猫はリラックスしているときに、のどをゴロゴロ鳴らすことがあります。目を細めてゴロゴロとのどを鳴らしている様子は、見ているこちらも癒やされますよね。
一般的に、のどや首を優しく掻くようにマッサージすると喜ぶという印象があるかと思いますが、他にも猫をリラックスさせたり気持ちよくさせるマッサージがあるのでご紹介します。
マッサージは大事なスキンシップ
マッサージといってもその目的ややり方はさまざまです。
優しく触れる、撫でるだけでも猫とのコミュニケーションになります。
専門的なマッサージとなると、中医学でいう経絡(ツボ)を意識したマッサージやリンパマッサージ、リラックス状態へ導くTタッチなどがあります。
とはいえ、専門的すぎると難しく感じてしまうもの。まずは愛猫との関係をよくするためにも、猫に好まれる触れ方でスキンシップをはかることから始めてみましょう。
日頃から体に触れておく
猫は「気まぐれないきもの」などとよく言われますが、全身を触っても嫌がらない、抱っこができるというのは実はとても大切なこと。
日々の健康チェックや定期検査で動物病院へ行くときも、触られることに慣れているとストレスを軽減することができます。
体を触る練習をするときは、猫の好きなおやつなどを与えながらゆっくり触ってあげましょう。1回で何十分もかけて全身を触るよりも、1回に1部位を軽く撫でてあげるくらいからスタートします。そしてしばらく時間を開けて、次の部位を撫でてあげる、というように回数を増やしてあげるほうが、猫もストレスを感じることが少ないでしょう。
また、1日ですべての部位を触る必要はないので、嫌がらない程度にとどめ、毎日少しずつ触られることに慣れさせる練習をしてみてください。
マッサージをするときのポイント

マッサージをするときのポイントは、猫も飼い主もリラックスした状態で始めることです。
たとえば、マッサージしてあげよう!と思っても、猫が逃げたり嫌がっているときは無理に捕まえてはいけません。
猫の方から寄ってきたときや、おやつなどを使って猫が自発的にそばに来た状態から始めましょう。
マッサージをしてあげるときの手の使い方
マッサージをするときの手の使い方にはいろいろな方法があります。手のひら全体を体にあてて触れたり、指先で細かく触れる、指先で揉む、片手または、両手で触れたりもします。
マッサージ自体も、毛並みやリンパに沿って撫でたり、ツボのように優しく一定の強さで押したり、「の」の字を描くように猫の体に手や指を添えてゆっくり撫でる方法などがあります。
触れ方は色々ですが、共通するのは力加減です。猫が心地よいと感じる具合を意識して、力強く触れるのではなく、優しくゆっくり刺激するようにマッサージしていきましょう。
どの部位から始めるのがよい?
最初は、触れられ慣れている部位(頭や首まわり、背中)から始めると、猫も緊張せずにリラックスできると思います。猫は体が柔らかいので自分で毛づくろいができる範囲も広いですが、やはり自分では届きにくい背中や首、額や耳周りなど優しくマッサージしてあげると喜ぶ子が多いです。
ツボを知る

