
「ラブバード」と呼ばれるほど愛情深く、飼い主によく懐いてくれるコザクラインコ。鮮やかなカラーにぽってりした体型で愛らしく、一緒に暮らす鳥として人気が高いインコです。コザクラインコと暮らしたい!と思ったとき、知っておきたい特徴や飼い方のポイントを紹介します。
コザクラインコってどんな鳥?
体長17cmほどのアフリカ原産のインコ。額から胸にかけて淡い赤色で、これを桜に例えて「小桜インコ」と呼ばれています。世界中で愛され、日本でもセキセイインコと並んで昔から人気があるインコです。
コザクラインコの特徴は?
コザクラインコはボタンインコ属の仲間です。ボタンインコ属のインコはパートナーに対してとても愛情深く、特定の相手にべったりになることから英語では「ラブバード」と呼ばれています。
「色変わり」と呼ばれるたくさんのカラーバリエーションがあることも特徴です。「ノーマル」は野生と同じ色で、最も多くみかけるカラー。顔から胸にかけて赤色で、体が緑、腰から尾に明るい青が入ります。このほかブルーチェリー、ゴールデンチェリー、オレンジフェイスルチノー、ダークモーブ、オリーブなど、多様なカラーが存在します※。顔回りが赤くないカラーも多数あります。
※参考文献:カラーアトラスエキゾチックアニマル鳥類編
コザクラインコはどんな性格?
好奇心が旺盛で遊ぶことが大好き。パートナーに対して忠実で愛情深い鳥です。1羽で飼うと飼い主に全力で愛情を注いでくれます。ひとりの飼い主によく懐き、慕ってくれる一方で、ほかの家族にはあまり懐かないことも。そればかりか気が強い面があり、嫉妬をして威嚇をすることもあります。懐いている飼い主が毎日よく面倒をみられなくなると、ストレスを抱えて羽をむしる、人を噛むなどの問題行動が現れることもあります。こうした性格をよく理解したうえでお迎えしましょう。
鳴き声は?
鳴き声は大きめです。木造アパートのような音が響きやすい集合住宅には不向きでしょう。甲高い声で鳴くので、同居の家族の中で気になる人もいるかもしれません。家族には必ず鳴き声のことも伝えたうえで飼育の同意を得てください。近隣への配慮として防音対策も考えておきましょう。
おしゃべりはできる?
おしゃべりは得意ではなく、セキセイインコのように飼い主を真似てしゃべることは少ないです。中には簡単な言葉や音(玄関チャイムや家電の音など)を少し真似する子もいるようです。品種による違いのほかに、インコの性差(男の子の方がよくしゃべる)や飼い主の声の高さ、話しかけられた経験の量なども、おしゃべりの有無の傾向にかかわるようです。
コザクラインコの寿命は?
コザクラインコの寿命は10~12年ほどといわれています。長生きで20年ほど生きた子もいるそうです。お迎えする前に最後まで責任を持って面倒を見ることができるか、よく検討しましょう。
飼う前に知っておきたいこと
コザクラインコに限らず、小鳥は香水やアロマ、柔軟剤など香りの強いものや、調理で発生する煙で具合が悪くなることがあります。香りが強いものをコザクラインコがいる部屋で使わない、キッチンのそばにケージを置かないといった配慮が必要です。
毎日のお世話も欠かせません。旅行などでお留守番させることはできないので、1日以上家を空ける場合は誰かに預けるか、お世話に来てもらう必要があります。
鳥を診てもらえる動物病院は限られています。もしものときにすぐに受診できるよう、飼う前にかかりつけとして通える動物病院を見つけておきましょう。


コザクラインコは気が強くケンカをすることがあるので、複数での飼育やほかの鳥との同居は避けた方が良いといわれていますが、飼い主への依存が少なくなる傾向にあることからペア飼育がすすめられるケースもあります。一方でペアで飼育することにより、鳥同士で仲良くなって飼い主にあまり興味を示さなくなる、ペアの相性が悪い場合もあるといったデメリットもあります。飼い主によく懐いてほしいなら、1羽での飼育がいいでしょう。
いつからお迎えする?

