飼い主が食べているものをほしがる猫は少なくありません。とくに香りのいいバナナなどには、味が好きでなくても興味を示すことがあります。自分がおいしくバナナを食べているときに愛猫が近づいてきたら、少し分けてあげたくなりますよね。とはいえ、バナナを食べると猫はどうなるのか、どんな効果があるのかなど気になる点がたくさんあります。今回は、猫にバナナをあげる際の注意点などを解説します。
猫にバナナを与えても大丈夫なの? 与えないほうがいい?

とても身近な果物のひとつであるバナナ。家に常備している方も多いのではないでしょうか。ナイフやお皿が必要ないバナナは気軽に食べられるため、急いでいるときにもぴったりな食材です。
そして愛猫家の間でも、与えて大丈夫な食べ物として知られています。柿やオレンジに関しては食べさせて良いかどうかをパッと答えられる人が少ないのに対し、バナナは問題ないと認識している人の数がとても多いです。それだけ身体によくて安心な果物であるということかもしれません。
ところが、バナナの栄養素や猫に与えるメリットをしっかり把握できている人は意外と少ないです。まずはバナナに関する理解を深めるために、含まれる栄養成分を見ていきましょう。
バナナの栄養成分
もっとも有名なのは、カリウムではないでしょうか。塩分であるナトリウムを排出する効果があります。さらに、ビタミンB1、B2、B6などビタミンB群も豊富に含まれています。続いて食物繊維。便秘の改善など整腸効果が期待できる成分です。そして糖分。吸収の早いものやゆっくり吸収されるタイプのものなどいろいろな種類の糖分が含まれているのが特徴です。
また、甘いので高カロリーと思われがちですが、実は1本あたり100kcalを超えないものが多いヘルシーな果物です。だからといって与えすぎは禁物なので、与える量はきちんとコントロールしてあげましょう。
猫の身体によい?
バナナに含まれる栄養素は、人間だけでなく猫が健康な身体を維持するためにも必要な成分です。食べるメリットとして、食物繊維の効果による便秘の改善や、効率の良い糖分の摂取などがあげられます。
糖分の摂り過ぎはよくないですが、食物繊維が豊富に含まれているおかげで血糖値が急激にあがるのを抑えてくれるといった特徴もあり、栄養バランスの観点からも優れた成分構成になっているのがわかります。
バナナの皮は食べても大丈夫?
意外に思われるかもしれませんが、ご紹介した栄養素はバナナの皮にも含まれています。しかし可食部分とは硬さが明らかに異なるため、噛み砕きにくい太い繊維を喉に詰まらせてしまったり、胃腸で消化されずに腸の中に停滞したりといったリスクがあります。すり潰すなどの加工を施していない状態のバナナの皮は与えないほうがよいでしょう。
また、皮には農薬がついていることが多いです。たとえ舐めるだけであっても身体に悪いため、注意しましょう。
猫にバナナを与える方法
ゆっくり噛んでくれる子であれば問題ありませんが、丸呑みをする子も中にはいます。小さく切ってあげるか、つぶしたものを舐めさせてあげるようにしましょう。
バナナを食べた日は、歯磨きをしたほうがいいかもしれません。フードよりも粘度や糖度が高いため、歯や歯と歯茎の間に付着しやすく、歯周病の原因になります。猫の口は小さいため歯ブラシを入れにくいのですが、小さくて汚れが溜まりやすいからこそ重要です。歯磨きをしたことがないという猫の場合は、口周りに触れられることに慣れてもらうところから始めてみるとよいでしょう。
猫にバナナを与えるときに注意したい点は?

何事もやりすぎ、あげすぎはよくありません。たとえ与え方のルールを守っているからといっても、バナナを食べすぎると体調を崩すのは人間も同じです。これ以外で注意したいことについて、2点触れていきます。
皮はむいてあげる
バナナを丸ごと輪切りにして皮がついた状態であげるのはNGです。そもそもあえて与える必要性がない皮ですが、どうしてもあげたい場合はミキサーでペースト状にするなどして、繊維をしっかり断ち切った状態にしてからあげましょう。
常温であげる
近年はバナナを使った冷製のデザートなども流行っているため、冷蔵庫の中で保存している方も少なくないと思います。しかし猫の胃袋にとって冷たいバナナは刺激となってしまうため、常温のものを与えるようにしましょう。さらに冷凍バナナは硬く噛み砕きにくいため、大きい状態のまま飲み込んでしまう危険性があります。
逆に温めて柔らかくなったバナナであれば消化不良のリスクは低くなりますが、やけどに注意が必要です。温めた場合は必ず触ってみて、人肌より低いくらいの温度であることを確認しましょう。
猫にバナナジュースをあげても大丈夫?
街中でも見かけるバナナのジューススタンド。濃厚でおいしいですが、市販のものは砂糖などが添加されていることが多いため、要注意です。
一方、手作りであれば、かたまりのまま食べるよりも消化がしやすくなっておすすめです。ただし、牛乳などを混ぜたジュースにすると下痢や嘔吐してしまう可能性があるため、猫用ミルクなどで作ってあげるとより安心です。
バナナチップスはものによる
おやつに手頃なバナナチップスは、ノンフライで無添加のものであれば大丈夫です。とはいえ市販のものはほとんどが油で揚げられた添加物を含む商品となっているので、成分表記をしっかりみてから与えましょう。
ペット用のバナナチップスなども販売されているので、試してみるのもよいかもしれません。
猫はバナナが嫌い?

いろいろとご紹介しましたが、実はバナナが好きではないという猫は多いようです。猫の舌は甘味を強く感じないため、そもそもバナナの味そのものにはこれといった魅力を感じていません。また、あの強い香りが苦手なケースもよくあります。近くにあると嫌がる素振りを見せる猫もいます。
そのため、わざわざ猫にバナナをあげる必要性はそこまで高くないといえます。本当にほしがる愛猫の前で、人間だけおいしいバナナを楽しむことに罪悪感を覚えてしまう…ということであれば、少しあげてみるのもよいでしょう。
まとめ
人間が食べているものを愛猫にあげる際は、普段自分で食べるときには考えもしないことに注意しながら与える必要があります。あげ方は本当に正しいかどうか、バナナの状態は相応しいかどうかといったことを意識的に判断しながら、せっかくなのでバナナのメリットを最大限に引き出せる状態で食べさせてあげてくださいね。
