ピンっと伸びた長いヒゲ。先が少し弧を描いているやさしげなヒゲ。猫によっていろいろな形をしている猫のヒゲですが、実はさまざまな役割を担っていることをご存じでしょうか。ここでは猫のヒゲの役割についてご紹介します。

猫のヒゲの役割

猫の体型が違ったり毛色が異なったりしていても、その顔にはツンツンと自己主張しているヒゲがあります。どんな猫にとってもヒゲは重要なパーツのひとつ。猫のヒゲは「触毛」(しょくもう)とも呼ばれ、根本にはたくさんの知覚神経が通っているので、猫にとってなくてはならない存在なのです。

通れるかどうか判断

狭いところを通ろうとするとき、自分の体がそこを通れるかどうかヒゲでチェックしています。毛根のまわりにあるたくさんの知覚神経が、ヒゲの当たり具合によって通過可能かどうかを判断しているのです。

暗い場所でも歩ける

ヒゲが空気の流れや周りの情報を収集して障害物がどこにあるかをキャッチ。暗い場所でも物にぶつかることなく、スムーズに歩くことができます。

獲物を捕らえる

猫のヒゲは温度や風向きも察知できるセンサー。微妙な空気の振動も捉えることができるので、獲物の動きも感じ取れるというわけです。

眼を守る

猫のヒゲは「反射弓」(はんしゃきゅう)という神経でまぶたとつながっているので、ヒゲが刺激を受けると、脳を介さずまぶたに伝わります。そのため、素早くまぶたを閉じることができます。顔に何かが近づいてきたときにヒゲが察知して眼を守る役割を果たしているのです。

猫のヒゲは口もとだけでなく顔のいたるところにある

猫のヒゲは口もとから生えている毛だけではありません。目の上や頬からも生えていて、その数は約60本といわれています。

猫のヒゲの種類

・眉上毛:目の上に生えている毛。

・頬骨毛:頬のあたりから生えている毛。

・上唇毛:口周りに生えている毛。一般的に猫のヒゲといわれている毛。

・口角毛:上唇毛の上に生えている短い毛。

・下唇毛:顎の下に生えている毛。

顔回りにこれだけのセンサーがついているのですから、バランス感覚バツグンの動作を見せてくれるのも納得できますね。

ところで、前足の親指の上あたりに、被毛とは異なる太さの毛が生えていますが、これもヒゲ(触毛)の一種です。机の上に置いてある、今にも倒しそうなものを上手に避けて歩けるのも、この「足のヒゲ」のおかげなのかもしれません。

猫のヒゲは切ってはいけない!

犬はトリミングサロンで顔回りをきれいにしてもらう際に、ヒゲも整えることがありますが、猫はどうでしょう。これまでご紹介してきたように、猫のヒゲは大切なセンサー。切ってしまうと日常生活に支障をきたすこともあります。バランス感覚を失って歩けなくなるかもしれないのです。猫のヒゲは絶対に切らないようにしましょう。

感情を読み取れる?

猫のヒゲは、猫の感情によって形状が変化するので、感情を読み解く一助にもなります。

猫のヒゲと猫の感情

・両側のヒゲが頬に沿うようにピッタリくっついている:警戒していたり、恐怖を感じている

・ダランと下に垂れている:リラックスしている、退屈、眠いとき

・全体に広がり気味で前にグッと出ている:興奮している、遊んでいるとき

じゃらしで遊んでいるときは、獲物を捕らえたい高揚感で、ヒゲがパッと広がり先端が前に出ています。

さいごに

猫ヒゲが重要な役割を担っていることをご紹介してきました。「こんな機能があったんだ」と驚いた方もいるのでは?たかがヒゲ、されどヒゲ。猫にとってはかけがえのない「相棒」ともいえるヒゲを、愛猫の命同様、大切に扱ってあげるのが飼い主の務めといえるでしょう。

ヒゲ以外にも猫には大事な役割を担っている部位がいくつもあります。そんな愛すべき部位についての記事もぜひご一読ください。

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ライター

猫百科編集部

猫百科編集部

獣医師を含む猫の飼い主歴10年以上の編集者が集い、毎日、猫の「あるある話」に花を咲かせ、情報交換している。編集部員の面々は、猫との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。