日本で昔から飼育され、飼育におすすめの小鳥としてもよくあげられるキンカチョウ。一体どんな鳥なのでしょうか? その特徴や、お迎えしたいと思ったときに知っておきたい飼い方のポイントを解説します。
キンカチョウってどんな鳥?
キンカチョウはスズメ属カエデチョウ科の鳥です。フィンチ類と呼ばれ、体形や生態は同じフィンチ類の文鳥やジュウシマツに似ています。キンカチョウの仲間は、野生ではオーストラリアのほか、インドネシア、東ティモールなどに生息。日本では明治時代から飼われていた記録があり、長く親しまれてきた人気の鳥です。漢字では「錦花鳥」または「錦華鳥」と書きます。
キンカチョウの特徴は?
体長は10cm前後、体重は12~15gほどの小鳥です。背側はグレーでお腹側は白、目の下に黒と白の縦のラインが入ります。クチバシはオレンジ色。男の子はさらにほっぺにチークパッチと呼ばれるオレンジの部分があり、体の横に斑点模様、喉元から胸にかけてしま模様があります。このしま模様から英語ではシマウマを意味するzebra finch(ゼブラフィンチ)と呼ばれます。これは野生種と同じ一般的なカラーで「ノーマル」と呼ばれています。今ではノーマルのほか、全身がほとんど白の「シロキンカチョウ」、ほっぺが黒い「ブラックチーク」、喉から胸のしま模様がない「ペンギン」など、飼育下で生まれた多様なカラーがあります。
カラーによっては、男の子の特徴的な模様がない個体もいますが、くちばしの色が濃いので、外見的に性別がわかることも多いです。
「ジャンボキンカチョウ」という少し大きめ(体長13~14cm、体重20~24gほど)の種類も。頭の毛が逆立った梵天(ぼんてん)と呼ばれるタイプもいます。

キンカチョウはどんな性格?
性格はやさしく穏やかです。臆病なところもあり、飼い主とのスキンシップはあまり好きではありません。ヒナから育てない限り、手乗りになることは難しいといわれています。仮に手乗りになっても、過剰なスキンシップはストレスになるため、控えめに触れることになります。鑑賞鳥といわれることもあり、ふれあいよりも鳴き声や鳥の姿に癒されることを重視する場合に向いています。
鳴き声は?
甲高くピーピーと鳴いたり、ネコのようにニャー二ャーと鳴いたりと、さまざまな声で鳴きます。ネコのように鳴く声は独特で愛らしく、鳴き声もかわいい鳥といわれています。声の大きさは比較的小さめで、1羽であればうるさく鳴くことはあまりないでしょう。複数になると、同時に鳴いて騒がしくなることもあります。
おしゃべりはできる?
インコやオウムとは異なり、人の言葉を真似することはありません。キンカチョウ同士では鳴きかわしてコミュニケーションをとります。男の子は決まったフレーズがある歌を歌うことが知られています。だいたい生後1~2ヶ月ごろに聞いたさえずりを覚えて、自分の歌を完成させるようです。
キンカチョウの寿命は?
飼育下の寿命は5~7年といわれています。長生きをすれば10年以上生きることも。健康管理に気をつけて大切に飼えば、長く寄り添ってくれる可能性があります。
飼う前に知っておきたいこと
小鳥は毎日のお世話が欠かせません。旅行などでお留守番させることはできないので、1日以上家を空ける場合は誰かに預けるか、お世話に来てもらう必要があります。
また、鳥を診てもらえる動物病院は限られています。何かあったときにすぐに受診できるよう、飼う前にかかりつけとして通える動物病院を見つけておきましょう。

