概要
Overview甲状腺は、甲状軟骨(ヒトでは、のどぼとけといわれます。)のすぐ下にある、甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官で、甲状腺ホルモンは体の代謝を活発にするホルモンです。甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌が減少することによって、元気がなくなり、顔つきもぼんやりとし、脱毛、肥満、暖かい季節でも寒がるなどのさまざまな症状がみられる病気です。高齢の犬でしばしば見られます。
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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原因
主に、免疫介在性(機能の異常により自身の免疫システムが自らの甲状腺を破壊してしまうこと)または遺伝性による甲状腺の機能不全などが原因と考えられています。その他の原因としては、腫瘍や副腎皮質機能亢進症(『副腎皮質機能亢進症』をご参照ください)などの他の病気の影響で引き起こされることがあります。
症状
甲状腺ホルモンは、体の代謝を活性化するホルモンです。このホルモンが不足することで体のあらゆる機能の活動が鈍くなり、全身的にさまざまな症状がみられます。
・ 元気が無くなり、動きが鈍くなる
・ 嗜眠(しみん:睡眠を続け、強い刺激を与えなければ目覚めて反応しない状態)
・ 顔つきがぼんやりしている
・ 暖かい季節でも寒がる、低体温
・ 肥満(基礎代謝が低下するるので、食べる量が少ないのに太る)
・ 脱毛(体幹部や尾の脱毛が多い)
・ 皮膚の色素沈着(皮膚の色素が黒く変化する)
・ 徐脈
・ 神経症状(発作や運動失調など)
治療
甲状腺ホルモン薬を投与することで、不足しているホルモンを補充します。基本的には、生涯投与し続けなければなりません。必要なお薬の量は犬によって異なり、同じ犬でも時間の経過とともに変化します。このため、お薬を投与した後の血液検査(血液中の甲状腺ホルモン濃度)を定期的に行い、お薬の投与量を適正に保ちます。投与量が少なすぎても効果が得られず、投与量が多い場合には甲状腺機能亢進症を引き起こします。血液検査のタイミングも重要で、通常は投薬後4-6時間前後でお薬が吸収されてホルモン濃度が十分に上がっているところで行います。
ほかの病気が原因で甲状腺ホルモン濃度が低下している場合は、原因となっている病気を治すことで甲状腺ホルモン濃度が回復することがあります。(甲状腺機能正常症候群:Euthyroid Sick Syndrome)この場合は、上記の甲状腺機能低下症に特徴的な症状が出ていなければ、ホルモンの補充治療を行わないことが多いです。
予防
早期発見、早期治療が大切です。動物病院さんでのこまめな検診をお勧めします。ご自宅では、犬の行動や皮膚の状態などのチェックを行ないましょう。また、上記に記載の症状が見られる場合は、早めに動物病院にご通院ください。
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吐いてしまうとお祈りポーズをすることがあり、プレドニゾロンとモサプリドクエン酸でよくなっていたのですが先日血液検査で
貧血があり更に甲状腺機能低下症と診断され、チラージンを飲み始めました。チラージンが効き始めるのは大体、どのぐらいからでしょうか?1日2回服用でうすぐ1週間たちます。たまに吐いてしまいましたが、、
投薬治療によって症状の改善が見られるの期間は個体差があります。例えば活動性の低下は1週間ほどで改善することが多く、貧血や高脂血症は数週間ほど改善することが多いです。皮膚症状や神経症状の改善には数か月ほど要することもあります。一般に投薬開始から1~2カ月後に血液検査の結果や臨床症状、副作用などを考慮して今後の方針を決めるため、主治医様にもよくご相談ください。
甲状腺ホルモンが少なくなると代謝が低下して、寝てばかりになる、脱毛、徐脈、肥満などがみられ、症状が進行して粘液水腫性昏睡という神経症状や低体温の状態に陥ると命の危険性もあります。他の病気の影響で甲状腺ホルモンの数値が下がることがあるため、症状や他の検査の結果も総合的に見て治療が必要か判断します。今後の治療や検査などの方針については、かかりつけの先生ともよくご相談ください。
ワンちゃんの甲状腺機能の評価・診断では、血液検査における肝酵素値や高脂血症の有無、甲状腺ホルモンの測定など、複数の項目の測定により判断します。また、実際にどのような症状が出ているのかも判断材料となります。
診断された後の定期検査については、ワンちゃんの症状や薬への反応性などにより大きく異なるため、かかりつけの先生と相談されて治療スケジュールを決められることをお勧めいたします。