インコや文鳥など、ペットの鳥をケージ(鳥小屋)から出して室内で遊ばせる「放鳥」。心と身体の健康のために大切なお世話のひとつですが、慣れないうちは疑問に感じることがあるかもしれません。
今回は飼い主さんのよくあるご質問に、獣医師の目線でお答えします。

Q1.ケージから出しても飛ばないのですが…

せっかく放鳥をしようと愛鳥をケージから出しても、飛ばずに飼い主さんのそばにばかりいるということもあるでしょう。そんなときは、飼い主さんとのコミュニケーションを望んでいるのかもしれません。手に乗せたり撫でたりして遊んであげるといいでしょう。手に乗ることにまだ慣れていない鳥場合、ごく少量のおやつ類を手から与えるのも仲良くなるコツです。

しっかり運動させたいという目的がある場合でも、放り投げて無理やり飛ばせたりはしないでください。
あまり動かないタイプの子に動いてもらいたいときは、飼い主さんが少し離れたところに移動し、おやつなどを使って呼び寄せて飛んでもらったり、机の上などを歩いてもらったりという方法もよいでしょう。

いつもよく動く子が動きたがらない場合は、部屋が寒くないか確認のうえ、それでも動かない場合は体調不良を疑って受診してください。

Q2.ケージから出して!というアピールが激しいときは?

大きな声で鳴いたり、出入り口部分を噛んだり、飼い主さんの方を見てバタバタ暴れたり…ちょっと困った行動は悩みの種ですね。
「出して!」というアピール行動があった直後に、鳥の要求に応じて出してしまうとそれが成功体験になり、習慣化しやすくなります。しつけの観点ではあまり反応しない方が望ましいです。叱ったり声をかけたりするのも、「飼い主さんにかまってもらえた!」という成功体験になってしまう場合があります。つい声をかけたり、かまったりしたくなってしまいますが、やめさせたいアピール行動には反応しないようにしましょう。

ケージ内で退屈しているとアピール行動が出やすくなるので、フォージングトイなどのおもちゃを使ってケージ内の一人時間を充実するようにしてあげるといいですね。そのうえで、決まった時間になったときや、落ち着いているときを見計らって、たっぷり放鳥して発散不足を解消してあげてください。

Q3.噛んでくるので困っています

ケージから出すと手や耳を噛んできたり、髪の毛にいたずらしたりして困るという相談もよくあります。
鳥には仲良しのペア同士でお互いに羽繕いをする習性があるので、本人としては飼い主さんに羽繕いをしてあげているつもりなのかもしれません。物理的に噛まれないようガードしましょう。肩に乗ってきたときに狙われやすい顔周りは、パーカーのフードをかぶる、首にスカーフを巻くなどで対策できます。

Q4.放鳥を終えるときにケージに戻ってくれません

結論としては、おなかが空けば、フードがあるケージ内に自分から戻ります。
お腹が空いていなかったり、まだ遊びたいと思っていれば、ケージに戻らずに室内にとどまってしまいます。カーテンレールやエアコンの上など、高いところにも逃げられる鳥を無理やり捕まえて戻すのは至難の業です。自分で戻ってもらうように仕向けましょう。放鳥中におやつをあげすぎたり、おなかが満足しているときに放鳥すると、ケージに戻る動機がうせてしまいます。少しお腹が空いてくる頃に、ケージの中に好きな物が用意されている、という状況を作ってあげましょう。

獣医師

獣医師 中道先生より

放鳥は、愛鳥との暮らしの楽しみのひとつ。皆さんのお悩みが解決し、わが子とのきずなをより深められるよう応援しています!

【関連リンク】
インコや文鳥など、ペットの「放鳥」について解説!【獣医師監修】

監修獣医師

中道瑞葉

中道瑞葉

2013年、酪農学園大学獣医学科卒。動物介在教育・療法学会、日本獣医動物行動研究会所属。卒後は都内動物病院で犬、猫のほか、ハムスターやチンチラなどのエキゾチックアニマルも診療。現在は、アニコム損保のどうぶつホットライン等で健康相談業務を行っている。一緒に暮らしていたうさぎを斜頸・過長歯にさせてしまった幼い時の苦い経験から、病気の予防を目標に活動中。モットーは「家庭内でいますぐできる、ささやかでも具体的なケア」。愛亀は暴れん坊のカブトニオイガメ。