台風の被害を小さくするために、飼い主が備えておきたいこと
2023.08.15台風による被害を伝えるニュースが続いています。私たちの力では、台風の直撃を避けることはできませんが、少しでも被害を小さくするため、一緒に暮らすどうぶつ達を守るためには事前の備えが大切です。
今回は、トイ・プードルと暮らしている筆者が、実際に大型台風に直面した経験から、飼い主として備えておいていただきたいことをご紹介します。
事前に備えたのは
2019年10月に関東地方に大きな被害をもたらした台風19号。過去に例をみないほどの大雨が予想されるということで、私は以下の準備をしました。
・食料品を多めに購入
・懐中電灯の点検(停電への備え)
・ペットボトルに水を入れて冷凍庫で凍らせる(停電時に保冷剤代わりとして冷蔵庫で使える)
・お風呂に水を溜める(主にトイレ用で利用する)
「多摩川の近くに住んではいるものの、ここ何年も氾濫したことはないし、念のためこのくらい準備しておけば大丈夫だろう」。過去に大きな台風を経験したことのない私は、あまり深く考えることなく台風を迎えました。
台風当日に起きたこと
朝から雨が降り出し、午後になると段々と雨が強くなってきました。時間が経つにつれ、雨は激しさを増し、猛烈な勢いで降り続きました。夜になると、スマートフォンの警報だけでなく、区の防災無線のサイレンが鳴り響くようになりました。愛犬は気にする様子を見せませんでしたが、雨風の音、サイレンの音など普段聞きなれない音に反応して、怖がって震えているという知り合いのワンちゃんもいました。
「もしかしたら避難が必要になるかもしれない」。そう思った私は、区のホームページで避難所を確認しようとしましたが、アクセスが集中しているのか全くつながりません。
大雨・強風の中の避難になるので、傘は使えないだろうし、クレートがびしょ濡れになったら愛犬が体調を崩してしまうかもしれない。自宅が2階ということもあり、避難せずに自宅にいるのが安全だろうという考えに至りました。
その間も雨は続き、テレビが伝える各地の様子から尋常でない雨の量が降っていることを知りました。
▲23時過ぎの自宅前の道路。少し先は冠水して街灯が反射している。
▲23時過ぎの増水した多摩川。河川敷がほぼ濁流にのみこまれている。
23時近くになって、雨がおさまりました。テレビでは、自宅から2㎞ほど先の多摩川の堤防が決壊したニュースを伝えていました。外の様子を知ろうと、家の前に出てみたところ、同じように思う近所の方も多かったようで「すごい雨でしたね」と口々に話しています。
自宅の前はわずかながら下りになっているので、水が溜まっていませんでしたが、20m程先では、道路が冠水しているのがわかりました。
「100m先のコンビニは浸水しているみたいよ」と教えてくれた方もいました。
その時、バンッと音がして、周囲の街灯が一斉に消えました。停電してしまったのです。
家に戻って確認しましたが、当然のように電気がつきません。マンションなので、水道も使えません。10月だったので、暑さの問題がなかったのは不幸中の幸いでした。
停電している間は、タイムリーに情報が入ってこないので、周りがどんな状況なのか把握できないのが不安でした。
ちなみに、愛犬は暗闇の中でも普通に過ごしていたのが救いでした。
翌朝になって・・・
朝を迎え、外は昨日のことが嘘のような青空。お散歩コースを愛犬を抱っこしながら歩いてみると、いつもとは全く違った風景が広がっていました。
▲翌朝。色々なものが道路に散乱していた。
▲半地下の建物は完全に浸水している。
▲水が引いた多摩川。乾いた部分から動かない愛犬。
泥まみれの道路、折れた木の枝、浸水したお店…。改めて被害の大きさを知り、無事でいられたのは、たまたま運がよかったからと思わざるを得ませんでした。
昼前には電気も復活し、家の中はいつもの生活が戻りましたが、台風の爪痕が大きく残った景色がしばらくの間続いたのを忘れることができません。
▲フェンスには流れついたゴミが絡まっている。
飼い主として
備えておくべきこと
私が台風を経験して、防災用品以外にもっと考えておくべきだったこと、備えておいたらよかったと思うのは以下のものです。
・避難所の確認
いざという時にすぐに動けるよう、ペット同伴(同行)避難できるかどうかと合わせて、場所や避難ルートの確認は必須です。
避難所だけでなく、知り合いの家などの選択肢もあると心強いかもしれません。
・避難するタイミング
台風がピークのタイミングで、大雨や強風の中避難することは危険を伴います。早めに安全な場所に移動して台風の通過を待つという方法も考えらえるのではないでしょうか。
・カッパ
・クレート(ケージ)用のカバー
大雨・強風の中避難する場合、傘が役に立たない可能性が高いです(むしろ折れたり風にあおられたりして危険です)。クレートやケージがびしょ濡れになるのを避けるためにも、カバーが欲しいと思いました。防水・撥水機能がついているとさらに安心です。
・クレートトレーニング
雨風の音、サイレンの音など聞きなれない音に反応して怖がってしまう、体調を崩してしまうというワンちゃんも少なくありません。普段から、クレートやケージなど「ここにいれば安心」という場所を作っておくことも大切な備えだと思いました。「クレートは安心できる場所」と覚えていれば、いざ避難ということになっても、スムーズにクレートに入ることができるでしょう。避難所で生活することになった場合でも、普段、クレートを使っていないワンちゃんと比べてストレスを少なくしてあげることができるのではないでしょうか。
避難が必要ない場合でも、ワンちゃんは音や匂いなど環境の変化を、私たち人間よりも敏感に感じ取っています。気を紛らわしてあげられるよう、お気に入りのおもちゃやおやつを用意したり、普段と同じように過ごすことがワンちゃんの安心感につながります。
また、台風が去ったあとの濡れた土や水たまりで、ワンちゃんが「レプトスピラ症」に感染する恐れもあります。しばらくの間は、水たまりに入らない、散歩の後は体をきちんと拭いてあげるなどの対策も必要です。
わが子を守るために
いつ発生するかわからない地震とは違い、台風はあらかじめ備えることができます。そして、わが子を守れるのは飼い主だけです。わが子のためにできることを今すぐ考えてみませんか。
公開日:2023.8.15