キンカチョウに限らず、小鳥は香水やアロマ、柔軟剤など香りの強いものや、調理で発生する煙で具合が悪くなることがあります。香りが強いものをキンカチョウがいる部屋で使わない、キッチンのそばにケージを置かないといった配慮が必要です。
多頭飼育にも向いているといわれますが、キンカチョウ同士でも相性があります。複数で飼育したい場合は十分に広いケージサイズを確保できるか、最初からペアで導入するなど、慎重に検討しましょう。
いつからお迎えする?
キンカチョウはヒナから飼うと手乗りになるといわれますが、ヒナのお世話は成鳥よりずっと手間がかかります。慎重な温度管理が必要で、食事も数時間おきに「さし餌」をする必要があります。鳥飼育の初心者はさし餌が終わった後からお迎えするのがおすすめです。孵化後1ヶ月を過ぎると、自分でごはんを食べるようになり、飼育容器も成鳥と同じになります。この頃から飼い始めても、丁寧にお世話をしてコミュニケーションをとれば充分慣れてくれるでしょう。
キンカチョウの飼い方
キンカチョウとの暮らし方や必要なものを知っておきましょう。
必要な飼育用品
キンカチョウの飼育には次のものが必要です。
◆ケージ…体は小さくても飛び回るので、各辺が35cm以上のできるだけ大きめのバードケージを用意します。
◆水入れ・エサ入れ…ケージに付属していることがほとんどです。洗浄や消毒をする間の予備も用意するといいでしょう。
◆止まり木…止まって休める場所としてケージに取り付けます。飛び移って移動できるように2ヶ所以上設置してください。キンカチョウは小さくても比較的活動的なので、ケージ内で十分に動けるよう、止まり木は高すぎない位置がおすすめです。
◆つぼ巣または皿巣…キンカチョウは巣の中で寝ることを好むので、ワラで編んだ巣を用意します。

◆おもちゃ…ブランコやはしごなど飛び移って遊ぶタイプがおすすめです。
◆水浴びをする器…自分で水浴びをするので、水浴び用の器(バードバス)も用意します。
◆保温器具…体調不良時や寒い日に備えて、バードヒーターや保温電球、サーモスタットといった保温器具もそろえておきましょう。
◆温湿度計…温度・湿度管理のためにケージやその近くに設置します。
◆キャリー…通院や避難に使用するキャリーもあらかじめ用意を。
上記のほか、ケージの床に敷く紙(新聞紙やキッチンペーパーなど)またはペットシーツ、掃除道具、体重測定のためのキッチンスケール、爪切りなども必要になります。ケージカバーがあると、夜間にケージ内を暗くしてゆっくり休んでもらうことができます。
環境の準備
ケージはリビングなど、なるべく様子が見える場所に設置します。キンカチョウの適温は28℃前後です。冬でも室温が20℃を下回らないようにエアコンやヒーターで調整してください。ケージ近くの温度計もチェックし、保温が不十分であればバードヒーターや保温電球などで寒さ対策を。夏でも30℃を超える場合はエアコンで室温を調節します。
日光浴も必要です。1日30分ほどを目安に、日光が当たる窓辺にケージを置いて日光浴をさせます。紫外線を浴びてビタミンDを合成するため、ガラス越しではなく網戸越しの光がおすすめです。ケージの一部に日陰を作り、日光浴中は側にいるようにして、熱中症にも気をつけてください。
キンカチョウは何を食べる?
食事はフィンチ用のペレットまたは混合シード(キビやアワ、ヒエなどを混合したもの)がメインになります。混合シードをメインにする場合は野菜やボレー粉などを副食としてプラスします。キンカチョウはアワを好んで食べますが、栄養バランスの観点から偏食には気を付けましょう。
慣れない食べ物は受け付けないことがあるので、飼いはじめはお迎えするショップで食べていたものと同じものを準備して与えましょう。食事内容を変更したいときは環境に充分慣れてから、様子をみながら行ってください。
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お世話は何をする?
毎日のお世話はごはんを入れること(1日1回)と、お水の交換(1日2~3回)、ケージの掃除です。
キンカチョウは水辺が大好きな鳥で、野生では水がなくなると大群で移動するほど。水浴びもするので、お水はいつも清潔にしておきましょう。
掃除はケージの床に敷いた紙を交換し、フンで汚れた場所をきれいに拭き取ります。また1日に一度、30分~1時間はケージから出して自由に遊ばせてあげましょう。その際は逃げてしまうことがないよう、窓や部屋の扉はしっかりと閉めておきます。誤食や事故などにも充分注意して、目を離さず様子を見守ってください。
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インコや文鳥など、ペットの「放鳥」について解説!【獣医師監修】
お手入れは何をする?
頻度はその子によって異なりますが、定期的な爪切りが必要です。飼い主自身で行うことが難しい場合は動物病院でお願いすることもできます。
まとめ
比較的静かで様々な声で鳴くキンカチョウ。日本で長く親しまれてきた鳥で、鳥飼育の初心者も飼いやすい魅力にあふれた小鳥です。繊細な一面もあるので、小鳥のことをよく理解し、飼育環境をととのえてお迎えしてくださいね。