一般に鳥はヒナから飼う方がよく懐くといわれます。
手乗りとして育てたい場合は孵化後3週間くらいのヒナの時期から慣らしたほうがうまくいきやすいともいわれていますが、ヒナのお世話は成鳥よりずっと手間がかかります。とくに孵化後1ヶ月くらいまでは慎重な温度管理が必要で、食事約4時間おきに「さし餌」をする必要があります。コザクラインコはヒナから育てることも難しくない方ですが、鳥飼育の初心者はさし餌が終わった後からお迎えするのがおすすめです。
孵化後1ヶ月半頃が、本来の自然な巣立ちの時期。自分でごはんを食べはじめ、成鳥と同じ食事へ移行していきます。、止まり木につかまることができ、自分で食事をついばめるようになると、飼育容器も成鳥と同じになります。この頃から飼い始めても、丁寧にお世話をしてコミュニケーションをとればスムーズに懐いてくれるでしょう。
コザクラインコの飼い方
コザクラインコとの暮らし方や気をつけたいことを知っておきましょう。
必要な飼育用品
コザクラインコの飼育には次のものが必要です。
◆ケージ…中型以上のバードケージが適しています。
◆水入れ・エサ入れ…ケージに付属していることがほとんどです。洗浄や消毒をする間の予備も用意するといいでしょう。
◆止まり木…止まって休める場所としてケージに取り付けます。ケージに付属していることもありますが、細すぎる場合は爪が伸びやすくなるため、太さが鳥種にあっているか確認しましょう。止まった時に爪の先が時計の4時と8時くらいの位置に来るのがベストです。
◆水浴びをする器…自分で水浴びをするので、水浴び用の器(バードバス)をケージ内に設置します。
◆おもちゃ…遊ぶことが大好きなので、おもちゃをいくつか用意しましょう。かじって遊ぶおもちゃのほか、つついて遊ぶもの、ブランコやインコ網のような一時的に止まるものなど、さまざまな遊び方ができるものをそろえてあげるといいでしょう。
◆保温器具…小鳥は寒さに弱いので、バードヒーターや保温電球、サーモスタットといった保温器具もそろえておきましょう。
◆温湿度計…温度管理のためにケージやその近くに設置します。
◆キャリー…通院や避難に使用するキャリーやプラケースもあらかじめ用意を。
◆ナスカン…脱走対策で使用します。ケージの扉をくちばしで開けてしまうことがあるため、鍵としてつけます。ステンレス製がおすすめです。
上記のほか、ケージの床に敷く紙(新聞紙やキッチンペーパーなど)またはペットシーツ、掃除道具、体重測定のためのキッチンスケール、爪切りなども必要になります。ケージカバーがあると、夜間にケージ内を暗くでき、コザクラインコがゆっくり休めます。青菜を与える場合は、その容器(菜差し)も用意しましょう。
環境の準備
ケージはリビングなど、なるべく飼い主のそばにいられて様子が見える場所に置きましょう。
適温は20℃~28℃くらいです。エアコンやヒーターで室内の温度を調整したうえで、温度計でケージ内の温度をチェックしましょう。寒さで保温が不十分であれば、バードヒーターや保温電球などで寒さ対策を。
日光浴も必要です。1日30分を目安に、日光が当たる窓辺にケージを置いて日光浴をさせてあげましょう。紫外線によるビタミンD3の活性化のことを考えると、ガラス越しではなく、網戸越しの光がおすすめです。ケージの一部に日陰を作ったり、日光浴中はケージから離れないなど、熱中症にも気をつけてあげてください。
コザクラインコは何を食べる?
食事はペレットもしくはシード(キビやアワ、ヒエなどを混合したもの)がメインになります。シードをメインにする場合は野菜やボレー粉などを副食としてプラスし、生育期や体調に合わせてサプリメント類も追加します。
慣れない食べ物は受け付けないことがあるので、飼いはじめはお迎えするショップで食べていたものと同じものを準備して与えましょう。食事内容を変更したいときは環境に充分慣れてから、様子をみながら行ってください。
お世話は何をする?
毎日のお世話はごはんを入れること(1日1回)と、お水の交換(1日2~3回)、ケージの掃除です。掃除はケージの床に敷いた紙を交換し、フンで汚れた場所をきれいに拭き取ります。1日に30分~1時間はケージから出して一緒に遊びましょう。肩や手に乗せる、なでるといったスキンシップも充分にとってあげることで、絆が深まります。
毎日のお世話のほか、1週間を目安にケージの大掃除(洗浄)、エサ入れ・水入れの消毒をします。食器や水入れ、バードバスなどは複数個を用意して消毒済みのものと入れ替えながら使うのもよいでしょう。消毒薬には有毒なガスや刺激臭が出たり、洗い流しが不十分だと鳥の健康を害するものもあります。鳥のいない部屋で消毒を行ったり、消毒後は十分に洗い流すなど、、十分注意しましょう。
多頭飼いで病気が発生し、薬剤がない状況ですぐに消毒したい場合などには、耐熱性のある器具は熱湯に漬け込むことで消毒できます。
お手入れは何をする?
頻度はその子によって異なりますが、定期的な爪切りが必要です。飼い主自身で行うことが難しい場合は動物病院でお願いすることもできます。
まとめ

愛情も愛嬌もたっぷりのコザクラインコ。嫉妬をして怒るのも、大きな声で呼ぶのも、飼い主への愛情ゆえです。お迎えしたらたくさん一緒に遊んで、スキンシップをとって、惜しみなく愛情を注いでくださいね。 日々のお世話の中で健康状態もよくチェックして、気になることがあれば受診すること、定期的に健康診断を受けることも忘れずに。健康に過ごすことができれば、平均的な寿命よりずっと長く一緒にいられることも夢ではありません。