
大切なうさぎには、長く健やかに生きてほしいですね。うさぎは一般に6~7歳を過ぎると高齢期といわれます。うさぎが高齢になるとどんなことが起こるのか、老化のサインやその対処法を知り、うさぎの変化に寄り添って対応していきましょう。
寝ている時間が長くなる
うさぎは中年期と呼ばれる3~5歳以降になると活動量が減っていきます。以前は活発に走り回って遊んでいたうさぎも、年をとるにつれて遊ぶ時間が少なくなり、長く眠るようになります。遊ぶ時間が減って飼い主は寂しいかもしれませんが、うさぎが必要とするだけ眠らせてあげましょう。うさぎは朝方と夕方に活発になるリズムを持っています。寝ている時間が長くなっても1日の中で元気に動く時間帯もあるので、そのタイミングで運動させるようにします。朝や夕方になってもあまり動きたがらないときは、骨関節の変形など体に問題が起きているかもしれません。活動量が減っても、1日の中でメリハリがあるか注意して様子を見てあげましょう。
段差につまずくようになる
高齢になると筋力が衰えたり、膝や股関節、背中に痛みが出たりしてジャンプがしにくくなり、段差につまずきやすくなります。ケージの入り口にあがれなくなり、やがてトイレの段差もつらくなってトイレを使わなくなることもあります。ケージには抱き上げて出入りさせるか、ステップやスロープを設置して無理なく出入りできるようにしましょう。また室内にも滑らないようカーペットを敷いて、足に負担がかからないようにします。トイレも入りにくくなったら段差が少ないものに交換します。それでも使えなくなったら、トイレを使わずトイレシートを敷くだけにする方法も。うさぎの状況に合わせて対処していきましょう。
温度変化に弱くなる
うさぎは温度変化に弱く、季節の変わり目などに体調を崩しやすい傾向があります。それが年をとるにつれて、より温度の影響を受けやすくなります。去年までは大丈夫だった温度で熱中症になったり、夏バテをしたりすることも。「今まで大丈夫だったから」とそれまで通りの対策に留めず、高齢になったらより気をつけてあげる必要があります。
体重の変化

体重は加齢によって増える場合と減る場合があります。太るのは、運動量が減ったことで摂取カロリーが過剰になるためです。肥満になると関節やかかとに負担がかかったり、心臓病や消化器の病気にかかりやすくなったり症状を悪化させる場合もあります。体重が増えて太り気味になったらペレットの量を減らして適切な体重を維持しましょう。
逆に体重が減ってしまうのは、必要とするカロリーが少なくなり、筋肉量が減るためです。それだけでなく、歯に問題が起きて食欲がなくなり、食べられなくなっていることも考えられます。急激に体重が減っていく場合は病気が隠れていることも。早めに動物病院を受診することが大切です。
高齢になるとあまり食べなくなるうさぎもいますが、うさぎが食欲不振のときは基本的に体の不調を疑う必要があります。高齢だからと見過ごすのではなく、慎重な経過観察と早めの受診を心がけてください。
毛色が薄くなる、毛ヅヤがなくなる
うさぎは老化によって部分的に毛色がグレーや白に変化することがあります。もともとグレーや白の子ではわかりにくいものの、毛色によっては変化がはっきりわかります。また1本1本の毛が細くなり、毛の密度が薄くなることも。
このような毛質の変化に加えて、毛ヅヤがなくなり、毛がバサバサして見えることがあります。
骨・関節の炎症や変形による痛みが原因で毛づくろいがうまくできていない可能性もあります。うさぎの体を清潔に保つために飼い主が適度にグルーミングをして、特にお尻まわりが汚れやすくなったら、うさぎが嫌がらない範囲で部分浴などのケアも必要になります。
視力の悪化と眼のトラブル

加齢とともに視力も悪化することがあります。うさぎの視力はもともと良い方ではなく、聴覚や嗅覚が発達しているので、見えなくなってもほかの感覚に頼って自由に動くことができます。ふれ合うときは怖がらせないように、必ず事前に声をかけ、まず飼い主のにおいをかがせて安心させる必要があります。ケージ内のレイアウトは変更しないようにして、いつも同じものを同じ場所に置くことで、視力が低下しても混乱することなく日常生活を送れます。
加齢性の視力の低下に関連する目の病気に、白内障があります。白内障は程度によっては痛みを伴う緑内障に進行することもあります。また、免疫力の低下に伴い隠れていた感染症が表に出てくることや、不正咬合が悪化することで起こる鼻涙管閉塞にも注意です。鼻涙管閉塞によって増える涙が目の周りの皮膚に炎症を起こす可能性もあるので、拭き取るケアが必要です。目の病気が疑われるときは早めに受診しましょう。
聴力が衰える
長い耳に象徴されるように、うさぎはとても耳がよく聴こえる動物です。その聴力も高齢になると衰え始め、聞こえなくなることもあります。聴力が衰えると音に対する反応が鈍くなり、やがて聞こえなくなると大きな音や聞き慣れない音にも反応しなくなります。聴覚で危険を察知してきたうさぎにとって、聞こえにくい・聞こえないという状態はとても不安なことです。周囲の様子をこれまでのように把握できないことから怖がって攻撃的になることもあります。音に反応しなくなり、音がしても耳を動かさなくなったら、うさぎの視野の範囲からゆっくり近づき、においをかがせて安心させてから触れるようにしましょう。
特に高齢のたれ耳のうさぎ(ロップ系)は、耳の病気になりやすいといわれています。
病気にかかりやすくなる
高齢になると歯の病気やソアホックをはじめ、心臓や腎臓、呼吸器の病気や腫瘍などさまざまな病気にかかりやすくなります。少なくとも半年に1度は動物病院で健康診断を受けるようにしましょう。高齢になっても病気は「早期発見」「早期治療」が一番であることは変わりません。何か変化があったとき、ただ加齢によるものと決めつけず、注意深く様子を見てください。
特に、避妊をしていない女の子は、子宮の腫瘍に注意が特に必要です。
老化のサインをマイナスに受け止め過ぎないで

どうぶつが高齢になると、体の機能が落ちていくのは自然なこと。うさぎにとっては自然な変化なのに、それを飼い主が残念がったり、落ち込んだりしていると、うさぎまで悲しくなってしまうかもしれません。うさぎの平均寿命は延びていて、老化のサインが出始めても、まだまだ元気に生きられるケースも少なくありません。ここで紹介したサインが見られたからといって、必ずしもお別れが近いわけでも、すぐに介護が必要になるわけでもありません。うさぎが幸せな老後を送れるかどうかは、飼い主にかかっているのです。ここまで長く一緒にいられたこと、今も一緒にいられることに感謝しながら変化を受け入れて、これからも楽しい日々を過ごしてくださいね。
