分離不安症とは?
犬は、本来、社会性が豊かで、野生では群になって行動をする習性があるどうぶつです。
このような犬ですが、ヒトとの生活の中では「独りっきりでお留守番をしなくてはいけない」というような、本来の犬の習性とは勝手の違うこともいろいろと生じます。
ヒトとの生活を続ける中で、次第にお留守番にも慣れていくことが多いのですが、中には飼い主さんが犬の傍にいない事への不安がきっかけとなり、犬が問題となるような行動を起こすことがあります。分離不安症というのは、このような状態の総称です。
どんな行動が見られるの?
行動の例として次のようなものが挙げられます。
・ 飼い主さんの留守中に部屋がぐちゃぐちゃになっていたり、物が破壊されていたりする
・ 飼い主さんが出かけようと外出の準備を始めるとそわそわし始めて、飼い主さんの後を付いて 回る。
・ 飼い主さんが外出するのを見ると吠え始め、留守中にも吠え続ける
・ 飼い主の留守中に自分の手足を舐めたり噛んだりする。
・ 飼い主さんの留守中、トイレではない場所でおしっこをしてしまう
どんな原因が挙げられるの?
飼い主さんが自分から離れると「もう戻ってこないのではないか」という不安感が、犬を苦しめているのだと考えられています。また、分離不安症が生じやすい犬と飼い主さんの関係には、強い依存関係が見られることが多いようです。
他にも、過去の辛い経験がトラウマになって分離不安症を引き起こすこともあるといわれています。
また、分離不安症の行動が重度な場合、犬の脳や神経などに障害がある可能性が高く、このような行動が強くみられる場合もあります。
分離不安症を治すには
重度の分離不安症である場合や脳や神経に問題がある場合は、獣医師の処方により投薬治療を受けたり、原因にあった治療を行うこともありますが、症状が軽い場合や、犬の脳や神経に異常がない可能性が高い場合はしつけによって治すことから始めることが一般的です。
また、症状によっては、投薬治療としつけによる治療を併せて行う場合もあります。
しつけによる対応方法は?
1..飼い主様はいつも毅然とした態度をとり、「飼い主さんはどんなことがあっても自分を守ってくれる」という安心感を常日頃から与えてあげましょう。
また、お留守番は当たり前のことという表情でいるようにします。
「ごめんね」という気持ちを犬に察知されないようにしましょう。
2.日頃から飼い主様が犬を構い過ぎると、飼い主さんがご不在のときに強く不安感を抱いてしまいます。また飼い主さんが犬の様子を気にしていることを犬に気付かれないようにした方がよろしいでしょう。
チラチラと犬の行動を目で追うことも避けたほうが望ましいでしょう。独りでいることに対する自信を少しずつ持たせてあげましょう。
最初は飼い主さんの在宅時からスタートです。
(1)犬が独りでお部屋にいる練習を少しの時間から始めます。
最初は数分から、犬が「どうしよう」と思わない程度の時間だけ独りにして、飼い主さんはお部屋に戻ります。戻ったときに静かにしていられたら、「すごいね、お利口だったね」とうんと褒めてあげます。このようにして、お部屋で独りでいる練習時間をだんだん延ばしていきます。
独りでいることと犬にとって嬉しいことを結びつけるためにも、独りにするときには、特別なオモチャなどのご褒美を用意しておいても良いでしょう。
(2)お部屋で独りでいることに自信がついてきたら、次はお留守番の練習です。
こちらもほんの数分から少しずつ慣らしていき、待っていられたことをうんと褒めてあげましょう。状況をみながら少しずつ慣らしていきます。
このような練習を通して、犬に「独りでいるといいことがある」、「必ず飼い主様は戻ってくる」、「大丈夫なんだ」と感じさせてあげます。
3.飼い主さんのお出かけを特別なものに思わせないようにしましょう。さりげなく外出なさって、さりげなく帰宅します。飼い主さんは外出する際や帰宅時などにあまり声がけをしないほうがよろしいでしょう。
特に、飼い主さんの帰宅に興奮する犬に、「いい子にしていた?」などと声をかけたり頭を撫でたりすることは控えていただいたほうがよろしいでしょう。
帰宅時の挨拶はヒトの家族に最初に行い、犬に対しては、静かになってから最後にします。
飼い主さんのお出かけをさりげなく演出するために、外出の予定のある日には、お出かけ前のお散歩を長めになさったり、大好きなボール遊びを長めにしていただいて、いつもより疲れさせてあげるとよいでしょう。
ちょうど疲れが出てきて、うとうとと気持ちよくしている間にお母さんが帰ってきた、というような演出ができると良いですね。
他にも、同じようにラジオやテレビを小さな音で付けておいたり、薄明かりをつけたままにしておいたり、夢中になれるオモチャを与えておくのもよいでしょう。
4.犬が「飼い主さんは外出してしまう、どうしよう。」と連想してしまうような、飼い主さんの行動は、何かありませんか。お心当たりの行動があれば、この連想の鎖を壊してしまいましょう。例えば、飼い主さんが化粧をしたり、上着を着たり、鍵を持ったりする様子をみると、犬がソワソワし始めるというのであれば、この行動の後、お出かけをなさるのではなく、お部屋でのんびりしたり、お家の中で鍵を持って過ごすというような演出をします。
5.落ち着く習慣を付けましょう。
「オスワリ」と指示をしてその後に、ご褒美をあげたり、お散歩にいくなど、飼い主さんの指示にしたがうと良いことがある、という習慣をつけましょう。
また、犬が吠えているときは知らん顔をして、静かにしているときに、「お利口ね」と声をかけてあげましょう。
6.留守中の犬の行動は、犬自身でもどうしようもない行動だといえます。犬の気持ちを余計に不安定なものにしてしまう可能性があるので、帰宅後に犬の破壊行動や不適切な排泄に気付いても騒いだり叱ったりしないようにしましょう。
なお、重度の分離不安症である場合や脳や神経に問題がある場合は、獣医師の処方により投薬治療を受けたり、原因にあった治療を併せて行うことが望ましい場合もあります。
また、症状によっては、投薬治療としつけによる治療を併せて行う場合もあります。状況に応じて、かかりつけの動物病院さんにも相談してみましょう。
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※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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お迎えに行くと4日目(お迎えの前日)の夕方からお腹を下しはじめたとのことで、お迎えしてから完治まで4.5日かかりました。
それを気に病院に行くのを怖がらようになり、家では飼い主について回ったり、見えなくなると鳴いて暴れてとするようになりました。