ただでさえかわいいうさぎたち。赤ちゃんうさぎともなれば、いつまでも見ていられるほどかわいいものです。飼っているうさぎの赤ちゃんが誕生した人も、赤ちゃんうさぎをお迎えした人も。知っておいて損はない赤ちゃんうさぎの成長過程や生態をお届けします。

うさぎの赤ちゃんの成長はあっという間

小さなうさぎの写真

うさぎは毛も生えていない未熟な状態で生まれてきますが、日を追うごとにみるみる成長し、2〜3週間でフワフワのかわいい姿になります。そして生後2ヶ月を過ぎるころには、幼さは残るものの「子うさぎ」といえるほどになります。その後は生後半年から1年で大人とほとんど変わらない姿になります。では、どのように成長していくのかその過程をみてみましょう。

誕生当日

生まれたばかりの赤ちゃんは毛が生えていません。目も耳の穴も閉じていて、歩くこともできない未熟な状態です。生まれたときの体重は品種や親の体格によって異なりますが、小型種ではほんの30~40gです。皮膚の色は将来の毛色によってちがっています。明るい毛が生える部分はピンク色、茶~黒のような暗い色が生える部分は黒の地肌になります。お母さんうさぎが出産直後に授乳をするのはまれで、たいてい翌日の夜から授乳が始まります。

生後3~4日

このころから全身に産毛が生えてきます。産毛だけでは体温を保つことはできないので、巣の中で兄弟姉妹と寄り添って過ごします。

めったにないことではありますが、巣箱に少し段差があることで兄弟姉妹うさぎと離れてしまうというケースもあります。生後2週齢くらいまでは、赤ちゃんうさぎが兄弟姉妹うさぎから離れないように注意してみておくことが重要です。できるだけ、段差の少ない巣箱を使用することも意識してみてください。

生後1週間

耳の穴が開き、周囲の音が聞こえるようになります。

生後2週間

目も開き、自分で歩くようになります。このころには全身が柔らかくフワフワの毛で包まれています。この被毛(ベビーコート)は、生後4~6週間で大人と赤ちゃんの中間の毛に変わります。その毛も生後3ヶ月~1年の間に完全に大人の毛に生え変わります。

生後3週間

活発に動くようになり、巣箱から出てくるようになります。大人のうさぎが食べるものにも興味を持ち、牧草を口にし始めます。大人用の牧草ではなく、やわらかいソフトチモシーといわれる牧草を与えましょう。

また、お母さんうさぎの盲腸便(一度うんちとして排出されるが、ビタミンやたんぱく質が豊富に含まれいるうんちのこと)を赤ちゃんうさぎが食べることもあります。

生後1ヶ月

生後1ヶ月を過ぎると離乳をして、体もしっかりしてきます。生後6週間を過ぎると親と離れて独り立ちできるようになります。このころには、乳歯がすべて永久歯に生え変わっています。

生後2ヶ月

早い子では生後3ヶ月で性成熟を迎えるので、この時期から兄弟姉妹と離して飼育を始めます。

新しい飼い主の元へ行くのは生後2ヶ月を過ぎてからが目安です。生後2ヶ月のうさぎを家庭にお迎えした人も多いでしょう。この時期はまだ、牧草とペレットだけを食べて胃腸の調子を安定させる必要があります。野菜や果物も与えると食べますが、この時期にその味に慣れてしまうと、牧草やペレットをあまり食べなくなることも。野菜や果物は3~4ヶ月以降に様子を見ながら、少量ずつから始めてください。

生後4~5ヶ月

多くのうさぎはこの期間に初めての換毛が起こります。ここで大半が大人の毛に変わります。それによって毛色の見え方が変わることも。毛色自体は変わることはありませんが、毛質が大人のものに変わることで、色の濃淡が変わって見えることがあります。

ノウサギは毛が生えた状態で生まれてくる?

うさぎの赤ちゃんの写真

同じうさぎの赤ちゃんでも、種が変わればまったくちがう姿で生まれてきます。ペットのうさぎの祖先はアナウサギ。土を掘って地中に巣穴を作って生活し、出産も巣穴の中で行います。それとは種が異なるノウサギは、巣穴を作らずに生活します。そんなノウサギの赤ちゃんは、生まれたときにはもう毛が生えて目も耳も開いていて、すぐに自力で動くことができます。ノウサギは草むらに簡単な巣を作って出産するため、いつでも敵から逃げられるよう、お腹の中で充分成長してから生まれてくるそうです。

赤ちゃんの育児はお母さんうさぎに任せて

うさぎの赤ちゃんのお世話はお母さん任せが基本。飼い主はあまり刺激しないように見守ります。特に産後1週間は巣をのぞくことや赤ちゃんうさぎに触ることは控えて、巣材もそのままにします。

うさぎの授乳は1日1~2回。お母さんうさぎは授乳のとき以外は巣から出て、巣に近づくこともしません。授乳の時間は深夜から明け方が多く、あまり授乳している姿は見られません。このような様子から飼い主は「育児放棄しているかも?」と不安になるかもしれませんが、そうではないことがほとんどです。

「うさぎのお母さんはストレスがたまると赤ちゃんを食べてしまう」という話を聞いた人もいるでしょう。そのようなことは滅多になく、実際は死産した赤ちゃんを食べることがあります。一方で出産する年齢が若すぎた場合や、予期せぬ出産で準備が整っていなかった場合などで、赤ちゃんのお世話をしなくなることは度々起こります。

これって育児放棄?と思ったら

赤ちゃんうさぎと親うさぎ

育児放棄かどうかは、赤ちゃんが順調に育っているかどうかで確認します。毎日赤ちゃんの体重を測って、ある程度増えていれば、お母さんうさぎが世話をしている証拠です。体重を測るときは、朝早めに赤ちゃんを巣箱から出して測ります。長い時間巣から離すとストレスになるので、手早く行いましょう。授乳されていれば、赤ちゃんのお腹は丸く膨らんでいます。慣れているうさぎは人のにおいを気にしないともいわれますが、念のため赤ちゃんに触れるときはビニール手袋などをしてにおいがつかないようにしましょう。赤ちゃんの体重が増えていないときや、増え方が良くない場合は人工哺育に切り替えます。

赤ちゃんを育てることになったら

うさぎの赤ちゃんのお世話として、お母さんのかわりにミルクを哺乳することと、お尻を刺激して排泄を促す必要があります。また赤ちゃんうさぎは体温調節が苦手なので、保温にも気をつけなくてはいけません。動物病院に相談するなど、うさぎに詳しい人にアドバイスを受けながら行いましょう。

ライター

佐藤華奈子

佐藤華奈子

大学の動物系学科を卒業後、教育情報誌、ライフスタイル誌の編集プロダクション勤務を経て、2009年よりフリーランスの動物ライターに。「動物を飼うことは動物と暮らすこと」をテーマに活動中。おもにペット、動物園、牧場の動物関連の雑誌、書籍などで執筆。2011年よりうさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしているうさぎ愛好家。