野原にひとりぼっちでいる子猫

東京都内だけでも約12万頭いると推定される野良猫。 街のさまざまなところで見かける猫ですが、その中にはもともと飼い猫だったのに、心ない飼い主によって捨てられてしまったというケースもあります。今回は、そんな捨て猫について、拾った場合の対処法について解説します。

※参考資料:東京都における犬及び猫の 飼育実態調査の概要 (平成29年度)p31

まず、迷い猫ではないか確かめる

段ボール箱に入っている子猫

犬には係留義務があるため、街の中をひとりで歩いている場合、迷い犬や捨て犬である可能性が高いです。一方で猫の場合、自由に家の中と外を行き来する猫や外で暮らす野良猫もいるので、外で彷徨っている理由がすぐにはわかりません。捨て猫だと思って保護する前に、迷い猫でないか、ボランティアの保護団体がお世話をしている猫ではないかなどを確認する必要があります。

猫を保護して、飼い主がいることを知らずに飼ってしまうと、所有権の侵害にあたる可能性があり、民法上は所有権侵害に基づく返還要求をされるだけでなく、損害賠償を求められることもあります。さらに、飼い主がいると知りながら自分の猫として飼ってしまうと、刑法の窃盗罪や占有離脱物横領罪に問われてしまう可能性もあります。所属のわからない猫の身元を明確にしないまま飼い始めてしまうと思わぬトラブルに発展することがあるので、注意しましょう。

見分け方として、猫を最初に目撃した際、たとえば箱の中に入れられている状態だったり、紐やリードで繋がれている状態であれば、動物遺棄である可能性が高いといえます。帰巣本能で家に帰ってこないようにと、あえて歩き回れないようにしたと考えられるためです。犬とは異なり人に慣れているかどうかなどはあまり判断基準にならないので、状況から冷静に、その猫がこの場所にいる経緯を考えてみましょう。

首輪はしていない?捜索ポスターなどは?

首輪だけでは判断できませんが、首輪に迷子札などがついていれば捨て猫である可能性は低いでしょう。また、捜索ポスターやインターネット上に公開されている迷子情報も確認してみてください。

母猫がそばにいないか確認

生まれたての子猫は手のひらよりも小さく、目も開いていません。自分で歩くこともままならず、誰かにお世話をしてもらわなければ成長できません。もし、見かけた子猫がある程度まで成長していれば、ごはんをあげたり危険から身を守る存在がいるということです。近くに母猫がいないかどうか、確認してみてください。すぐに見つからなくても、人間を恐れて見えない場所から見守っている可能性もあります。子猫から距離を置き、離れた場所で待ってみると母猫が姿を現すかもしれません。

動物病院に連れて行って健康状態を確認する

獣医師に抱かれる子猫

捨て猫である可能性が高く、保護できる場合は、動物病院へ連れて行きましょう。ずっと家の中で暮らしてきた猫が突然捨てられてしまった場合、食料を見つけてきちんと食べられている可能性は低いです。栄養失調になっていたり、食べると危険なものを口にしてしまい、中毒症状になっているケースや、感染症を患っていることもあります。まずは獣医さんに健康状態を確認してもらってください。子猫の場合はワクチン接種が必要なこともあります。

感染症になっていないか調べてもらう

もともと飼い猫だった猫が不衛生な場所に捨てられ、栄養状態も悪い状態で生活することを強いられた場合に心配なのが、感染症です。感染症の中には、皮膚病など見てすぐにわかりやすい症状を発症していることもあれば、時間をかけてゆっくりと進行していくタイプなどもあります。すぐに症状が現れない感染症は、検査をしないと感染しているかどうかわかりません。一見元気な猫に見えても、検査は必要です。

その猫の健康状態を改善する目的はもちろんですが、すでに猫を飼っている家庭で感染症を患った猫を飼い始めると、先住猫に病気がうつってしまうこともあります。捨て猫を動物病院へ連れて行った際には、病院側から提案されることがほとんどかと思いますが、まずは各種感染症の検査を行ってください。

子猫の場合はまずは「保温」!

毛布にくるまれる子猫

子猫は体温調節機能がまだ発達しきっていないため、寒さに弱いです。猫は暑い地域にルーツを持つこともあり、成猫であっても寒いのが苦手な生き物ですが、子猫の場合はそれがとくに顕著です。人間の感覚からすると暑いと感じるかもしれませんが、30度くらいの気温が子猫にとって最適な温度です。部屋全体をその環境にする必要はないので、箱の中に湯たんぽやカイロ、温かいと感じる程度のお湯を入れたペットボトルなどを置いて、上から毛布などを重ねた居心地のいい場所を作ってあげてください。ペット専用のホットカーペットなどを利用するのもよいでしょう。

保護したものの、飼えない場合は?

