トリコモナス症<鳥>

概要

Overview

トリコモナス症は、トリコモナス原虫の感染によって起こる病気です。食欲不振や吐き戻し、くしゃみや鼻汁などの呼吸器症状が出て感染に気づきます。成鳥よりもヒナや若鳥で症状が現れることが多いといわれています。

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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原因

トリコモナス症は、原虫(Trichomonas gallinae)の感染によって起こる、呼吸器や食道、そ嚢などの上部消化器の感染症です。人の膣トリコモナス(T.vaginalis)や犬や猫に見られる腸トリコモナス(Pentatrichomonas hominis)とは別種です。
多くの種類の鳥に感染すると考えられていますが、国内ではブンチョウに多く見られ、ハト、オカメインコなどでも報告されています。

症状

感染していても全く症状を示さない場合もあります。軽症の場合は食欲不振などが見られるだけですが、進行すると、口腔内粘液が増加し、しきりに舌を動かす様子が見られます。また、アクビの様な仕草や首を振るなどの症状がみられ、粘液の吐出や吐血がみられることもあります。
免疫が未完成なヒナや免疫が低下した鳥で発症します。細菌などによる二次感染を 起こすと、口腔や気道、食道、そ嚢にチーズ様の膿瘍が多数形成されるため、食事の通過障害や下顎部や頸部の突出がみられるようになります。粘液や膿瘍が気道を塞ぎ、空気の通り道を狭くするため、呼吸の際に「パチパチ」とか「プチプチ」といった音が聞こえることもあります。副鼻腔へ感染が広がると、くしゃみや鼻汁などの呼吸器症状がみられたり、結膜炎をおこしたりすることもあります。

治療

メトロニダゾールなどの二トロイミダゾール系の抗原虫薬によってトリコモナス原虫を駆除します。長期投与や高用量の投与で副作用が生じる場合には、他の駆虫薬の使用を検討します。
トリコモナス原虫を駆虫しても、二次感染や全身状態の悪化などに対する治療が必要となる場合が多く、抗生物質の投与などを行います。

予防

トリコモナスは口腔内、食道、そ嚢内などに寄生増殖しますが、酸に弱く、pH5以下では増殖できないと考えられています。胃酸で死滅するので胃より先の消化管に寄生することはありません。また、乾燥した環境では短時間しか生存できませんが、飲み水などの水性環境では長期間の生存が可能です。ケージや容器などを熱湯消毒する、乾燥させて使うなど、飼育環境の衛生管理に注意をすることが重要です。
また、親鳥からヒナへの感染が主な感染経路であり、吐き戻した餌とともに、そ嚢に生息するトリコモナスが移行することが原因ではないかと推測されています。したがって繁殖段階で親鳥に駆虫の処置をしておくことが予防のためには重要です。また、トリコモナスに感染しているヒナは購入後の環境変化などによる免疫の低下に伴い発症することが多いため、お迎え後は構いすぎないようにして、ゆっくりと環境に慣らすようにしましょう。

病気のデータ

Disease data

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みなさんからのコメント

Comment
みう
2024-11-08 17:21:21
セキセイインコからパチパチみたいな音が聞こえます。最近、元気がなくて何かの病気でしょうか?寒いからでしょうか?
アニコム獣医師
2024-11-12 09:14:31
>みう様
インコさんのパチパチ音がどこから聞こえるかにより、対処方法が変わります。嘴を鳴らしている場合は威嚇や不満を表しているときですが、呼吸とともに聞こえる場合には、ウィルス性感染症やトリコモナスなどの寄生虫疾患、甲状腺の拡大などが考えられます。原因により治療法が異なりますので、元気がないようでしたら早期の通院をお勧めいたします。
ネコネコ子ネコ
2024-10-04 05:38:03
昨日、家の前で座り込んでいるキジバトを保護。 写真のように瘤が出来ており、足指にも5ミリくらいの瘤。  保護センターでは鳩は其のまま静かな草むらへ返すよう指示されました。 家の前の林の草むらに置いています。 通りすがり方には1週間前から付近を徘徊していた聞き、大きく飛ぶ事が出来ない。 如何したら良いでしょうか。                                      
アニコム獣医師
2024-10-07 13:32:19
>ネコネコ子ネコ様
野鳥を飼育することは法律で禁止されており、各都道府県の野生鳥獣担当機関の指示に従うこととなります。また、自然環境の中に生きている野鳥は、様々なことが原因で弱ったり、うまく飛べなくなることがあります。無理に保護しようとするとかえってストレスとなり、さらに衰弱する要因となる場合がありますので、ケガや病気が疑われる野鳥を見つけてもそのまま様子を見守るようにしてあげてください。
あけ
2024-09-05 20:34:45
2歳7ヶ月のセキセイインコを飼っています。最近エサやおやつを食べたあとの入れ替えをしていると、残ったものが静電気のようにくっついていてちょっと粘っこく感じます。何か病気でしょうか?

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