
うさぎの精巣腫瘍は、精巣が腫瘍(ガン)になり、片側もしくは両方腫れる病気です。
去勢していないうさぎで発症する可能性があるため、男の子のうさぎを迎えた場合には知っておきたい病気のひとつです。
今回は、うさぎの精巣腫瘍について、症状や原因、治療法や予防法を紹介します。
うさぎの精巣腫瘍ってどんな病気?
精巣は陰嚢(いんのう)という袋の中に入っている細長い臓器で、左右1対存在します。もともとはお腹の中にあり、生後3ヶ月ごろから陰嚢に降りてきます。 精子をつくる働きのほかに、ホルモンを分泌する内分泌器官の働きもあります。
うさぎの精巣腫瘍は、精巣が腫瘍(ガン)になる病気です。去勢していない5歳以上のうさぎで多く発症します。 腫瘍の種類として、精上皮腫、間質細胞腫、セルトリ細胞腫の発生が報告されています。
うさぎの精巣腫瘍はどんな症状が出る?
精巣の片方(まれに両方)が大きく腫れます。片側のみ腫れている場合、もう片側は委縮して小さくなっていることがあります。 痛みは特になく、食欲や元気も通常通りのケースが多いです。
大きくなり、床に接するようになると、排泄物で汚れることなどで皮膚に細菌が増殖し、湿性皮膚炎になる場合があります。湿性皮膚炎になると、皮膚の赤み、脱毛、ただれ、ジュクジュクした分泌物が出るといった症状が見られます。
うさぎの精巣腫瘍の原因は?

うさぎの精巣腫瘍が発生する原因はまだはっきり解明されていません。
停留精巣(生後3ヶ月経過していても、精巣が陰嚢内に降りてきていない状態)の場合、精巣腫瘍になる可能性が高くなるといわれています。
陰嚢に比べてお腹の中や鼠径部は温度が高いため、腫瘍化するといわれています。
うさぎの精巣腫瘍に関連する病気はある?
精巣が腫れる病気として気を付けるべきものに、精巣炎があります。 精巣炎は、精巣に細菌が感染することで起こる病気です。
体の別の場所で感染した細菌が血流によって精巣に運ばれるか、精巣自体が傷つくことによって精巣に細菌が感染、増殖します。そうすると炎症を起こし、腫れや痛みが認められるようになります。
治療は抗生剤を服用しますが、精巣腫瘍と区別が難しい場合には精巣を摘出する手術を行い、とった精巣を病理検査して診断します。
うさぎの精巣腫瘍はどんな治療をするの?
精巣腫瘍の治療は、去勢手術になります。去勢手術とは、左右の精巣を外科的に摘出することです。腫大していない方の精巣も組織的には異常が見られることが多いため、両方の精巣を取る必要があります。
摘出した精巣は、病理検査に出して精巣炎など他の病気との鑑別や腫瘍の種類の確認をします。
うさぎの精巣腫瘍の予防法は?

精巣腫瘍や精巣炎などの病気の発生を防ぐために、若くて健康なうちに去勢手術を受けることが予防につながります。
手術に適した時期は、生後6~12ヶ月です。早すぎると精巣が陰嚢に降りていない可能性や、尿道の成長が悪くなることでのちのち尿道閉塞になるリスクがあります。
手術が遅くなると、高齢になるほど内臓が弱ってきたりすることで麻酔のリスクが高くなります。
去勢手術を受けていない場合には、定期的に精巣をチェックし、左右で大きさや硬さに差がないか確認するようにしましょう。精巣腫瘍は痛みを伴わないことが多いため、飼い主さんが早く精巣の異常に気づくことが早期発見につながります。
まとめ
精巣腫瘍や精巣炎といった精巣の病気は、5歳を超えてから発症することが多いため注意が必要です。
予防的に去勢手術を行うことで発症を抑えられますが、手術にはメリットとデメリットがあるため、病院でよく相談するようにしましょう。