体に触れることに慣れたら、その日の猫の様子に合わせてツボを優しく押してあげるのもおすすめです。
人間と同様に、犬や猫にもツボが存在します。
猫の性格や症状に合わせてツボを押すことで身体が軽くなったり、リンパを日頃から意識して撫でてあげるだけで毎日が過ごしやすくなるかもしれません。
猫が喜ぶツボは?
額、首〜背中は人間と同じで、猫も疲れていることが多い場所なので触られると喜ぶ子が多いです。最初に、皮膚を軽くつまむようにして血流をよくする準備をしてあげるとより効果的です。
頭頂部の中央付近にある「天門」や頭の「百会」と呼ばれるツボは、万能のツボと呼ばれストレス解消や首や肩のコリに効果がある他、発熱、脳炎、けいれん、てんかんにも効果があると言われています。
眉毛の内側(左右)は「攅竹」、眉間の中間にある「印堂」は鼻づまりや猫風邪といった鼻のケア以外に目のケアの効果もあります。
首の付根、背骨と首の骨の間にある「大椎」は、風邪や気管支炎、全身の調子を整える効果が期待でき、一緒に耳の付け根にある「風池」肩甲骨の間や背骨の両側にある第三胸椎の下のくぼみ「肺兪」もマッサージしてあげると喜ぶでしょう。
また同じく背中にある「腎兪」というツボは、老化防止や腎臓病など泌尿器トラブルのケア、内臓やホルモンバランスのケアにも効果的です。
部位 | ツボの名前 | 場所(耳のつけね、など) | 効果(ストレス解消、食欲増進など) |
頭 | 天門 | 頭頂部の中央付近 | 発熱、脳炎、けいれん、てんかんに対して効果があると言われています |
額 | 印堂 | 左右の眉間の中間 | 鼻づまり、猫風邪など |
首 | 大椎 | 首の付け根、背骨と首の骨の間 | 風邪、気管支炎、全身の調子を整える |
背中 | 腎兪 | いちばん後ろの肋骨から たどった背骨の脇付近 |
全身を整える、老化防止、腎臓病 |
・鼻から背骨にそって、「督脈」というツボが集まっている経絡があるので、そのあたりの皮を持ち上げるように揉んでもよい
・額は他にも「攅竹」という水分代謝を助けるといわれているツボや、頭も耳の真後ろのくぼみにある「風池」という肩こりにきくツボもあるので、全体的に撫でているだけでもいろいろな体調を整える効果が認められる。あまりピンポイントで刺激しようと思わなくても大丈夫
正しくツボの場所を見極めるのは難しくもあるので、体のどこにどんなツボがあるかのおおよそがわかったら、意識して撫でてあげるだけでも体調を整える効果が期待できるため、ピンポイントでできなくても大丈夫です。
マッサージをするときの注意点

事前準備として、マッサージするときには爪を短く切りましょう。爪が長いと猫の皮膚を傷つけてしまう恐れがあります。また、指輪などのアクセサリーも皮膚を傷つけたり、毛が絡まってしまうこともあるので、外してから行いましょう。
マッサージをする場所も、猫が落ち着ける場所であると同時に、安全を考えてマットなどを敷いてあげると安心です。
マッサージは猫にとってリラックスや体調の改善などが期待できますが、100%の効果が得られるわけでありません。あくまでも手軽に家でできるケアやスキンシップの一つとしてマッサージを行い、症状がある場合には動物病院できちんと診断を受けて、治療をするようにしましょう。
嫌がったらすぐにやめる
マッサージをするうえで、最も大切なことは猫がリラックスできているかということです。
無理やり押さえつけてやることは、かえって猫を緊張させたり、怖い思いをさせてしまい体調が悪化してしまうこともあります。
猫が嫌がる様子が見られた場合には、すぐにマッサージをやめるようにしましょう。
アロマオイルは厳禁
最近ではペットに対してアロマオイルを使ったケアというのも人気ですが、猫に対して使うのは止めましょう。
一般的に、精油成分は経口や吸入、皮膚から吸収され、肝臓で代謝されますが、猫の場合は解毒に必要な酵素が不足しているため十分に代謝することができずに、中毒症状になってしまうことがあります。
実際に、アロマオイルの中には動物には使用してはいけない精油も多くあり、間違って使用してしまうことで、体調不良や意識レベルの低下、死亡してしまうケースもあります。
まとめ
マッサージは、人間にとって気持ちがいいのと同じように、猫にとっても気持ちがいいものです。そして、猫の体にも心身の健康に影響するコリやツボやリンパなどが存在しています。
猫を撫でたりブラッシングをしてあげることは、スキンシップやケアだけでなくマッサージにもなります。さらに、ツボやリンパなどを意識してみるとより効果的なケアができたり、猫の体調の変化にも気が付きやすくなるので、ぜひ取り入れてみてください。