猫の身を守りたいと思って保護したものの、家の契約や家族のアレルギーの都合、先住猫などとの相性が理由で、どうしてもその捨て猫を自分で飼うのが難しいといったケースも少なくありません。その場合でも、その猫の身の安全を確保できるまで、里親を探すといったお世話をしてあげてください。

里親探し

命を預かることには大きな責任が伴うので、なかなか簡単には見つからないかもしれません。根気のいる作業ではありますが、いくつかの連絡先に問い合わせてみましょう。
・友人、知人で里親になってくれる人がいないか探してみる
まずは身近なところで、友人や知人で猫が好きな人、飼いたいと言っていた人、すでに猫を飼っている人などをあたってみるのはひとつの方法です。

・動物愛護センターや警察に相談してみる
捨て猫の可能性が高い場合は、動物愛護センターへの収容対象になります。行政機関では、一定期間里親が見つからないと、殺処分の対象になる自治体もあります。その機関に捨て猫を預けると後日どんなことが起きる可能性があるのか、事前に調べるのがおすすめです。

・里親探しをしている団体に相談してみる
里親を探しているボランティア団体もたくさんあります。こういった団体の方々は慣れているだけでなく、本当の家族が見つかるまで一般家庭でお世話をする一時預かりボランティアさんなどを登録していることもあるため、相談してみると何か有益なアドバイスをもらえるかもしれません。ただし、ボランティア団体の規模や安全体制はさまざまです。ネットでリサーチをして、しっかりとした実績のある信頼できる団体さんへ相談するのがおすすめです。

また、動物病院で受けた検査結果やワクチン接種の証明などは、里親探しの際にも必要になってくる大切な情報です。なくさないようにしっかり保管しておきましょう。

動物愛護管理法について

昭和48年に「動物の愛護及び管理に関する法律」という法律が制定されています。動物虐待や動物遺棄は犯罪となることが記されている法律です。数回行われた法の厳罰化によって現在(2021年5月時点)は、動物遺棄した者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることが定められています。「捨て猫」と聞くと耳馴染みがそこまで悪くないため重く受け止めない人が多い印象ですが、猫を捨てる行為は「動物遺棄」という立派な犯罪であることに留意しましょう。

実際に捨て猫と出会ったエピソードを紹介!

実際に捨て猫と出会い、家族となったエピソードを紹介します。

海に捨てられた子猫の3兄弟

愛犬を連れて海へお出かけにいった際、駐車場に車を停めたときに目に入った子猫。「え!子猫?大丈夫かな?」と、みんなで駆け寄ったところ、やっぱり子猫でした。しかも3頭も! 周りには何もないし、母猫も見当たりませんでした。生まれたてではなさそうですが、みんな小さく痩せていて、目ヤニがひどくもはや目が開いていない子もいました。

どんな経緯で、どのくらいの期間この子たちがここにいたのかは何もわかりませんでした。ただ助けてあげたいという思いと、飼い主が見つからなければ自分たちの家に迎えることも覚悟の上で、保護することを決意しました。

犬に発見された子猫たち

▲出会いの瞬間。まるで、わが家の犬に「助けて」と言っているようでした

まずは動物病院の先生に電話をして、今、子猫たちにすべきことを教えてもらいました。とにかく温めるように言われたので、病院に連れていくまではタオルにくるんであげるようにしました。

熟睡する子猫たち

▲外の世界によっぽど疲れていたのか車に乗せるとすぐに眠る子猫たち

動物病院では、ひとりずつ身体検査と虫下しの薬をもらいました。結膜炎がひどく、少し風邪気味だったのでお薬を出してもらいました。

先生によると、この子たちは生後8週くらいだろうとのことでした。ここまで成長できているということは、生粋の野良猫子猫ではなく、どこかで飼われていた可能性が高そうということでした。でも、この子たちに関する届出などを警察で確認することはできませんでした。

ごはんをモリモリ食べる子猫

▲病院ではごはんもモリモリ食べました!

家に連れて帰ってきてからは、子猫3頭のお世話になんだか忙しい日々でした。ごはんをふやかして、お薬を混ぜて、目薬と点鼻薬をさして、目ヤニをふいてあげて・・・やることがたくさんありましたが、少しずつ綺麗になっていく3頭に喜びを感じました。

ごはんを食べる子猫

▲みんなごはんをよく食べ、お薬もがんばりました!

冒頭でお話したように、この子たちの実際のところはよくわかりません。ただ、大変な辛い思いをしたことは確かです。これからの人生は、家の子の幸せを存分に味わってもらいたいと思い、私たちは家族になりました。

ハンモックで寝る子猫たち

▲家族に仲間入りしました!

この出会いも運命と思い、大切にしています。ですが、この子たちのような境遇の子がいなくなることが心からの願いです。

実際に捨て猫に出会うと、いざ何をすべきか戸惑います。そのときの状況によっても、対応方法は変わってくるはずですが、動物病院の先生など身近な信頼できる人に頼ることが大切だと思います。

まとめ

日本では、毎日3万頭弱※の猫が殺処分されています。動物愛護法の改正で猫を遺棄することへの罰則が厳しくなったものの、まだまだたくさんの猫が、無責任な飼い主によって不幸になっています。今回は捨て猫を保護した際の対応について解説しましたが、そもそも捨て猫を減らすための課題もたくさんあります。少しでも多くの猫が幸せな暮らしを営めるようになるために、私たちは今後も取り組んでいきたいと思います。

※参考資料:犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(動物愛護管理行政事務提要より作成)

猫ちゃんの保険ならアニコム損保におまかせ

【どうぶつの病気に関するデータを公開】

みんなのどうぶつ病気大百科
アニコム損保が保有する世界最大規模の診療データをもとに、品種別・年齢別・性別のかかりやすい病気や、診療費の目安、平均通院回数などの統計データを調べることができるサイトです。犬・猫だけでなく、鳥・うさぎ・フェレットのデータも公開しています(※)。

(※)鳥・うさぎ・フェレットは年齢別・性別のみ検索可能

ライター

猫百科編集部

猫百科編集部

猫の飼い主歴10年以上の編集者が集い、毎日、猫の「あるある話」に花を咲かせ、情報交換している。編集部員の面々は、猫との暮らしがより健やかに、よりハッピーになるよう正確な情報をお届けするため、自己研磨の毎日である。