猫が嬉しい時やリラックスしているときにゴロゴロとのどを鳴らす、ということはよく知られています。しかし、猫がのどを鳴らす理由はそれ以外にもあるようです。

猫はどんなときにのどを鳴らし、どうやって鳴らしているのでしょうか?

なぜ猫はゴロゴロとのどを鳴らすの?どんなときに鳴く?

猫がゴロゴロとのどを鳴らすのは、子猫の頃から見られる行動です。母猫からお乳をもらうときやもらっている間に鳴らし、母猫に自分の状態をアピールすることがあります。また、母猫もそれに応えて一緒にのどを鳴らすことがあります。

母猫は、子猫に対して安全を知らせるためにゴロゴロと音を出すなど、猫のゴロゴロ音は基本的には親子間のコミュニケーションに関連しています。

しかし、人と暮らしている猫はもちろん、成猫同士であってもゴロゴロと音を出すことがあります。それはどんなときでしょうか。

リラックスしている

猫が寝ているときや飼い主さんに撫でられて目を細めていたり、好きな相手と寄り添っていたりなど、リラックスしているときにゴロゴロと音を出す様子が見られます。

他にもごはんを食べて満足しているときや、甘えているときも同じように安心してゴロゴロとのどを鳴らしているといえるでしょう。

ストレスを感じている

一方で、ストレスを感じているときに猫がのどをゴロゴロと鳴らすことがあります。
これは、一種のカーミングサイン(カーミングシグナル)です。

不安や苛立ちを落ち着かせるためであったり、対立している相手に「落ち着いて」と伝えるためにのどを鳴らすことがあります。

自然界では攻撃を回避し、生き延びることにつながるため、こうした行動をとると考えられています。

痛みを和らげている

猫は、自身がケガをしたときにもゴロゴロとのどを鳴らすことがあります。

具合が悪いときは精神的にも不安になりやすく、前述したように自身の気持ちを落ち着かせるためなどの理由で、病気のときにのどを鳴らすと考えられています。

何かを要求している

猫によっては、ごはんやおやつをおねだりしたり、遊びたい、撫でてほしいという気持ちからのどを鳴らすこともあります。

また、「やめないで」と要求している場合もあり、乳離れが近い子猫も母猫からお乳をもらい続けようとのどを鳴らすようです。

要求行動は経験学習によって身につくので、ゴロゴロと鳴いたら「飼い主さんの注意を引けた」「おやつをもらえた」などの経験が大きく影響すると考えられます。

ただし、ゴロゴロ以外にも要求行動はあるので、愛猫の行動をよく観察してあげること、要求と思われる行動に対し飼い主さん自身がどのように対応したかを記録しておくなどすると、何が要求行動なのかがわかりやすくなります。

猫のゴロゴロ音の仕組みが知りたい!

猫が発する「ゴロゴロ」という音は通常の鳴き声とは違い、口を閉じていても聞こえますし、ゴロゴロとのどを鳴らしながら同時に「ニャー」など声を発することもできます。

どのようにして、同時に別の音を出しているのでしょうか?

そもそも猫のゴロゴロ音は、連続的な音に聞こえますが、実際には息を吸い込むときと吐くときで微妙に変化していて、さらにその間で一瞬止まることがわかっています。

猫がのどを鳴らす仕組みは、実は最近まではっきりとわかっていませんでした。「血流が渦巻くことで音が出ている」「声帯近くにある仮声帯の振動によって出している」「横隔膜と咽頭の筋肉が交互に動くため」「神経によって引き起こされる筋肉の収縮」など、さまざまな説がありました。

2023年にオーストリアのウィーン大学による実験で猫のゴロゴロという音は、咽頭で呼吸流量が調整されることで出されていて、呼吸運動以外の血流や仮声帯、神経、筋肉の収縮などは直接的に関係ないことがわかりました。

また、猫の声帯には周波数を下げる役割を果たす結合組織があり、ゴロゴロ音が低周波になることもわかっています。

【参考】
GigaziNE「ネコがのどを「ゴロゴロ」鳴らす仕組みがついに明らかに」https://gigazine.net/news/20231006-how-cat-purr/

ゴロゴロ音は人にとって嬉しい働きがある!?

猫のゴロゴロという音を聞くとなんだか落ち着く、という人も少なくないでしょう。

実際に、猫のゴロゴロ音には癒し効果が認められていて、猫好きかどうかに関わらず、ストレス状態が緩和されたり、骨や関節などのケガが通常よりも早く治るという説もあります。

【参考】
つくばリポジトリ
https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/records/50779

副交感神経を優位にしてくれる

自律神経は、大きく「交感神経」と「副交感神経」に分けられます。
交感神経は活動時や緊張時に働き、副交感神経はリラックスするときに働きます。

人がリラックスするにはハーブティーを飲んだり、アロマを嗅いだり、温泉に入るなどさまざまな方法がありますが、「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」が関わっているといわれています。

1/fゆらぎは、小鳥のさえずりや心音、焚き火の炎のゆらぎ、クラゲが漂う姿など、一見規則的に感じるものの中に、予測できない要素が適度に混ざり合うことで、心地よさを感じ、自律神経を整える効果があります。

猫がのどを鳴らす「ゴロゴロ」という音も、ピンクノイズとも言われる一種の1/fゆらぎだと考えられるため、人は猫と一緒にいることで癒しを強く感じることができるようです。

ゴロゴロ音を出さない猫はいる?

一般的に、猫は子猫のときにゴロゴロという音を出すようになり、成猫になってもその能力を保持しています。

ただし、ゴロゴロ音を出すためには咽頭などの器官が正常である必要があります。そのため、咽頭麻痺などの疾患がある場合にはゴロゴロ音を出すのが難しいことがあります。

まとめ

猫がゴロゴロとのどを鳴らしている様子を見るとなんだか幸せな気持ちになりますよね。それは単に「猫が好きだから」ということではなく、実際にリラックス効果があることがわかりました。

元々は猫自身が生きていくための能力ですが、いつのまにか私たち人間にとっても良い影響を及ぼしてくれていたなんて嬉しい限りですね。

ゴロゴロと鳴かない猫もいますが、心配する必要はありません。「リラックスできていないのでは」「私のことを好きではないのかも・・・」と考えるよりも、猫の状態や愛情表現はのどを鳴らすことだけではなく、「へそ天」や「スリ寄り」などの様々な姿勢や仕草から見ることができます。それらを注意深く観察することで、愛猫とのコミュニケーションもより豊かになるでしょう。

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監修獣医師

長根あかり

長根あかり

大学で動物行動学やアニマルセラピーを学ぶ。保護犬を家族に迎えたこと、野良猫の保護をした経験から、「保護犬・猫について」や「正しい飼い方」の情報発信の必要性を感じ、大学卒業後はペットメディアで勤務。その後はフリーライターとして執筆活動しながら保護シェルターで働き現状を知る。現在は、動物ライターとしての執筆活動のほか、ドッグトレーナーとして飼い主さんとワンちゃんの暮らしが良くなるように、アドバイスやトレーニングを行っている。