といわれています。そんな中、ペットに対するアレルギーも珍しくありません。うさぎを飼っていて飼い主にアレルギー症状が出たら、うさぎアレルギーではないかと不安になりますね。うさぎの健康には関係がないことでありますが、うさぎをお迎えすることを考えている方や、うさぎと暮らし始めたばかりの人のアレルギーについて正しく知っておきましょう。

うさぎを飼う人に起こるアレルギー

アレルギーは突然発症します。うさぎアレルギーは飼い始めてしばらくしてから発症することが多いもの。ですが、うさぎを飼っていて症状が出たからといって、うさぎアレルギーであるとは限りません。うさぎの主食であるチモシーはイネ科の牧草ですが、イネ科の植物の花粉で起こるアレルギーもあります。イネ科アレルギー、イネ科花粉症といわれます。

また通年のアレルギー性鼻炎の原因で多いのはダニアレルギー。室内の温度・湿度が一年中快適に保てるため、ダニの繁殖にも好都合な環境です。うさぎを飼っていると温度管理のために留守中も窓を閉め切ってエアコンをつけることが多くなります。うさぎの毛やちょっとしたフケなどもダニのエサになるので、うさぎを飼い始めてからダニアレルギーになることもありえます。また牧草に生えるカビのアレルギーになる可能性も指摘されています。

うさぎアレルギーの症状

うさぎアレルギーはうさぎの毛やフケなどに反応して起こります。主にくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった「アレルギー性鼻炎」と、目のかゆみ、充血などの「アレルギー性結膜炎」の症状が見られます。うさぎがいる部屋に入っただけでこれらの症状が出ることもあります。人によってはせきや喘息といった呼吸器症状が出ることや、湿疹や蕁麻疹(じんましん

)があらわれることも。じんましんの一種としてまぶたや唇が腫れることもあります。

うさぎアレルギーかな?と思ったら

もしかしてうさぎアレルギーかも、と思ったらまずは病院で検査を受け、アレルギーの原因を確かめるのがおすすめ。医師にうさぎを飼っていることを伝えましょう。

ダニやハウスダスト、カビ、イネ科の植物へのアレルギーなども検査しておくと安心です。イネ科の植物は種類別にいくつか項目がありますが「オオアワガエリ」がチモシーの別名です。

うさぎアレルギーが確定したらどうしたらいい?

アレルギー対策はアレルゲンを遠ざけることが基本です。検査でうさぎアレルギーが確定した場合、医師からうさぎを手放すよう勧められることもあります。

アレルギーは時に命に関わることもあるもの。

安易に飼育を続けることは勧められませんが、すでに飼っているうさぎと別れることも辛いものです。手放すのか、工夫して飼い続けるのかを考えましょう。

うさぎを飼っている人の中には、アレルギーがあっても飼い続けるという人もいます。ですが、アレルギーの症状には個人差があるため適切な判断が必要です。検査結果でレベルの高い数値が出ても、症状が出ることが少なく、あまり辛さを感じない人もいれば、低い数値でも症状の出方がひどく辛く感じる人もいます。数値やほかの家庭に惑わされず、アレルギーの症状やうさぎの年齢、飼育環境から総合的に考えて判断しましょう。

飼い主とうさぎ、双方の幸せを考えて離れる決断をしても、それは非難されることではありません。その場合は信頼できる里親を見つけることで責任を果たしてください。飼い続けることを決めた場合、ペット飼育に理解があり、寄り添って対処してくれる医師を見つけることも大切です。鼻の症状が強い場合は耳鼻咽喉科、目の症状が強い場合は眼科を受診するという選択もあります。

家庭でできるうさぎアレルギー対策

アレルギー対策としてできることは、できるだけアレルゲンに接触しないことと、薬で症状を抑えることの2つ。アレルゲンとの接触を最小限にする工夫をして、必要に応じて薬にも頼りながら生活していくことになります。

うさぎと別室で暮らすことも対策になりますが、うさぎはリビングで飼っていることが多く、温度管理が必要なので難しいことも多いでしょう。その場合、せめて寝室にはうさぎを入れないようにしましょう。それも難しければ、寝具の側には近づけない、寝る場所とうさぎのケージがある場所をパーテーションで仕切るなどの工夫を。また寝具は布団よりもベッドを選択しましょう。空中にまっているうさぎの毛やフケは、人の動きが少なくなった夜間に床に落ちていきます。そのため布団よりベッドの方が夜間の吸入を抑えられます。

こまめに部屋を掃除することも重要です。うさぎのケージもこまめに掃除したくなりますが、かえってアレルゲンが空中にまってしまう可能性も。うさぎのケージはほどほどに、人が過ごす場所を丁寧に掃除しましょう。換気もまめに行ってください。空気清浄機を使うのもいいでしょう。

また、うさぎのお世話は、できればアレルギーがない家族にお願いしましょう。それが難しければ、マスク、ビニール手袋、花粉対策仕様の眼鏡などをつけて行います。換毛期にはこまめにお手入れをして毛があまり飛び散らないようにしてください。グルーミンググローブでも直接触らずにお手入れができます。

なお、アレルギーの治療のひとつに「慣れる」ということがあります。これはスギ花粉やダニアレルギーの投薬による減感作療法、食物アレルギーで少しずつ食べる食事療法を医師の指導の下に行うものです。自己判断で慣れようとすることや、科学的に根拠のない方法で治そうとするのはやめましょう。かえって症状が重くなる可能性もあります。

牧草アレルギーの対策

牧草を食べるうさぎ

牧草アレルギーもうさぎアレルギーと同じで、主にアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の症状が出ます。目の症状が強いことが多いようです。

チモシーなどイネ科の牧草はうさぎの主食として欠かせないものです。栄養価が異なるのでマメ科の牧草に変更することはできません。牧草を扱うときはビニール手袋、マスク、花粉対策仕様の眼鏡をつけてできるだけ触れないようにしましょう。また牧草があまり散らからないような容器に入れましょう。食べ残した牧草はこまめに片付け、室内もよく掃除してください。

イネ科の牧草は明治時代に日本に導入されて以降、種が飛び、日本各地で雑草として自生しています。そして春から秋にかけて花粉が飛ぶピークを迎えます。この時期は草むらに近づかないようにしましょう。イネ科の花粉は樹木の花粉のように風にのって遠くまで飛ぶことはありません。それでも外出先でも症状が出るなら、スギ花粉などほかの花粉症と同様に対策をしましょう。

まとめ

うさぎを飼っている人が発症する可能性があるうさぎアレルギー、牧草アレルギーの対策を紹介しました。アレルギーは発症してから症状がひどくなる時期・症状が軽くなっていく時期・ほとんど症状が出なくなる時期・再発を不定期に繰り返すこともあります。うさぎと暮らすうちにアレルギーの症状が治まってきても、克服できたと油断せず、再発に備えて対策を続けてください。

そして、どうしてもうさぎと暮らすのが難しいということになった場合には、うさぎにとって一番幸せな選択をするようにしてください。

監修獣医師

長岡哲矢

長岡哲矢

2006年日本大学獣医学科卒業。卒業後は千葉県の動物病院で小動物臨床に従事。犬猫以外のエキゾチックアニマルも幅広く診療を行う。 現在は新宿御苑前どうぶつ病院で診療にあたりながら、予防医療の啓蒙とエキゾチックアニマルに関する情報発信にも力を入れている。モットーはどうぶつに寄り添った治療と心のコミュニケーション。