かわらいらしい姿からは想像し難いですが、実はうさぎはよくケンカをします。一体なぜケンカをするのか、その理由とケンカが始まったときの対処について解説します。

うさぎがケンカをする理由

うさぎがケンカをする理由はさまざまです。初対面同士はもちろん、それまで仲良く暮らしていた仲間同士でもケンカは起こります。

はじめて会ったうさぎで起こるケンカ

はじめて対面したうさぎでは、縄張り争いや順位争いが起こることがあります。噛みついたり、追いかけまわしたり、相手が嫌がっても背中に乗ってマウンティングをしたりと、見るからに激しいケンカになる場合があります。

慣れたうさぎ同士で起こるケンカ

一緒に暮らす慣れたうさぎ同士であっても、次のような理由でそれまでの関係性が崩れた場合や、ストレスが高まったときにケンカをします。

・子うさぎだったうさぎが性成熟を迎えたとき

・加齢による衰え(強かったうさぎが衰えることで関係性が変化したとき)

・一方のうさぎの病気(強かったうさぎが弱ることで、力関係が変化したとき)

・新しい仲間が加わったとき(全体の関係性が崩れてケンカが起こることがある)

・飼育場所を移動したとき(環境の変化で関係性も変化して起こる)

・退屈でストレスを抱えている(おもちゃや隠れる場所が少ないなど刺激が足りない)

・飼育スペースがせまい(飼育スペースに対してうさぎの数が多すぎる)

・食べ物の取り合い(食料が少ないときに起こる)

一見うさぎが仲良くしているように見えても、ちょっとしたことでケンカになる場合もあるのでしっかり観察する必要があります。ストレスが原因であれば、その原因を解決すればケンカも落ち着きますが、うさぎの関係性が変化した場合、弱い方が一方的にやられたり、何度も繰り返したりするようなら、うさぎ同士を離すしかありません。

性別ごとのケンカの理由

次に、うさぎの性別ごとのケンカの理由や特徴を紹介します。

男の子同士のケンカ

男の子は縄張り意識が高いため、自分の縄張りに別の男の子が入ってくると激怒してケンカになります。特に去勢手術をしていない男の子同士のケンカは激しい傾向があり、死闘のようになることもあるほどです。男の子の縄張りの中に別の男の子を入れることは絶対にやめましょう。ホルモンの関係で苛立ってケンカをすることや序列を争うこともあります。

女の子同士のケンカ

女の子同士では縄張りを争うことはまれです。女の子のうさぎは、縄張りにほかのうさぎがいても気にしないことがほとんどです。女の子同士のケンカで考えられるのは順位争いです。野生のうさぎには順位があり、高い順位のうさぎほど巣穴の良い場所を寝部屋や出産場所に選べます。ペットのうさぎの女の子同士も、お互いの順位をはっきりさせたくて争うことがありますが、男の子ほど激しいケンカになることはほとんどありません。

男の子と女の子のケンカ

女の子が交尾に応じるつもりがないときには異性同士でもケンカになります。この場合はひどい争いになることはなく、大きなケガをすることもありません。そのほか、飼育環境によるものや食べ物を巡る争いなどは性別を問わず起こります。

うさぎがケンカをしてしまったら

うさぎ同士でケンカが始まったら、すぐに次のように対処してください。

1、ケンカ相手から離す

ケンカが起こったら、なるべく早くうさぎ同士を引き離します。大きな音をたてると、びっくりしてケンカをやめることがあります。引き離すときは手をタオルで覆うなどして、飼い主自身が噛まれたり、引っ掻かれたりしないよう注意してください。また、引き離す際に興奮したうさぎが暴れて、落下やケガ、骨折が発生する恐れもあります。冷静に、落ち着いて対処しましょう。

2、ケガがないかチェックする

うさぎをそれぞれ安全な場所に移動したら、ケガをしていないか確認します。毛に隠れてケガが見つかりにくい場合もあるので、掻き分けて全身をよく見ましょう。特にケガをしやすいのは脚やお尻、顔まわり、顎、目、耳です。歩き方もおかしくなっていないか確認してください。歩行に異常が出た場合や、出血がひどい・噛み切られたなど、ケガをしている場合は動物病院を受診してください。

3、うさぎを分けて飼育する

完全に飼育スペースを分離して飼育します。へやんぽのスペースが足りなければ時間を分けて、うさぎ同士が接触しないようにしてください。軽いケンカであっても続くようであれば離して飼育しましょう。

うさぎはケンカをするから多頭飼いをしない方がいい?

答えは「しない方がいい」です。うさぎの多頭飼育で最も問題になるのがケンカです。

うさぎは単独で飼育していても、飼い主が家族になって側にいれば、長く元気に生きることができます。「1頭でいるのは寂しいかも」という理由で多頭飼育をするのはおすすめできません。

それ以外の理由でどうしても多頭飼育が必要な場合、大きさや年齢が大きく異なるうさぎは一緒にしないようにしましょう。新しくお迎えしたうさぎは、そのまま先住うさぎの縄張りで対面させてはいけません。まずはどちらのうさぎにとっても縄張りでない場所で会わせて慣らしていきます。ただ、見知らぬうさぎ同士を問題なく一緒にできるのは性成熟を迎える前までで、大人になってから対面するとほぼケンカに発展するといわれています。

仲良くなる過程でケンカが起こり、やがて落ち着いていくケースもあります。落ち着いたように見えても、再び別の理由でケンカが起こることもあります。ケージは必ずうさぎごとに用意して、同じ場所で遊ばせるときには注意して見守るようにしましょう。

まとめ

うさぎは臆病なイメージがありますが、うさぎ同士ではその限りではありません。ケンカをしやすく、ひどいケガをするまで闘うことさえあります。1頭で飼っていても、外出してラビットランなどでほかのうさぎと対面する機会もあるでしょう。どんな場合でも「うさぎのケンカはよくあること」を念頭に、慎重に対面させてくださいね。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。