うさぎの体をさわっていて、皮膚にしこりを見つけた場合には、皮下腫瘍の可能性があります。

皮下腫瘍にはさまざまな種類があり、腫瘍によって進行度が異なります。 悪性腫瘍の場合、早期発見、早期治療が重要になります。 今回は、うさぎの皮下腫瘍について、原因や症状、治療法や予防法を解説します。

うさぎの皮下腫瘍ってどんな病気?

多くの細胞は入れ替わるために計画的に増えたり、なくなったりしますが、腫瘍とは、この計画性を無視して細胞が異常に増えてしまっている病気です。

無秩序に細胞がどんどん増殖し、周りの正常な細胞を押しのけるように広がったり(浸潤:しんじゅんといいます)、血液やリンパ管を通ってほかの臓器に広がったりして(転移といいます)、うさぎに悪影響を及ぼすものを悪性腫瘍(がん)、増殖の速さが比較的緩やかで、まわりにもあまり悪影響をおよぼさないものを良性腫瘍と分類します。

皮下腫瘍は、体の表面をおおっている皮膚表面のすぐ下(皮下)にできる腫瘍のことです。

うさぎでは、良性腫瘍として毛芽腫(もうがしゅ)、脂肪腫、乳頭腫など、悪性腫瘍として扁平上皮癌( へんぺいじょうひがん)、リンパ腫などが見られます。

うさぎの皮下腫瘍はどんな症状が出る?

うさぎの写真

体表にしこりやできものができていることに飼い主さんが気づかれるケースがほとんどです。

顔、顎の下、お腹、背中など、皮膚のある場所であればどこにでもできる可能性があります。

しこりの表面は、毛で覆われている、脱毛している、ジュクジュクして皮膚がやぶけた状態になっているなどさまざまです。

良性腫瘍の場合には、皮膚の下でゆっくり大きくなり、全身症状が出ないことが多いです。

悪性腫瘍の場合、急激に大きくなることで皮膚が裂けてただれたり、他の臓器に転移することで食欲低下や元気消失、呼吸状態の悪化や痛みなど、全身に影響が出たりする場合があります。

また、しこりの部分をうさぎが自分自身でかき壊してしまったり、大きくなったしこりをケージ等の硬い部分にぶつけてしまったり、排泄物で汚してしまったりすることで細菌感染を起こし、湿性皮膚炎になることがあります。

湿性皮膚炎になると、皮膚の赤み、脱毛、ただれ、ジュクジュクした分泌物が出るといった症状が見られます。

うさぎの皮下腫瘍の原因は?

皮下腫瘍ができる原因は明らかにはされていませんが、紫外線、栄養、免疫、化学物質、ウイルスなどさまざまなことが複合的に関わって発生すると考えられています。

強いストレスは、免疫力を低下させる原因になるため、注意が必要です。

うさぎの皮下腫瘍に関連する病気はある?

うさぎの皮膚にしこりやできものが出来た場合に注意すべき病気に、皮下膿瘍があります。

皮下膿瘍とは、細菌感染によって皮膚の下に膿が貯まる病気です。うさぎは歯のトラブルによる膿瘍が起こりやすいため、顎や頬、眼の下にしこりができた場合には皮下膿瘍の可能性があります。

また、他の部位でも、他のうさぎとのケンカなどの外傷や、足底潰瘍から膿瘍が形成されることもあります。

皮下膿瘍か皮下腫瘍かを見た目で判断するのは難しいため、針を刺して内容物を確認する必要があります。

うさぎの皮下腫瘍はどんな検査、治療をするの?

皮膚にしこりやできものを見つけた場合には、腫瘍かどうかや、腫瘍であればどの腫瘍なのか調べるために針で細胞を採取する検査を行います。

また、転移の有無を調べるために、血液検査やレントゲン検査、超音波検査を行うこともあります。

治療は、外科的に手術で摘出するのが一般的です。抗がん剤を使うこともあります。

ただし、転移していたり、全身状態が悪かったりする場合には手術することが難しいため、点滴や痛み止めなどで対症療法を行います。

湿性皮膚炎を起こしている場合には、抗生剤の投与や、洗浄、消毒などが必要になります。

うさぎの皮下腫瘍の予防法は?

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不適切な飼育環境はうさぎにとってストレスになり、発症のきっかけになる可能性があるため、清潔で風通しがよく、温度管理がされている環境で飼育するように気を配りましょう。

ストレスの少ない生活を送り、健康状態に気を配って免疫力を高めることで、腫瘍になるリスクを低くすることができます。

しかし、うさぎにとってなにがストレスになっているかは分からないことも多いもの。飼育環境や、食事などさまざまな要因が重なることで発症するリスクを抑えてあげることが重要です。

また、皮下腫瘍がないか、うさぎの体を日々触って確認し、しこりを早めに見つけてあげられるかが重要です。早く見つけてあげることで、早期治療につながり、悪性腫瘍であっても範囲が狭いうちに取り除くなど、処置の選択肢の幅が広がるかもしれません。

まとめ

うさぎの皮膚にしこりを発見した場合、見た目だけでは腫瘍なのか他の病気なのか、また腫瘍の場合どの種類の腫瘍なのかを判断するのは難しいため、見つけたら病院で相談するようにしましょう。

また、早めに異常に気が付くことも大切ですので、コミュニケーションもかねて日常的にうさぎの体を触って確認するようにしましょう。

監修獣医師

石川美衣

石川美衣

日本獣医生命科学大学卒業。2008年、獣医師免許取得。卒業後は横浜市の動物病院で診察に従事、また東京農工大学で皮膚科研修医をしていました。2016年に日本獣医皮膚科認定医取得。現在は川崎市の動物病院で一次診療に従事。小さいころからずっと犬と生活しており、実家には今もポメラニアンがいて、帰省のたびにお腹の毛をモフモフするのが楽しみ。診察で出会う犬猫やウサギなどの可愛さに日々癒されています。そろそろ我が家にも新しい子を迎えたいと思案中。